食品の安全・安心に向けた取り組み
福島県では、県産食品の安全性を確保するため、農地の除染のほか、生産・流通・消費の各段階で複数回にわたる検査を行っています。行政、産地、生産者、流通事業者と連携しながら各段階による検査を多数実施することにより、安全性が確保された農林水産物のみを出荷しています。また、検査結果を公表することで、安心・安全の確保にも努めています。
モニタリング検査体制
米の全量全袋検査の実施
福島県では、平成24年産米から、「基準値を超える米は流通させない」「消費者が安心できる米の出荷体制を整えて、理解を得ていく」ことを目指し、徹底した検査に取り組むこととしました。
そこで、田植え前の段階で「除染や放射性物質吸収抑制対策」を実施し、収穫後は全ての県内産米を検査し、放射性セシウム基準値を超える米を流通させない「全量全袋検査」に取り組みました。
【全量全袋検査の結果】
令和2年産米のモニタリングへの移行
2015年度(平成27年度)以降5年間基準値超過がないことから、令和2年産米より避難指示等のあった12市町村を除き、全量全袋検査からモニタリングへ移行しました。避難指示等のあった12市町村においては、営農再開が進んでいない地域や新たに作付が行われる水田もあるため、引き続き全量全袋検査を継続しています。
※(注記)全量全袋検査継続の市町村
田村市、南相馬市、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村および川俣町(旧山木屋村)
農林水産物のモニタリング検査結果
これまでの検査で、基準値を超過する件数の全体に占める割合は確実に減少しています(2020年12月31日現在)。
▼参考
【食品衛生法】(Bq/kg)
漁業における試験操業の取り組み・
出荷制限の解除
福島県の沿岸漁業は、操業自粛を余儀なくされていますが、6万件を超える県のモニタリング検査で安全性が確認された魚介類を対象に試験操業を実施しています。漁業協同組合は、試験操業の漁獲物に対して、国の基準よりも厳しい自主検査基準(50Bq/kg)を設けて放射性物質検査を行い、自主検査基準を超える魚介類が流通しないようにしています。
2020年(令和2年)2月25日、出荷制限指示を受けていた最後の1魚種であるコモンカスベが制限解除となり、全ての海産魚介類の出荷が可能となりました。
【試験操業対象種の拡大】
水揚げの様子
自主検査の様子
淡水魚の出荷制限指示の解除
県内のイワナやウグイなどの淡水魚についても、出荷制限等の解除が進んでいます。県内では沼沢湖(金山町)にのみ生息するヒメマスは、モニタリング検査の結果、基準値を安定して下回ることが確認されたため、2016年(平成28年)3月30日に県は、採捕自粛要請を取り下げ、同年4月9日に4年ぶりに漁が解禁されました。
沼沢湖のヒメマス
ふくしま。GAPギャップチャレンジ宣言
福島県では、農業生産工程で食の安全性の確保等を図る管理手法として、世界的に注目されるGAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)に着目。よりよい農業の証であるGAP日本一を目指すこととし、2017年(平成29年)5月15日に、福島県とJA福島中央会による、「ふくしま。GAPチャレンジ宣言」を行いました。
GAP認証には、「GLOBALG.A.P」、「ASIAGAP」、「JGAP」の他、福島県が創設した公的認証GAPであるFGAPがあります。
【GAP認証の取得状況】
ふくしまHACCPハサップの取り組み
食中毒や異物混入、放射性物質などのリスクに対応するための福島県独自の衛生管理手法で、「食品衛生法で義務化されるHACCPへの速やかな対応」、「県産加工食品の放射性物質対策」などの課題に対応しています。導入を支援するためのアプリや研修会を通じ、県内の食品事業者への導入普及を進めています。