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プレスリリース


2012年 4月 27日
独立行政法人海洋研究開発機構

有人潜水調査船「しんかい2000」外部展示先の決定について

独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦)は、我が国初の本格的な深海有人潜水調査船「しんかい2000」(2004年3月廃船)がもたらした有意な科学的・技術的成果と将来に向けた海洋科学技術の意義と役割について、国民・社会の理解を深めることを目的に、同船を科学技術分野の歴史的資料として外部に展示します。

同船は、深海調査を通して新たな海洋科学技術の分野を拓くとともに潜水調査船の建造・運航技術を飛躍的に発展させた本格的な深海有人潜水調査船です。

公開に当たっては、より多くの方々に見て頂き、海洋科学技術の意義を理解して頂くことを目的として、外部展示の受入機関の公募を平成23年10月に行いました。

このたび、外部展示受入機関が決まりましたので、移設スケジュールの概要と合わせて、お知らせいたします。

1.決定した機関名
施設名称: 新江ノ島水族館
経営会社: 江の島ピーエフアイ株式会社
所在地 : 神奈川県藤沢市片瀬海岸2丁目19番1号
2.移設スケジュール概要
移設:5月下旬から6月
移設後の公開予定:7月中旬
3.「しんかい2000」概要(詳細は別紙1)
「しんかい2000」は、深度2,000mまで潜航できる有人潜水調査船です。1981年に完成し、以降、長期間にわたり海洋調査の第一線で運用されてきました。2002年11月11日に、第1,411潜航を無事終えた後、活動を休止し、2004年3月に廃船となりました。
2.募集、決定の経緯等
別紙2の通り

別紙1

しんかい2000概要

「しんかい2000」は、深度2,000mまで潜航できる我が国初の本格的な深海有人潜水調査船であり、6,000m級有人潜水調査船建造の先駆けとして1978年に建造を開始し、1981年に完成、それ以降、長期間にわたり海洋調査の第一線で運用され多くの成果を上げてきました。

「しんかい2000」は、日本周辺を中心に様々な海域に潜航し、相模湾・初島沖で化学合成を行うシロウリガイのコロニーを発見、沖縄トラフでは熱水噴出現象を発見するなど、深海研究の進展に大きく貢献してきました。

「しんかい2000」の開発・建造によって培われた技術と経験は、6,000m級有人潜水調査船「しんかい6500」、10,000m級無人探査機「かいこう」など、その後の海洋調査機器の開発に活かされるとともに、「しんかい6500」の改造、次世代の探査・調査機器等の開発につながっています。

深海研究の飛躍的な発展に大きく貢献した「しんかい2000」は、2002年11月11日に、第1,411潜航を無事終えた後、20年以上の長期にわたるその活動を休止しました。

[画像:図1]

システム概要

[画像:図2]
主要目
全長 9.3m
3.0m
高さ 2.9m
空中重量 約24t
最大潜航深度 2,000m
乗員数 3名(パイロット2名、研究者1名)
耐圧殻内径 ø2.2m
通常潜航時間 7時間
ペイロード 100kg(空中重量)
水中速力 最大3.0ノット
主な搭載機器 CCDカラーTVカメラ(1台)
スーパーハープカラーTVカメラ(1台)
ステレオスチルカメラ(1台)
マニピュレータ(6自由度1台)
流向流速計
CTD(電気伝導度、温度、水深)/DO(容存酸素)
その他航海装置等

主な実績
1981年 「しんかい2000」着水・完成(三菱重工 神戸造船所) 浩宮殿下をお迎えして「しんかい2000」および支援母船「なつしま」の竣工式典(晴海)
1983年 研究調査開始 7月22日、富山湾にて初調査潜航(水深80m)
1984年 伊豆半島熱川の東方沖合、水深1,270mで枕状溶岩を発見 相模湾初島沖、水深1,100mでシロウリガイの群集(コロニー)を発見
1985年 四国沖で深海生物チューブワーム(ハオリムシ)を発見 相模湾のゴミの吹き溜まりと地滑り堆積物を発見
1988年 「しんかい2000」のテレビカメラで得られた画像情報(静止画像)を、音響信号を用いて支援母船に伝送する「水中画像伝送システム」の伝送試験を行い、1画面を46秒で伝送することに成功
1989年 沖縄トラフ伊是名海穴で、炭酸ガスハイドレート(白色になった海底の所々から液化炭酸ガスを主成分とする泡が自噴する極めて珍しい現象)を観察(世界初) 沖縄トラフ伊是名海穴、水深1,340mで、ブラックスモーカーを発見(日本初)
1990年 相模湾初島沖のシロウリガイ群生域で採取したチューブワーム(ハオリムシ)とシロウリガイから深海微生物を抽出し、陸上で培養を行う 500回目の潜航 日本海奥尻海嶺 水深1,624m
(1991年) (「しんかい6500」調査潜航開始)
1992年 駿河湾の海底の泥から極めて強力な石油分解菌を発見、分離培養 1993年 北海道南西沖地震後の奥尻島沖潜航調査で、海底の表面に噴砂、地割れ、亀裂などを発見、また、底生生物の多くが土石流によって埋もれたり、深い方に流された様子などを観察
1994年 鹿児島湾、水深82mで世界で最も浅い海域で生息する深海生物サツマハオリムシを発見
1998年 1,000回目の潜航 沖縄トラフ伊平屋海嶺 水深1,027m 2002年 1,411回目の潜航(11月11日)後、運航休止 2004年 3月をもって廃船
2002年 1,411回目の潜航(11月11日)後、運航休止
2004年 3月をもって廃船

別紙2

「しんかい2000」外部展示先の募集、決定の経緯について

独立行政法人海洋研究開発機構

1.一般公募の実施
(1)募集期間
平成23年10月3日(月)〜平成23年10月31日(月)
(2)募集方法
ホームページ上に公開し、外部展示先を公募しました。
(3)応募条件
1.外部展示場所となる施設に関する条件
  • 「しんかい2000」の展示場所を速やかに確保できること。
  • 展示場所は、屋内またはそれに準じるもの(屋根・壁等で風雨から機体を保護できる場所)であること。
  • 安定した運営母体であり、長期にわたり「しんかい2000」を現状に近い状態に維持・管理しながら展示を行える施設であること。
  • 機体の展示に止まらず、関連のパネル展示等を行うとともに、必要に応じ説明員を配置できる体制を整備すること。
2.外部展示にあたっての条件
  • 「しんかい2000」の所有者は、引き続き海洋研究開発機構(長期貸し出し)とします。
  • 展示場所の確保に係る費用、並びに運搬及び設置に関する費用は、原則として外部展示場所となる施設側の負担とします。
  • 外部展示場所決定後、できるだけ速やかに移設していただきます
(4)応募件数
1件
2.外部展示場所の決定について
当機構の普及・広報委員会(役職員で構成)において審議の上、理事長が決定しました。
決定理由
新江ノ島水族館からの提案は、上記応募条件を満たしており、かつ、相模湾という「しんかい2000」の潜航回数が最も多い海域に面して立地していることから決定されました。

以上


お問い合わせ先:

独立行政法人海洋研究開発機構
(本件について)
事業推進部 広報課長 満澤 巨彦 電話:046-867-9070
(報道担当)
経営企画室 報道室 菊地 一成 電話:046-867-9198

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