対馬暖流がもたらした環境
隠岐では様々な環境で別々に見られる種類の植物が一緒に見られる不思議な植生をしています。この植生がどのように形成されたのかを考えるには、隠岐を含めた日本の地形や気候がどのように変化していったのかが手掛かりになりそうですが、本来、それぞれの種が生息に適した環境ではない隠岐で生き続けていることの説明にはまた別の要因を考えなければなりません。
そしてその要因のひとつは、隠岐の周囲を流れる対馬暖流にあると考えられます。大陸からの冷たい北西風が上空にある日本海に南から温度の高い暖流が流れ込み、蒸発した空気が雲になることで、隠岐を含む日本海側にたくさんの雨や雪や霧をもたらします。海洋性の気候で冬の寒さと夏の暑さが控えめで、年中通じて雨が降り、湿度も高いという隠岐の気候は、様々な植物にとって生育に適していたのです。