[フレーム]
ニュース
kuji
毎日くじ
文字サイズ
dmenu
dメニュー
  • 最小
  • 最大

「選ばれる企業」への変革〜少子化社会を生きる若者の働き方の理想と現実〜

10/13(月) 22:30

share
シェア
「選ばれる企業」への変革〜少子化社会を生きる若者の働き方の理想と現実〜
「選ばれる企業」への変革〜少子化社会を生きる若者の働き方の理想と現実〜

厚生労働省が公表した「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、2024年の年間出生数は68万6,061人で、前年の72万7,288人から4万1,227人減少したことが明らかになりました。
出生数の減少は9年連続です。
また、合計特殊出生率は1.15と、前年の1.20から0.05ポイント低下し、比較可能な1947年以降で最も低い水準となりました。
東京都においても出生数は8万4,205人で、前年より2,143人減少しており、都市部での少子化対策の重要性が一層浮き彫りになっています。
こうした状況を踏まえ、東京商工会議所は「東京における少子化対策専門委員会」を設置、2025年8月22日には報告書「少子化脱却に向けた挑戦〜若者を惹きつける企業へと変革するために〜」を公開しました。
今回は、本報告書をもとに、若者の働き方に対する意識や実態に焦点を当て、企業が直面する少子化による人材不足を解消するためのポイントをわかりやすく解説します。

少子化社会を生きる若者の理想と現実

東京商工会議所は2024年4〜5月、都内事業所に勤務する18〜34歳の男女2,198名を対象に、結婚・出産・働き方に関する意識と実態を調査しました(「東京在勤若者世代の結婚・出産意識調査」)。
同調査によると、独身者の78.7%が「いずれ結婚するつもり」と回答しており、若者の多くが結婚に前向きな姿勢を持っていることがわかりました。
未婚化・晩婚化が進むなかで「最近の若者は結婚願望がない」と思われがちですが、実際には希望を持っている人が多いという結果です。
では、なぜ結婚願望があるにもかかわらず、少子化が進んでいるのでしょうか。

同調査で「結婚におけるハードル・障壁に感じるもの」に挙げられた上位項目は「良い出会いがない」(42.7%)、「経済的な不安(収入、雇用、住宅費、奨学金返済、教育費など)」(36.7%)、「自分の時間がとれない」(29.4%)でした。
このように「経済的な不安」が「良い出会いがない」に次ぐ高さとなっています。
近年、税負担の増加や生活必需品の値上げなど社会的要因もあり、若者が将来への不安を強く感じている様子が結果からわかります。
また、日本では「共働き世帯」が増加し、仕事と家事・育児を両立するライフスタイルが一般的になりつつあります。
その背景には、経済的な不安から安定した収入を家庭内で複数確保したいという意識が強まっていることも影響していると考えられます。

出所:東京商工会議所「少子化脱却に向けた挑戦〜若者を惹きつける企業へと変革するために〜」

希望する結婚・子育ての制度

東京都の「福祉保健基礎調査」(2022年11月公表)によると、都内の共働き世帯は全体の約7割を占めています。
企業の人手不足を克服すべく、若者から選ばれる企業になるためには、共働きを前提とした採用・育成制度の整備や柔軟な働き方を可能にする環境づくりが不可欠です。
東京在勤の若者が結婚・子育てを想定した場合に望ましいと考える制度は「テレワーク」が61.2%、次いで「フレックスタイム制」が58.5%と多数を占めました。
一方で実際の利用率は「テレワーク」が38.8%、「フレックスタイム制」が29.2%にとどまり、希望との間に大きなギャップがあることが浮き彫りとなっています。
さらに、両制度について「利用していない」と回答した人も42.7%に上りました。
共働き世帯が結婚・子育てを安心して行えるようにするためには、この希望と現実の差を埋める取り組みが重要です。

出所:東京商工会議所「少子化脱却に向けた挑戦〜若者を惹きつける企業へと変革するために〜」

育児休暇をめぐる現状と課題

子育てに欠かせない育児休暇の取得状況には、男女間で大きな差がみられます。
「半年以上」の取得経験がある女性が8割を超える一方で、男性は4%未満にとどまっています。
男性の過半数以上は「取得経験なし」または「1週間未満」と回答しており、依然として取得率は低い状況です。
また、「育休を取得するハードル・障壁となると思うもの(取得済みの場合、実際に障壁となったもの)」として、女性は「収入への影響」(50.2%)や「キャリアへの影響」(32.7%)を挙げたのに対し、男性は「上司や同僚に迷惑がかかる」(55.3%)、「顧客に迷惑がかかる」(16.8%)といった職場への影響を懸念する傾向が強いことも明らかになりました。
しかし一方で、「育休取得意向(「子どもは持たない」と回答した人を除く)」については、男性の約8割が今後の育休休暇を「取得する意向がある」と回答しており、意識の変化も進んでいます。
実際に、男性の育休取得率は2019年度まで1割未満でしたが、年々上昇し、2024年には4割を超えました(厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」)。
加えて、「出生後休業支援給付金(厚生労働省)」など取得を後押しする制度も整備されつつあります。

少子化問題は、企業にとっても長期的な人材確保や定着に直結する経営課題です。
企業には、これからの時代に合った企業倫理を築き、子育て世代への理解ある職場環境を整備し、従業員一人ひとりのライフデザインを支援することが求められています。
企業自らが変革し、未来を担う若者から「選ばれる企業」となることが、少子化社会を乗り越えるための重要な鍵となるでしょう。

<参考>
・ 東京商工会議所「報告書『少子化脱却に向けた挑戦 〜若者を惹きつける企業へと変革するために〜』を公開しました」
・ 東京商工会議所「『東京在勤若者世代の結婚・出産意識調査』結果について」
・ 厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
・ 東京都保健医療局「人口動態統計 令和5年」

著者:須賀 実咲




関連記事

産業保健新聞の他の記事もみる

あわせて読む

主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
暮らしのニュースをもっと見る

暮らし 新着ニュース

新着ニュース一覧へ
(追記) (追記ここまで)

暮らし アクセスランキング

ランキングの続きを見る

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

記事検索

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
(c) 2025 Doctor Trust Co., Ltd

トップへ戻る

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /