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2024年度
幅広い両立支援の取組で多様な働き方を実現
仕事と育児の両立支援 フレックスタイム制
インタビュー
人財統括部長 人事部長
滝野 吉人さん
創業以来「ゆとりとやりがい」を会社の基本方針として掲げ、従業員が働きやすい環境づくりに長年取り組んできました。「ゆとり」とは、精神的、時間的、経済的、空間的なゆとりを指しています。人事労務関連の制度を検討する際は法定通りに導入するのではなく、従業員のゆとりとやりがいを確保するため、法定以上のことを会社としてどこまで制度化できるかを、常に念頭に置いて考えています。
両立支援制度の一つとして重要な在宅勤務は、1989年にまず育児・介護を事由とした従業員を対象として運用を開始しました。今となっては多くの会社で当たり前の在宅勤務制度も、30年以上前から導入しているのは、当社が働きやすい環境の整備を推進してきたことの表れだと思います。
2018年に開始した「ウルトラフレックス制度」とは、1990年から導入しているコアタイムなしの「スーパーフレックス」と「私用外出」に加え、「フレキシブル有休」、「リフレッシュタイム」を新設・追加した勤務制度の総称です。「フレキシブル有休」とは、半日有給休暇の時間帯を固定せず、フレキシブルに30分単位で取得可能な年次有給休暇であり、「リフレッシュタイム」とは、業務中にリフレッシュするため10分単位で休憩が可能な制度です。これらの制度の追加により、さらに柔軟な働き方が可能となりました。
また、短時間勤務制度は、育児のためだけでなく、介護や不妊治療にも利用できます。育児の場合は、子どもが小学3年生まで利用可能です。勤務時間も4時間、5時間、6時間のいずれかから選択可能としています。新たに制度を検討する際は、従業員が希望にあわせて利用できるように選択肢を増やすようにしています。
2024年7月に「ヘルスケア休暇」を新設しました。ヘルスケア休暇は、従業員の健康管理を目的とした休暇で、年12日(うち有給2日)、30分単位で取得が可能です。
また、従来からある休暇・休業制度について、従業員の生活を支援するものとの考えから、「ライフサポート休暇・休業」として再編しました。2024年に新設した「不妊治療休暇・休業」も「ライフサポート休暇・休業」に含まれます。不妊治療休暇は年12日(無給)まで30分単位で取得可能で、不妊治療休業は最長1年間取得可能としています。
利用者がいかにフレキシブルに制度を活用できるかを念頭に置いており、仕事とプライベートの両立に取り組む従業員が安心して働ける環境づくりを会社として進めています。
多様な働き方を可能にする制度の整備だけでなく、ワーク・ライフ・バランスの向上を目的として長時間労働の是正と年次有給休暇取得の促進にも全社的に取り組んでいます。2016年までの状況から残業削減が必要との課題を認識し、2017年に残業80時間超過をゼロにする目標を設定しました。当時の経営トップが全国のオフィスを回って従業員に説明を行い、残業を減らす意識づけを行った結果、従業員の意識が向上し、業務効率化が進められ、年間平均残業時間は減少しています。
制度としては2016年より毎週水曜日のノー残業デーの導入、休暇取得促進のための誕生日や結婚記念日、子どもの学校行事等に利用できる年次有給休暇である「マイホリデー休暇」の設定、会社独自に毎月第3金曜日をプレミアムフライデーとして15時退社や午後半休の取得を推奨しています。
2019年に女性活躍推進法に基づくえるぼし認定で3段階目の認定を受け、同年にプラチナくるみん認定を、さらに不妊治療と仕事との両立をサポートする企業として2024年にプラチナくるみんプラス認定も取得しました。認定取得のために制度を整備してきたわけではなく、制度の整備が先行しており、後から認定基準を満たしていると気づいて申請をし、認定を取得してきました。
こうした企業認定は両立支援の制度や働きがいのある職場環境が整っていることを対外的にアピールすることになり、取引先から企業としての評価向上につながっていると感じています。また、公共調達において入札の際に加点評価を受けられることは取組を進めて良かった点といえます。
これまで社内で検討を重ね、さまざまな制度を整備してきましたが、実際に利用してもらうことに意味があります。誰もが利用しやすい環境になっているか、制度を知らずに活用できていない従業員がいないかを確認し、利用促進の方策を考えていきたいと思っています。また、長期休業している同僚を周囲がカバーしていることにも十分配慮しながら、お互いにサポートし合う職場を当たり前にしていけたらと考えています。
育児休業などで長期間職場を離れることによるキャリアロスの軽減についても、今後の課題と認識しています。仕事と家庭の両立を支援する制度が充実している一方、女性に限らず、どうすればさまざまな人材がさらに活躍し、キャリアアップを目指せる環境になるかを議論するため、2021年に発足したLキャリア推進室とともに検討を進めていきたいと考えています。
出生時育児休業の取得が仕事への向き合い方を
見直すきっかけに
システムインテグレーション事業本部
ビジネスソリューション事業部
第1技術部 DNグループ
リーダー 石丸 祐弥さん
新卒で入社して7年目の2024年に、第2子の出産直後から28日間の出生時育児休業を取得しました。
第1子の時は、育児休業は取得せず、在宅勤務や通常の休暇を取得しました。第2子の場合は新生児の世話と、上の子の育児の両立が大変なため、私が出生時育児休業を取得して、上の子の面倒を見ることにしました。コロナ禍で在宅勤務が主体となっていたため、育児休業を取得しても生活が大きく変わったわけではありませんでしたが、働きながらの子育てとは大変さが違うので、メリハリをつけて家庭のことに集中できたのは良い経験になりました。
また、育児休業を取得するにあたり、事前にお客様や社内との調整を行い、別の担当者に私の業務を代行してもらえるように仕事を見える化したことは、自らの仕事の向き合い方を考えるきっかけになりました。お客様のシステムを開発する仕事をしているため、在宅勤務ができるかどうかは案件にもよりますが、今後も社内の制度を利用し、仕事と育児を両立して子どもの成長を見守りながら働きたいという思いが強くなりました。
育児との両立を可能にするフレキシブル有休などの制度を活用
エリア事業本部 中部支社
営業部 第3営業グループ
リーダー 大塚 あやめさん
製造業のお客様のIoT化を提案する営業の業務を担当しています。第1子の出産で2023年末から産前産後休業、育児休業を10か月ほど取得し、仕事に復帰しました。地元の保育所に預けるつもりでしたが空きがなく、職場の近くの保育所に預けることになりました。そのためウルトラフレックスを利用して、通勤ラッシュの時間を避けて1時間遅く出社しています。
また、子どもの体調不良でお迎えした後、在宅勤務に切り替えて仕事を続けることもあるため、必要に応じて30分単位でフレキシブル有休を取得できることは、仕事と育児を両立する上で非常に助かっています。
急ぎのお客様対応が必要なこともありますが、出産前と変わりなく営業職ができているのは従業員一人ひとりの働き方に柔軟に対応できる勤務制度が充実しているおかげだと思っています。周囲の話を聞くと育児だけでなく、介護などに制度を利用する人も多いです。
周りで子育てしている先輩従業員と情報交換をしていますが、当社は全国に拠点があるため、今後は、他部署の人がワーク・ライフ・バランスのために工夫していることなどの情報が共有されて、参考にできると良いと考えています。
(データの取材時点:2024年11月)