健康工学研究部門
高集積プラスチックデバイス概要図
実用化への課題
バイオチップの研究は、日米欧の大学・国研・企業において、疾患診断などへの応用を目指して、熾烈な研究開発競争が展開されています。しかし、バイオチップの作製は煩雑で、コストが高く、チップの安定供給にも問題があるなど、実用化に向けた課題が多く残されていました。
ムービングマスクディープX線リソグラフィ
ムービングマスクディープX線リソグラフィーで作製されたプラスチックデバイスを、実験室レベルで実用化することに成功しました。
ムービングマスクディープX線リソグラフィーは、X線を照射中にマスクをナノメーター精度で移動させることによって、垂直よりわずかに傾斜(80-85度)をもたせた高集積化マイクロチャンネルを作製する技術です。この技術によって、これまで困難であった高密度プラスチックデバイスのインジェクションモールディングによる大量生産の実証研究を行い、この方法で作成したプラスチックデバイスは、わずか1 mmの幅に10本のマイクロチャンネルがあり、従来より数倍〜10倍も高集積したものです。
ムービングマスクディープX線リソグラフィの図
コストは10分の1
この方法で製造するとコストは、従来の10分の1程度になるものと予想されており、将来、臨床診断等に応用可能な高集積化プラスチックデバイスを、低コストで安定的に作製することが可能となります。
※(注記)本研究は、京都大学大学院工学研究科田畑修教授およびスターライト工業(株)と共同で実施したものです。