野口宇宙飛行士、軌道上記者会見 〜星出宇宙飛行士につなぐタスキ〜
日本時間4月26日午後8時より、 国際宇宙ステーション(ISS) 「きぼう」日本実験棟において、野口宇宙飛行士・星出宇宙飛行士の軌道上記者会見が行われました。
軌道上記者会見に臨む野口宇宙飛行士と星出宇宙飛行士 (NASA TVより)
野口宇宙飛行士は冒頭のあいさつで、ISSでの半年間の滞在を終え、地球に帰還するに当たって、たくさんの応援に対する感謝の気持ちを述べ、また、星出宇宙飛行士との軌道上での同時滞在について触れて、新型コロナウイルス感染症の蔓延で厳しい状況下にある日本の人々に向け、みなさんの仲間がこの宇宙で2人の日本人が一緒に頑張っているということを見ていただければうれしい、と語りました。
軌道上記者会見に臨む野口宇宙飛行士と星出宇宙飛行士 (NASA TVより)
野口宇宙飛行士は、青いタスキをかけた姿で登場しましたが、実はこれは、表がクルードラゴン宇宙船運用初号機(Crew-1)ミッションパッチのメインカラーである「青」、裏が2号機(Crew-2)の「赤」になったもの。野口宇宙飛行士は、2人の日本人宇宙飛行士が軌道上でミッションを引き継ぐことができた喜びを語り、青いタスキを取ると赤を表にして星出宇宙飛行士に引き継ぎました。
軌道上記者会見に臨む野口宇宙飛行士と星出宇宙飛行士 (NASA TVより)
軌道上での2人の日本人宇宙飛行士の同時滞在については、前回のISS長期滞在時に山崎直子宇宙飛行士とも同時滞在したことにも触れ、宇宙空間で地上のチームも含めて日本人同士で仕事ができることは本当にうれしく、今後はより多くの日本人が活躍できる日が来るように自身も頑張りたいと意気込みを語りました。
ISS長期滞在中の積極的な情報発信についてはどういう意図で行っていたか、と記者に質問された野口宇宙飛行士。人間が暮らしている空間だからこそのドラマがあり、喜怒哀楽があり感動がある、そういったところを皆さんに見てもらいたい、つい仕事上では科学技術の成果に重点が行きがちだけれども、SNSを通して宇宙で人間が暮らしていることの意味やその生活の様子をストレートに伝えることで、より多くの方々に宇宙に親しみを持ってもらえるのではないかと思ってやっていた、と語り、また、SNSでの情報発信については星出宇宙飛行士に対して「照れずに素の星出さんを見せればいいのではないでしょうか」とアドバイスを送るシーンも。
軌道上記者会見に臨む野口宇宙飛行士と星出宇宙飛行士 (NASA TVより)
SpaceXの宇宙服に関する記者からの質問に対しては、一体構造になっていて着るのが楽で簡単に気密が保たれる点がよい、今後民間ミッションが増えていく中で、必要最低限の機能をより簡単に達成していて、なおかつかっこいいという最大の利点がある。SpaceXの宇宙服は素晴らしいと絶賛。
軌道上記者会見に臨む野口宇宙飛行士と星出宇宙飛行士 (NASA TVより)
最後に、半年間素晴らしいミッションを皆さんと一緒に駆け抜けて来られたことをうれしく思う、と感謝の気持ちを述べ、地球への帰還については、「お家に帰るまでが遠足」という気持ちで最後まで気を抜かずに臨み、帰還後は宇宙での経験を皆さんにお話ししたいと帰還後の活動についても語りました。また、これから宇宙を目指す人に向けて、民間の人がどんどん宇宙に来る時代になると思う、民間人・民間企業・民間グループがどんどん宇宙に出て来るようになってほしい、と期待をにじませ、「サポートするので頑張ってください」と宇宙の民間利用への応援メッセージを語るシーンも。
野口宇宙飛行士は、星出宇宙飛行士とともに笑顔で手を振り、記者会見を終えました。