「遺跡」が見せてくれる古代の風景
古代の人の営みを知るには、遺跡の発掘で見つかるものが重視されていますが、その遺跡があった頃のその場所の風景は今と違っていた可能性も考える必要があります。
例えば縄文時代のなかば、約6000年前は今よりもずっと暖かい気候がひろがり、海面が今よりも2〜3m高く(縄文海進)、現在の平野のかなりの部分が海の下になっていました。古代の人々が魚介類を食べて残った貝殻や魚の骨などが捨てられた貝塚が、今の海岸線の近くにはなく、ずっと内陸にあるのはこのためです。 貝塚だけでなく、住居跡などの縄文時代の遺跡も同じように、少し小高い場所にしかありません。また、古い神社も同様です。
実は縄文時代、どれくらい海面が高くなり、海岸線がどこまで内陸に入り込んでいたかを知る方法は多くありません。貝塚や縄文遺跡など、人の営みの痕跡の分布から、逆に過去の風景、地域の環境変化を読みとることもできるのです。