介護保険制度の下で提供される施設・居宅サービスの対価について
介護保険制度の下で提供される施設・居宅サービスの対価についての医療費控除の取り扱いについて所得税法の改正に伴い平成24年4月1日より一部変更となっています。
変更点
(1)介護福祉士等による喀痰吸引等の対価
(2)定期巡回・随時対応型訪問介護看護
(3)複合型サービス
(1)について医療費控除の対象となりました。
(2)、(3)については、条件に当てはまる場合に医療費控除の対象となります。
施設サービスの対価についての医療費の取り扱い
指定介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設
サービスの対価のうち医療費控除の対象となるもの
施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)として支払った額の2分の1に相当する金額
サービスの対価のうち医療費控除の対象とならないもの
日常生活費・特別なサービス費用
介護老人保健施設・指定介護療養型医療施設
サービスの対価のうち医療費控除の対象となるもの
施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)として支払った額
サービスの対価のうち医療費控除の対象とならないもの
日常生活費・特別なサービス費用
注意
- 介護保険法の改正(平成17年10月1日施行)により、施設サービスの対価のうち居住費および食費が介護保険給付の対象外となりましたが、自己負担額(指定介護老人福祉施設および指定地域密着型介護老人福祉施設については2分の1相当額)は医療費控除の対象となります。
- 介護保険法の施行日(平成12年4月1日)時点において、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所している人の施設サービスの対価に係る自己負担額は、従来どおり応能負担の考え方に基づいて算出され、療養上の世話等の提供の状況に応じたものとはいえないことから、医療費控除の対象外となります。
- 日常生活費とは、理美容代やその他施設サービス等において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものの費用で、その入所者に負担させることが適当と認められるものです。
なお、おむつ代は介護サービス費用の中に含まれ、介護保険給付の対象となり、自己負担額が医療費控除の対象になります。 - 介護老人保健施設および指定介護療養型医療施設の個室等の特別室の使用料(診療または治療を受けるためにやむを得ず支払うものに限る)は医療費控除の対象となります。
- 指定介護老人福祉施設等が発行する領収書に、医療費控除の対象となる金額が記載されます。
- 高額介護サービス費として払戻しを受けた場合は、その高額介護サービス費を医療費の金額から差し引いて医療費控除の金額の計算をすることとなります。 なお、指定介護老人福祉施設および指定地域密着型介護老人福祉施設の施設サービス費に係る自己負担額のみに対する高額介護サービス費については、2分の1に相当する金額を医療費の金額から差し引いて医療費控除の金額の計算をすることとなります。
※(注記)旧措置者の利用料は医療費控除対象外です。
居宅サービスの対価についての医療費の取り扱い
平成24年4月1日以後に支払う(2)の居宅サービス((1)の居宅サービスと併せて利用しない場合に限ります)または(3)の居宅サービスにおいて行なわれる介護福祉士等による喀痰吸引等の対価は、医療費控除の対象となります。
(1)サービスの対価が医療費控除の対象となる居宅サービス
- 訪問看護
- 介護予防訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 介護予防訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 介護予防居宅療養管理指導
- 通所リハビリテーション(食費を含む)
- 介護予防通所リハビリテーション(食費を含む)
- 短期入所療養介護(食費・滞在費を含む)
- 介護予防短期入所療養介護(食費・滞在費を含む)
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用する場合に限ります)
- 複合型サービス(上記の居宅サービスを含む組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除きます)に限ります)
(2) (1)の居宅サービスと併せて利用する場合のみ医療費控除の対象となる居宅サービス
- 訪問介護(生活援助(調理、洗濯、掃除等の家事の援助)中心型を除きます)
- 夜間対応型訪問介護
- 介護予防訪問介護
- 訪問入浴介護
- 介護予防訪問入浴介護
- 通所介護
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 介護予防通所介護
- 介護予防認知症対応型通所介護
- 介護予防小規模多機能型居宅介護
- 短期入所生活介護
- 介護予防短期入所生活介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用しない場合及び連携型事業所に限ります)
- 複合型サービス((1)の居宅サービスを含まない組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除きます)に限ります)
- 地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスを除きます。)
- 地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスを除きます。)
(3)医療費控除の対象とならない居宅サービス
- 訪問介護(生活援助中心型)
- 認知症対応型共同生活介護
- 介護予防認知症対応型共同生活介護
- 特定施設入居者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 介護予防地域密着型特定施設入居者生活介護
- 福祉用具貸与
- 介護予防福祉用具貸与
- 複合型サービス(生活援助中心型の訪問介護の部分)
- 地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスに限ります。)
- 地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスに限ります。)
- 地域支援事業の生活支援サービス
注意
1. 「居宅サービス計画を作成した介護支援事業者名」と「医療費控除の対象となる金額」が記載された領収書が必要です。対象のサービスを利用した場合は、領収書をご確認ください。記載漏れがある場合は、各介護サービス事業所にご相談ください。
2. 医療系サービスについては、支給限度額を超えて利用した場合、全額自己負担となった部分についても医療費控除の対象となります。一方、福祉系サービスについては、支給限度額を超えた部分は医療費控除の対象とはなりませんので、注意してください。
3.特別な居住費及び食費については、医療控除の対象となりません。
保険金などで補填される金額
次のようなものは、支払った医療費から差し引きます。
- 生命保険契約や損害保険契約に基づき医療費の補填を目的として支払いを受ける医療保険金や入院費給付金、傷害費用保険金など
- 社会保険や共済に関する法律やその他の法令の規定に基づき、医療費の支払いの事由を給付原因として支給を受ける給付金
例えば、健康保険法の規定により支給を受ける療養費や出産育児一時金、家族出産育児一時金、家族療養費、高額療養費、高額介護合算療養費など - 医療費の補填を目的として支払いを受ける損害賠償金
- 任意の互助組織から医療費の補填を目的として支払いを受ける給付金
注1:保険金などで補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。
注2:保険金などで補填される金額が確定申告書を提出するときまでに確定していない場合には、その補填される金額の見込額を支払った医療費から差し引きます。
後日、補填される金額を受け取ったときに、その額が見込額と異なる場合には、修正申告(見込額より受領額の方が多い場合)または更正の請求(見込額より受領額の方が少ない場合)の手続により訂正することとなります。
参考
医療費控除の改正
医療費控除(所法73)の対象範囲に、介護福祉士による喀痰(かくたん)吸引等及び認定特定行為業務従事者(一定の研修を受けた介護職員等)による特定行為に係る費用の自己負担分が加えられました(所令207)。
(注1) 喀痰吸引等とは、一定の喀痰吸引及び経管栄養をいいます(社会福祉士及び介護福祉士法2(2)、同法施行規則1)。
(注2) 特定行為とは、喀痰吸引等のうち、認定特定行為業務従事者が修了した喀痰吸引等研修の課程に応じて定める一定の行為をいいます(社会福祉士及び介護福祉士法附則3(1)、同法施行規則附則4)。
(注3) 平成24 年4月1日から平成27 年3月31 日までの間は、介護福祉士も喀痰吸引等を行うためには一定の研修を受けた認定特定行為業務従事者である必要があることから、医療費控除の対象範囲は、認定特定行為業務従事者による特定行為となります(改正所令附則3(2)、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律附則12)。
《適用関係》この改正は、平成24 年4月1日以後に支払う医療費について適用されます(改正所令附則3(1))。
様式