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戦略人事に取り組む企業はたった4割 今こそ問われるマネジメントの重要性

8/25(月) 12:00

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戦略人事に取り組む企業はたった4割 今こそ問われるマネジメントの重要性
西谷晴信氏は、雑誌『THE21』(2025年9月号)にて、自律考動型社員の育て方について解説する

「人間力」を磨き、部門経営者を育てることを目的としたPHPの研修事業。講師陣は、企業・組織において様々な現場を経験し、時に修羅場を乗り越えてきた実務者ばかりだ。

本稿では、PHP研究所認定エグゼクティブコーチの西谷晴信氏がその研修の一部「人が育つ組織風土を作るマネジメントの重要性」と「自律考動型社員の育て方」について解説する。(構成:坂田博史)

(注記)本稿は、『THE21』2025年9月号より、内容を一部抜粋・再編集したものです。


日本の現況を理解し、環境変化へ適応せよ

皆さんは、現在の日本の状況をどのようにとらえているでしょうか。

スイスのビジネススクールIMD(国際経営開発研究所)は毎年、世界競争力ランキングを発表しています。かつて日本は1位でしたが、2024年は38位。過去最低です。

従業員エンゲージメント調査で定評のあるアメリカのギャラップ社によれば、日本には「熱意あふれる社員」はたった5%しかいません。

国連の持続可能な開発ソリューションネットワークが発表している世界幸福度ランキングにおいて、日本は55位(2025年)となっています。

現在の日本が、こうした残念な状況であることをまず理解しておく必要があります。

日本の「失われた30年」の状況を見て、京セラ創業者の稲盛和夫氏は次のような内容の発言をされました。

「繁栄、成熟という言葉に踊らされて、日本は緩慢なる衰退に陥っている。平成の失敗は、トップが夢や願望を語らなかったことにあるのではないか」

私も強く共感します。
経営を取り巻く環境は激変しており、産業構造の転換や事業ドメインの見直しが早急に求められています。

例えば、自動車メーカーは内燃機関で走る自動車から電気や水素で走る自動車への転換を迫られています。これまでの強みが強みでなくなる中、自社や自部門は何のためにあるのか、組織のミッション・ビジョンが問われているのです。

テクノロジーも急速に進化しています。デジタル技術を理解したうえで、有効活用することができない企業は早晩、時代に取り残されてしまうでしょう。

労働力不足を背景に働き方改革が進み、人材マネジメント上の遠心力が高まっています。多様性(ダイバーシティ)を実現しつつ、組織としての一体性(インクルージョン)をバランスさせていくことが望まれていますが、これも簡単ではありません。

従来の常識や価値観が次々と転換しており、過去の成功法則が今も成功につながるとは限りません。過去にとらわれない「素直な心」で現実を直視することが大切になっているのです。


経営戦略と人事戦略の連動が「人的資本経営」のカギ

これだけ多様で大きな環境変化に対処して生き残るためには、企業変革が不可欠です。では、どこを目指して変革すればよいのでしょうか。

皆さんは「人材版伊藤レポート」をご存じでしょうか。経済産業省が2020年9月に発表したこの報告書の冒頭、一橋大学名誉教授の伊藤邦雄氏は、こう問いかけています。

「日本企業は本当に社員を大切にしてきただろうか」

その後、2022年5月に「人材版伊藤レポート2.0」が取りまとめられ、企業変革のための人材戦略の方向性が提示されました。最重要ポイントは、人的資源・管理から「人的資本・価値創造」への変革です。人を大切な資本と捉え、人的資本に投資することで、人の成長と活躍を促し、中長期的な企業の価値向上につなげていくことが求められています。

経営陣には、企業理念、企業の存在意義(パーパス)や経営戦略の明確化とともに、経営戦略と連動した人材戦略の策定と実行も求められています。

人材戦略の立案に当たっては、「経営戦略と人材戦略の連動」「As Is─To Beギャップの定量把握」「企業文化への定着」という3つの重要な視点が挙げられています。

こうした変革が上手く進んだならば、これまでの画一的な雇用システムから脱却し、キャリアの多様化が実現することでしょう。だから私は、この方向で変革を進めることを目指していきたいと思っています。皆さんはどう思われるでしょうか。

5000社以上の企業を調査した、日本の人事部の「人事白書調査レポート2022」によれば、戦略人事に取り組んでいる企業は約4割に過ぎません。戦略人事に取り組まない理由としては、「何をすればいいのかがわからない」が約4割となっており、経営戦略と人事戦略の連動はまだまだ進んでいないことがわかります。

経営層や人事担当者だけでなく、現場を預かる管理職の皆さんが、こうした変革の方向性を理解し、意識しながら日々のマネジメントを行なうことが、今後、さらに大事になってくるのではないでしょうか。




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