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2010年 11月 19日
独立行政法人海洋研究開発機構
日本郵船株式会社
海洋研究開発機構(理事長 加藤 康宏)と日本郵船株式会社(社長 工藤 泰三)は、国際科学プロジェクト「アルゴ計画」(注)を支える海洋観測装置(略称:Argoフロート)の観測網強化を図るため「全球における海洋観測装置の設置協力について」の覚書を19日締結しました。民間からの投入協力は、今回が初めてとなります。
Argoフロートは、全世界の海洋の状況をリアルタイムで監視・把握するシステムを構築することを目指して進められているアルゴ計画に必要とされる装置であり、気候変動や地球温暖化の研究をはじめ漁業・海運に重要な海流予測などに不可欠なものです。
同計画で日本が実施するArgoフロートの投入作業は、国内の大学や水産大学校・水産高校、水産庁、気象庁、海上保安庁など公的機関の所有船舶の協力の下行ってきましたが、民間企業としては初めて、日本郵船が協力することになります。日本郵船は所有する豊富な船舶と航路を活用したArgoフロートの展開を主に太平洋地域で行うことで、これまで関係機関が所有する船舶ではアクセスが難しかった遠洋への定常的な投入が可能となり、気候変動研究の推進に大きく役立ちます。
【基本協定の概要】
【連携・協力内容】
海洋研究開発機構は、日本郵船の船舶の航行海域のうち、特に関係機関が所有する船舶では航行頻度が少ない太平洋海域(図)において、Argoフロートの投入を必要とする海域を解析し、日本郵船に該当海域でのフロート投入を依頼します。日本郵船では、該当海域を通過するフロート投入可能な所有船舶を調査し、その船舶からArgoフロートを投入します。
【期待される効果】
これまで太平洋には関係機関が所有する船舶の航行頻度が少なく、また海流の影響でArgoフロートが分散し、観測密度が少なくなり易い海域がありましたが、今後Argoフロートが定常的に投入されることで、この海域のリアルタイム観測網が強化されることになります。これによって全球規模の熱輸送・淡水輸送をより正確に把握することができるようになり、気候変動のメカニズムの解明や予測精度の向上など地球温暖化問題の解決に向けた研究が進展することが期待されます。
(注)アルゴ計画
世界気象機関(WMO)、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)等の国際機関および30の国・地域・関係諸機関の協力の下、全世界の海洋の状況をリアルタイムで監視・把握するシステムの構築を目指し2000年にスタートした国際科学プロジェクトである。計画の要となるArgoフロートは、水深2,000mから海面までの間を自動的に浮き沈みして 水温・塩分等を測定することができる。 アルゴ計画ではArgoフロートを世界中の海洋で約3,000台常時稼動させることを目指しており、これにより深層を除く海洋の全体構造について、約300km平均間隔(緯度・経度にして約3度毎)で実況を捉えることが可能となる。
<参考>