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2021年度
女性従業員のスキルアップやキャリアアップを積極的に支援しています
女性活躍推進 女性職域拡大 女性管理職登用 女性採用拡大
インタビュー
お話を伺った金沢支店管理本部の皆さん
(後列左から)
総務課 課長 東 丈浩さん
業務一課 係長 高嶋 鈴香さん
管理本部 本部長 越野 智明さん
人事課 岡 亜紀子さん
(前列左から)
人事課 課長 森田 晴子さん
管理本部 副本部長 小坂 智正さん
当社では、「社員こそが財産」という考え方に基づき、女性の活躍推進を人財への投資に関する経営戦略の重要なテーマと考えて、男女ともに働きやすい職場環境づくりを目指した取組を進めています。女性の活躍推進のための各種取組を始めたきっかけは、2014年に他社を経て入社した管理本部長が、客観的な視点から見て、当社における女性の活躍推進が遅れていると感じたことです。
以前は各営業課に女性従業員1名という組織形態でしたが、2017年からは営業課の女性従業員を業務部業務課の所属とし、複数名の女性従業員による営業バックアップ体制を構築しました。これにより、各営業課の営業支援業務が属人化していた状況が改善され、女性従業員が以前よりも休暇を取得しやすい体制ができました。現在は、有給休暇取得率の向上を数値目標に設定し、各組織で有給休暇取得率の向上に取り組んでいます。
女性従業員だけの業務課で女性課長や女性監督職のニーズが生まれたことで、女性従業員の意識も変わり、新たな業務や役職にチャレンジする女性が増えました。組織形態の変更に加えて、ジョブローテーションも実施し、女性従業員のスキルアップを推進しています。
女性の活躍推進に取り組むにあたり、女性従業員へのインタビューを実施したところ、総合職として働くことを考える際に転勤がネックであるという声が多く聞かれました。そのため、女性の昇進を促進する人事制度の改定に取り組み、2017年に転勤のない地域限定総合職を設定しました。同時に一般職から総合職(地域限定を含む)への職掌転換制度を導入した結果、2016年に3名であった女性総合職が2021年には16名に増えました。
人事制度の改定に加えて特に注力しているのは、女性の意識改革です。具体的には、2015年から資格取得奨励金を大幅に増額して、男女を問わず、従業員の仕事に対するモチベーションアップや自己啓発を促しているほか、全員研修を実施し、そのほか女性のスキルアップのための目的別セミナーへの参加を全社を挙げて支援しています。
また、女性の意識改革を目的とした女性会議を2015年から定期的に開催しています。女性会議は女性が主体となって自主的に開催するものであり、対象者は女性従業員全員で、会議のテーマも女性が決めます。これまでの女性会議で、会社側からのメッセージとして、資格取得の促進、SDGs、総合職と一般職の違いなどを伝えてきましたが、2021年からは、常に問題解決を心掛け、PDCAサイクルを回して業務の改善や改革を目指してほしいということを女性従業員に対して伝えています。
さらに、当社では過去4年間毎年、女性向けの健康セミナーを開催しています。女性向け健康セミナーでは、健康的な食事、運動、女性のライフステージに応じた体の変化などをテーマに取り上げ、現時点で全女性従業員が受講済みです。なお、女性特有のがん検診は年齢に関係なく受診を勧めており、健診費用は全額会社が補助します。例えば、乳がん検診は、超音波検査とマンモグラフィー検査の両方を受けることも可能です。
人事制度の改定や意識改革を進めてきたことにより、女性従業員の仕事に対するモチベーションは確実に変わってきていると思いますし、女性の活躍推進に関する取組の結果として、ワーク・ライフ・バランスの向上を実感している従業員は男女ともに多いと感じます。また、ジェンダーフリーに向けた環境整備を進めてきたことは、採用活動にもプラスに働いています。例えば、2021年の新卒採用者10名中6名が女性で、そのうち4名が営業職です。
女性従業員の活躍を積極的に推進するためには、男性従業員の理解が必要不可欠です。以前は、女性はアシスタントまたはサポート役で良いと考える男性従業員がいました。しかし、組織形態を変えたことにより業務の属人化が解消されて組織の業務効率が向上したことなど、実際に新しいバックアップ体制の良さを感じることで、男性従業員の意識も変わってきていると思います。
また、2019年には外部講師を招き、女性従業員向け、管理職向け、男性一般従業員向けにジェンダー研修を合計6回実施しました。ジェンダー研修の内容については女性従業員から共感を得ることができたほか、研修に参加した多くの従業員から「新たな気づきが得られた」という声が聞かれました。
育児休業については、女性従業員の育児休業取得率は過去10年間100%ですが、以前は男性従業員による取得実績がありませんでした。そこで、男性従業員に対して育児休業の取得を積極的に呼びかけ、過去2年間で男性従業員5名が育児休業を取得し、取得率50%を達成しました。
今後は、女性従業員の活躍をさらに後押しして、女性管理職をもっと増やしたいと考えています。2021年時点で主任以上の管理職における女性比率は7.8%ですが、2022年にはこの比率を10%にすることが目標です。また、課長より上の役職に就いている女性従業員は現在いませんが、女性にもさらに上の役職を目指してほしいです。そして、将来的には役職者の男女比率が半々になることが理想です。
女性の活躍推進に対する従業員の意識が男女ともに変わってきたことを実感
金沢支店 業務一課 係長
高嶋 鈴香さん
2005年に当社へ入社した際は子どもが未就学児であったため、最初の3年間は15時までのパートタイム勤務でした。その後、2008年に勤務時間を17時までに延長し、2018年には地域限定総合職へと職掌転換して、事務リーダーになりました。
入社当時は、女性従業員はサポート業務のみを行う雰囲気があり、社内で女性従業員まで回ってこないような情報もありました。しかし、会社が女性活躍推進の取組を積極的に進めるなかで、女性自身の意識が次第に変わり、会社の利益など数字に興味を持つ女性従業員が増え、営業的に重要な提言をしたり、業務の幅を超えた活躍をする場面が多くなりました。業務環境だけではなく職場環境や人材の配置に関しても女性従業員からさまざまな提案がなされるようになりました。私自身も、女性活躍推進に関する研修を受けて意識が変わり、長い時間を過ごす会社でキャリアアップし、もっと大きな役割を担えるようになりたいと思うようになりました。
2019年に主任になり、2020年からは係長となったことで仕事の範囲が一層広がり、次第に、福井支店ではなく本社のある金沢で仕事をしたいという意識が芽生えました。そこで、子どもが大学生になったこともあり、2021年からは地域限定ではない総合職に職掌転換し、平日だけ単身赴任で働いています。
キャリア形成に関しては、業務に役立つ資格の取得や知識の習得を心掛けているほか、周囲とのコミュニケーションを大切にしています。女性がキャリアアップを実現するためには男性従業員の意識を変えることも重要ですし、役職に就き責任が増えることで女性が精神面で強くなる必要もあると思います。また、育児や介護が必要な女性従業員にも活躍を促すことが課題だと感じています。自分の行動が周囲の従業員の意識改革に少しでも役立てばうれしいですし、現在は人数の多い事務職の女性従業員がステップアップした役割を担って活躍できるよう、今後は後進の育成にも積極的に携わりたいと考えています。
(データの取材時点:2021年11月)