イカの「拾える」浜
隠岐の名物のひとつにイカがありますが、このイカと隠岐の人々の関わりはどうやら伝説や神話の時代にまでさかのぼるようです。
島前の西ノ島の入り江の奥にある由良比女神社の祭神である由良比女命の手をイカが噛み、その謝罪として毎年神社の横にある浜(イカ寄せの浜)にイカの群れが打ち上がるようになったというエピソードが伝えられています。
実際に昔は毎年のように祭りの時期にはイカ(シロイカ)が浜に打ち上がり、島の人たちは手づかみでそのイカを「拾って」いたと記録されているほか、現在でも数年に一度は群が大量に入り込んで来てイカ「拾い」がおこなわれます。
その他にも1mくらいの大きさの巨大なイカ(ソデイカ)が毎年秋〜冬頃に岸の近くに寄って来るので、それを「拾う」ために島の人たちが岸を見張っていることがあります。このイカの来る岸はちゃんと決まっており、島後と西ノ島の2ヶ所に「イカ寄せの浜」があります。どちらも南〜西に面した入り江の奥になっており、特にソデイカは南西から流れてくる対馬暖流に乗って南の海から来ることが判っていますので、隠岐の海岸地形とイカの生態(移動ルート)が関わっていることが伺えます。