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平成19年1月22日
独立行政法人海洋研究開発機構

インド洋における大規模雲群発生の観測に初めて成功
〜マッデン・ジュリアン振動現象の解明に大きく前進〜(速報)

概要

海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏)の地球環境観測研究センターは、海洋地球研究船「みらい」(注記)1による、インド洋における大気と海洋の集中観測により水平規模が数千kmにもなる巨大雲群の発生を多面的かつ時系列的にインド洋上で初めて観測することに成功し、1月20日、母港である青森県むつ市の当機構むつ研究所に帰港しました。

背景

熱帯域においては、30−60日程度の周期で数千km規模の雲群がインド洋で発生し、時速20km程度のゆっくりした速度で東に進む現象が存在することが知られており、発見者の名前にちなんでマッデン・ジュリアン振動(MJO)と呼ばれています。この現象は、熱帯域の天候だけでなく、エルニーニョ現象や熱帯低気圧の発生などとの関係が指摘され、全球の気候変動を理解する上でも重要な現象です。この現象の発見から30年以上経った現在、大規模な構造や特徴、気候への影響などが明らかになってきましたが、未だMJOの発生メカニズムは解明されていません。この原因の1つに発生海域であるインド洋において、同現象をターゲットにした観測が行われたことがなく、現場データが非常に不足していることが挙げられます。そこで今回、同海域に位置するモルディブ諸島及び海洋地球研究船「みらい」を用いて10月始めから12月まで(「みらい」航海は10月4日-12月13日までの71日間)、大気と海洋の集中観測を実施しました。この集中観測は英語名称(Mirai Indian Ocean cruise for the Study of the MJO-convection Onset)の頭文字をとってMISMO(ミスモ)プロジェクトと呼んでいます。

実施内容

(1)「みらい」による観測大気の鉛直構造、大気と海洋の相互作用などを
現場の海域で観測
・ 定点観測(10月24日〜11月25日) ドップラーレーダーやラジオゾンデなどによる大気観測 ブイなどによる海洋観測
・ 航走観測(11月28日〜12月13日) 航路は、モルディブ→シンガポール
(2)モルディブ諸島における陸上観測
「みらい」の観測を補完する目的で、降水システムや雲群発生環境の空間的な構造を把握するため、「みらい」同様にドップラーレーダーやラジオゾンデによる観測

「みらい」が定点観測を実施した期間中は、「みらい」、モルディブ諸島、ブイからなる観測網を構築し(図1参照)、雲群が発生するのを待ち構えながら、大気と海洋の状態を観測しました。

観測結果

11月初旬に同海域で成長し始めた雲群は11月20日頃には東西スケールで数千kmにまで発達し、その後東へとゆっくり移動を開始しました。

「みらい」は、定点観測期間中に雲群発生の様子を観測し、さらに東方に向けての航走中に雲群の動きを追跡した形での観測ができました。

発達した雲群は数千kmに及ぶため、その全体像は図2の人工衛星が捉えた雲画像で確認されました。現場での観測例は、図3図4に示す通りです。インド洋ではモンスーンとして知られるように風がよく吹く海域ですが、対流活動が活発になる前は、海面が鏡面のように静かになることもあり、雲頂高度が2−3km程度の雲が多数発達します(図3上)。しかし、MJOに伴う大規模場の変動により全天が雲で覆われるようなときには、しばしば横一線状の雲群が形成され、激しい雨をもたらします(図3下)。また、今回の観測では、雲群の東進と船の移動とが一致したため、図4に示すように、雲群が東進しながら発達する(降雨領域が広がり、降雨強度も強くなる)様子を捉えました。これにより、個々の積雲の寿命は数時間であるにもかかわらず、雲群としては数日間持続する特徴を詳細に理解できると期待されます。

このように、雲内部の詳細観測データを取得することができました。また、今回の観測時期はインド洋におけるエルニーニョ現象とも呼ぶべき、ダイポールモード現象(注記)2発生下での実施となりました。過去、ダイポールモード現象が発生した際の現場観測の例はほとんどないことから、この点においても貴重なデータと言えます。

今後の予定

今後、本格的にデータ解析を実施します。先ずは、今回の観測結果速報として、3月に開催予定のブルーアースシンポジウム(当機構主催)で報告します。また、7月にイタリアにて開催される国際測地学・地球物理学連合総会において、急遽特別セッションが開催されることとなりました。今後、これらの学会等での発表をはじめ本研究結果をすみやかに報告していく予定です。特に、赤道付近を東進する数千km規模の雲群は、日本の暖冬の要因でもあるエルニーニョ現象の発生や終息、熱帯低気圧の発生などにも影響を与えることが指摘されており、このような現象との関係を解明していく予定です。さらに、地球シミュレータを用いた雲発生のシミュレーションや予測研究にも利用してゆく予定です。

<お問い合わせ先>

独立行政法人海洋研究開発機構

(本研究成果について)
地球環境観測研究センター
海大陸観測研究計画
プロジェクトディレクター 吉崎 正憲
Tel:046-867-9830
海大陸観測研究計画 研究員 米山 邦夫
Tel:046-867-9465
研究推進室長 續 辰之介
Tel:046-867-9398
(報道について)
経営企画室 報道室長 大嶋 真司
Tel :046-867-9193

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