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上場企業の女性役員比率、過去最高に〜経団連調査2025が示す課題〜

11/6(木) 22:30

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上場企業の女性役員比率、過去最高に〜経団連調査2025が示す課題〜
上場企業の女性役員比率、過去最高に〜経団連調査2025が示す課題〜

2025年10月2日、一般社団法人日本経済団体連合会(以下、経団連)は「上場企業役員ジェンダー・バランスに関する経団連会員企業調査結果2025」(以下、調査)を公表しました。
この調査は、プライム・スタンダード市場上場企業および経団連会員企業を対象に、女性役員の登用状況を詳細に分析したものです。
調査結果からは、女性役員比率が年々上昇している一方で、2030年の政府目標達成に向けた課題も浮き彫りになりました。

女性役員比率は着実に上昇、政府目標に近づく

調査によると、東証プライム市場上場企業における女性役員比率は18.4%に達し、前年比2.3ポイント増加しました。
経団連会員企業に限ると19.0%となり、政府が掲げる2025年の目標「19%」をすでに達成しています。さらに、経団連の「2030年30%チャレンジ」に賛同するプライム市場上場企業146社では、女性役員比率が21.6%に達しており、先進的な取り組みが進んでいることがわかります。
また、女性役員が1人も登用されていない企業の割合についても、プライム市場全体で2.4%まで減少し、経団連会員企業では1.1%にとどまりました。
2030年30%チャレンジに賛同する企業146社では、全社が女性役員を1人以上選任しており、女性登用ゼロ企業の撲滅が着実に進んでいます。政府目標である「2025年までに女性役員登用企業ゼロ」の達成に向けて、企業の意識改革が進んでいる状況がうかがえます。

社外役員の女性比率が高く、社内登用に課題

調査結果を詳しく見ると、女性役員の内訳に特徴が見られます。
社外取締役の女性比率は36.5%と高い一方で、社内取締役の女性比率は3.9%にとどまっています。
監査役についても同様の傾向があり、社外監査役の女性比率は22.3%である一方、社内監査役は5.5%と低水準です。

この背景には、上場企業が行う企業統治(コーポレートガバナンス)においてガイドラインとして参照すべき原則・指針「コーポレートガバナンス・コード」や東京証券取引所の企業行動規範により、独立社外取締役の選任が求められていることが影響していると考えられます。

【補充原則4−101】
上場会社が監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であって、独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合には、経営陣幹部・取締役の指名(後継者計画を含む)・報酬などに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする独立した指名委員会・報酬委員会を設置することにより、指名や報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たり、ジェンダー等の多様性やスキルの観点を含め、これらの委員会の適切な関与・助言を得るべきである。
特に、プライム市場上場会社は、各委員会の構成員の過半数を独立社外取締役とすることを基本とし、その委員会構成の独立性に関する考え方・権限・役割等を開示すべきである。

出所元:株式会社東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード(2021年6月改訂版)」

特にプライム市場上場企業では、取締役会の3分の1以上を独立社外取締役とすることが推奨されており、ダイバーシティの観点から女性の社外役員が積極的に登用されています。
一方で、社内役員の女性比率が低い状況は、企業内での女性管理職の育成や登用が十分に進んでいないことを示しています。
今後、女性役員比率をさらに高めるためには、社内人材の育成とタレントパイプライン(注記)1の強化が不可欠です。企業が長期的な視点で女性リーダーを育成し、経営層への登用を進めることが求められます。

(注記)1:将来的に求められるであろう人材の計画的な確保・育成を目的として、候補者のプールや継続的なリストアップを行う仕組み。

旧姓の通称使用と選択的夫婦別姓の課題

調査では、役員が旧姓を通称として使用している状況についても分析されています。
有価証券報告書上で、日常的に使用している通称とは別に戸籍上の姓を開示している女性役員は、プライム・スタンダード市場上場企業で502名、経団連会員企業で173名に上りました。
興味深いのは、若い世代ほど旧姓の通称使用を開示している割合が高い点です。30代前半では26.7%、40代前半では17.7%が通称使用を開示している一方、70代以上では1.5〜2.6%にとどまります。これは、企業で旧姓の通称使用が認められるようになったのが1980年代後半以降であり、年代の高い女性役員は婚姻時に旧姓を使い続けることが難しかった時代背景を反映しているといえます。

経団連は今後の課題として、法律上求められていない戸籍姓の開示をやめることの呼びかけと、通称を使わずに生来の姓を使い続けることのできる「選択的夫婦別姓」制度の早期実現を掲げています。キャリアの継続性や信頼の基盤を維持するためにも、働く人が姓を選択できる制度の整備が求められます。

<参考>
・一般社団法人日本経済団体連合会「上場企業役員ジェンダー・バランスに関する経団連会員企業調査結果2025」
・株式会社東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード(2021年6月改訂版)」

著者:蜂谷未亜




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