女性の活躍推進・両立支援総合サイトトップ > 女性活躍・両立支援事例集トップ(事例検索) > 企業事例
2022年度
ボトムアップで女性がキャリアを継続できる仕組みづくり
仕事と育児の両立支援 仕事と介護の両立支援 テレワーク フレックスタイム制 再雇用制度 妊娠中の労働者支援 男性育児参画 短時間正社員制度 女性活躍推進 女性管理職登用
インタビュー
総務部
小松 亜沙美さん
当社は45歳以下の女性が半数以上を占める会社です。2016年の女性活躍推進法施行以前から、「会社の成長のためにも女性の活躍推進が必要ではないか」と会社として提議し、総務部内で女性活躍推進チームを立ち上げました。社内の各部署から1名ずつ選出されたメンバーでワーキンググループを結成し、1年後に滋賀県女性活躍推進企業制度2つ星の認定を受けることを目標に掲げ、さまざまな制度改革に取り組んできました。
ワーキングメンバーは女性6人男性3人で、育児中、独身など様々な立場の人たちが、月1回集まり、目標のために何をするべきか、一つひとつ課題を確認し、クリアしていきました。2017年度にはワーキンググループを解散しましたが、成果として、2017年4月1日から育児や介護等にかかわる社内規則を10項目改訂し、法律以上に手厚い制度としました。5年経った現在も、改訂した制度は好評で、よく利用されています。ボトムアップの活動による改革は大変でしたが、やってよかったと感じています。
両立支援というよりも、「社員がライフイベントによってキャリアにブレーキをかけない」ことを目的に、以下のような取組を行いました。
(1)在宅勤務制度の導入
育児・介護事由限定で在宅勤務を導入しました。しかしここ2〜3年はコロナ禍による臨時措置として現場作業が中心のパートタイマーを除く全社員が利用できる制度として運用しています。2017年から一部社員とはいえ在宅勤務の実績があったため、コロナ禍にも混乱することなく在宅勤務が定着したのは改革の副次的効果でした。
(2)柔軟な勤務時間
時差勤務制を採用し4つの勤務時間の中から選択可能。
(3)制度の利用期間の延長
育児短時間勤務を、小学校入学までに延長しました。
(4)男性の育休取得を奨励
男性の育休取得率を上げるために、育休の最初の3日を有給としています。
(5)復帰後の昇格制度の見直し
育児や介護による休業によって昇格が遅れるという不安を回避するため、昇格制度を見直しました。具体的には、昇格の資格要件に当年を含む過去3年の就業実績が必要でしたが2年に短縮しました。
(6)次世代リーダー育成プログラム
2017年4月より毎年各部署から選抜された社員(男性も含む)を対象に、次世代リーダープログラムを実施しています。
(7)働き方改革
女性活躍推進とは別に働き方改革ワーキンググループを結成。ECRS(イクルス;除去する、まとめる、整理する、簡単にする)という手法で業務を見直し、大幅な業務改善を行いました。
(8)ITによる業務の簡略化
ファイルの共有や情報の共有を行うことで、業務の効率化がより進みました。また、在宅勤務が増えてface to faceのコミュニケーションが減少しましたが、それに代わるコミュニケーションツールとして、チャット機能を活用しています。
(9)フレックスタイム制の導入
2020年4月からフレックスタイム制がスタート。業務改善やIT化で環境が整っていたからこそ実現できたと思います。
目標であった、滋賀県女性活躍推進企業認証制度二つ星企業に認定されました。昨年は念願のプラチナくるみんにも認定され、滋賀県では4番目の事例です。名刺に認定マークを印刷することで対外的なアピールになっています。
社員の働き方は、女性活躍推進チームができた2016年を境に、大きく変わりました。ワーク・ライフ・バランスが向上し、制度改革がキャリアの継続につながっています。これまで、出産や育児・介護事由の離職はありません。
在宅勤務は大変好評で、全社員の利用は現在のところコロナ禍による臨時措置ですが、継続して全社員が利用できるようにしてほしいという要望が高いです。多様な働き方の選択肢の一つとして、近々制度化する予定です。
女性管理職については、現在次長が1名、リーダー職が2名で、まだまだこれからですが、今年度で6年目を迎える次世代リーダー育成プログラムの存在は少しずつ社内に浸透していると感じています。これまでに女性4名を含む30名以上の社員が選抜されており、これは全社員の3分の1にあたります。このプログラムでは、各自が設定した変革課題に1年をかけて取り組み、最後に社長プレゼンを行うというチャレンジングな内容で、非常に刺激になっているようです。
ボトムアップで経営層を動かすためには、大きなエネルギーが必要です。チームビルディングを行い、チームの活力を高めることが最も苦労した点です。メンバーは本業とプロジェクト活動を両立しなければならず、どうしても負担が増えます。メンバーの負担を減らすために総務部で作業をサポートしたり、モチベーション維持のために要所要所で当初の目的を確認し合うなどの工夫で乗り越えました。
会社が生き残るためには、社員の心理的安全性確保が不可欠です。何が社員の心理的安全につながるのかを今後追求していきたいと考えています。人事制度の再構築も検討中です。全社員が満足できる制度をつくることは難しいかもしれませんが、少なくとも、納得できる制度とし、今後のトレンドも予測しながら先見性のある改革を行っていく考えです。
恵まれた環境に感謝し
キャリアアップを目指す
総務部
小松 亜沙美さん
銀行に5年間勤務し大学職員を経て、現職に至ります。入社して間もなく、女性活躍推進プロジェクトの立ち上げメンバーとなりました。
私自身は、3歳児と1歳児の育児と仕事を両立しています。フレックスタイム制、在宅勤務制度、また時間単位での年次有給休暇等を利用しながら、フルタイムで働いています。
時差勤務の制度もありますが、利用するには事前申請が必要だったり、1カ月は固定の時間帯で勤務する必要があります。その点、フレックスタイムは事前申請不要、社内のスケジューラーに前日までに勤務時間を入力しておけば良いという仕組みになっています。日によって勤務時間を変更できるので、使い勝手がいいですね。
これらの制度がなければ、とてもフルタイム勤務はできなかったと思います。
出産前と後で大きく違うのは、出産後は残業をしたくてもできないことです。限られた時間で最大限に成果を出すにはどうすれば良いのか、日々試行錯誤です。
ただ、働き方改革ワーキンググループによる、ペーパレス化や無駄な作業をなくす取組による業務改革で、非常に働きやすくなっていると感じています。
また、こどもの体調不良などでどうしても急遽休まなければいけないことがあります。部署の皆さんになるべく迷惑が掛からないよう、社内スケジューラーや共有フォルダの活用で、情報や進捗を共有することを心がけています。
現在の仕事にはとてもやりがいを感じています。特に人事の仕事は数年先を見越して行うことも多いため、なぜそれが必要なの?という疑問に対し、丁寧に説明する力(≒コミュニケーション能力)が必要です。今後、個人的にもインプット及びアウトプットの機会をさらに増やし、そういった力を身につけたいと考えています。
(データの取材時点:2022年11月)