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チームは何人から始める? 『宇宙兄弟』は、なぜ最強チームと言えるのか

10/15(水) 12:00

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チームは何人から始める? 『宇宙兄弟』は、なぜ最強チームと言えるのか
チームづくりのスタートについて、組織開発ファシリテーターの長尾彰氏が解説する

最初からすごいチームなんてない。
「今いる仲間」とひとつずつドアを開けていこう。
気づいたら、すごい景色が見られるかもよ?

このメッセージは、『宇宙兄弟』に登場する伝説の宇宙飛行士、ブライアン・Jが「夢」について語った言葉を、チームづくりに置き換えてみたものです。

どんなに優秀なメンバーを集めても、いきなりすごいチームが生まれるわけではありません。

本稿では、チームづくりのスタートについて解説していきます。

(宇宙兄弟c小山宙哉/講談社)

(注記)本稿は、長尾彰著『宇宙兄弟 「制約主導」のチームワークで、仕事が面白くなる! チームの話』(Gakken)を一部抜粋・編集したものです。


無敵のチームづくりは、正反対の「ふたり」から始めよう

「チームづくりは、何人で始めればいいですか?」
もし、あなたがこのような質問をされたら、どう答えますか?

そのチームが何を成し遂げたいかによって人数の規模は変わりますが、一般的には、「なんとなくチームとしてまとまりそう」というイメージから、5〜6人程度を思い浮かべるのではないでしょうか。

僕が実際にファシリテーターとして関わったことのある企業でも、チームの単位が5〜6人で構成されている組織がとても多いなと感じています。そのなかでリーダー職の人物を決めて、「さあ、チームビルディングをしましょう」というパターン。メンバーが選んだリーダーではなく、上司から「じゃあ今日から君がリーダーね」といきなり指名されたリーダーは、メンバーをどうまとめていけばよいのかわからず、不安を感じている場合もあります。

そんな不安を感じているリーダーを見かけたときには、「チームづくりは、ふたりから始めましょう」と提案しています。そもそも、リーダーがひとりでチームをつくろうとし、ひとりで全員をまとめようとするから大変なのです。
まずはもうひとりの仲間を見つけて、ふたりでリードしていきましょう。

チームづくりは、「Co(共同)」でリードする、「Co‐Lead(コ・リード)」から始めることを、僕は強くおすすめします。

ジョシュア・ウルフ・シェンクの著書『POWERS OF TWO 二人で一人の天才』(英治出版刊)には、この「Co‐Lead」で事業を成功させた組織の事例が紹介されています。

例をあげると、アップル創業者のスティーブ・ジョブズと、スティーブ・ウォズニアック。ビートルズを結成したジョン・レノンと、ポール・マッカートニー。「投資の神様」と呼ばれているウォーレン・バフェットと、チャーリー・マンガーなど......。

この書籍に登場する人物に限らず、日本の企業においても、「1人+1人の出会い」によって偉業を成し遂げている事例は数多く存在します。そして何よりも「Co‐Lead」の魅力が盛り込まれている物語といえば、やはり『宇宙兄弟』でしょう。

物語は、兄・六太と弟の日々人が、小学生の頃に起きたある事件をきっかけに、共に「宇宙飛行士になる」という夢を抱くシーンから始まります。

時を経て日々人は夢を叶え、日本人初の月面着陸を成し遂げた宇宙飛行士に。一方、六太は、勤めていた自動車開発会社をクビになり、再就職にも苦労する日々を送っていました。優秀な弟を持ち、「"兄"とは常に弟の先を行ってなければならない」という思い込みに苦しむ六太と、そんな兄の秘めたる可能性を誰よりも信じつつ、自らの道をブレることなく突き進む日々人。

『宇宙兄弟』は、このふたりを中心に彼らを取り巻く人たちの物語です。
これがもし、どちらかひとりだけの物語だったら......?

六太は宇宙飛行士という夢を取り戻すことなく、サラリーマンとして生き続けていたかもしれません。日々人は宇宙飛行士として月に行ったとは思いますが、月面で起きた命の危機を乗り越えることはできたでしょうか。事故により宇宙服内の酸素がなくなっていく日々人の居場所を、六太は地上で予測し的中させました。もしこの救出が間に合わなかったら、日々人の物語はここで終わっていた可能性もあるわけです。

僕は、このふたりがお互いを補完し合っているからこそ共に成長することができ、そんな彼らの物語に多くの人たちが魅了されているのだと感じています。
完璧ではないふたりが出会い、お互いを支え合う。
これがチームづくりのスタート地点です。

さて、ちょっと話は脱線しますが......。
実在する成功者たちの事例を紹介したビジネス書籍と、マンガの『宇宙兄弟』。
このふたつを同列に扱うことに対し、「マンガはあくまでフィクションなのだから、チームづくりにおける参考事例にはならない」と感じる人もいるかもしれませんね。

僕は、こうした考え方はもったいないと思います。
そもそも、世の中に実在する企業のどんな成功事例も、当事者以外の人たちにとっては、いくつかの側面を切り取ったにすぎません。物事は視点や視座や解釈、時代によって大きく変わるし、「事実」はとても多面的で複雑に構成されています。チームづくりにおいてはメンバーや環境が異なる以上、同じ条件を満たせば成功するとも限らないのです。

チームの成功法則は、所属するメンバーでしか生み出すことができないものであり、僕たちが多くの成功事例から得られるのは「正解」ではなく、そこから導き出される「学び」や「ヒント」にすぎません。
統計学や組織論を研究するなら話は別ですが、あなたが自分たちのチームが成長する糧か てを求めているのなら、情報源がフィクションでもノンフィクションでも、柔軟に取り入れてみればよいのではないでしょうか。

大切なのはそこから何かを学ぼうとする姿勢と、メンバーみんなで考えながらトライ&エラーを繰り返し、チームづくりに活かしていくことです。

というわけで僕が伝えたいのは、「チームづくりは、まずふたりでリードすることから始めましょう」ということ。そしてもうひとつ、チームの成長を促したいのであれば、「そのひとりは、自分と違うタイプの人にしましょう」です。

これは、ゼロからチームをつくる場合だけでなく、すでに存在するチーム内でも当てはまります。また、ここでの「自分とは違うタイプ」とは、チームをリードする「スタイル」のことを指しています。

望む成果を得るために、タイプの違うふたりが組んで、パズルの凸と凹を組み合わせるようにしてチームをリードしていく。
そのためにはまず、自分の「リーダーのスタイル」がどのようなタイプなのかを知ることから始めていきましょう!




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