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西日本新聞社では、パリ五輪に取材班を派遣して大会の熱気をお届けします。これまでの五輪でも記者やカメラマンが現地で取材し、幾多の名シーンを伝えてきました。当時の記事や写真を「西スポWEB OTTO!」で復刻し、皆さんの記憶に残る歴史的な瞬間をどのように伝えたかを振り返ります。

◇ ◇ ◇ ◇

【2004年8月15日付 西日本新聞より】

ヤワラ、ミセスで再び頂点―。アテネ五輪は14日、柔道が始まり、女子48キロ級の谷亮子(トヨタ自動車、福岡県出身)が、旧姓の田村で出場したシドニー大会に続いて金メダルを獲得した。
今大会の日本選手の金メダル第1号で、日本の女子選手で五輪史上初の連覇を達成した。
谷は準決勝までオール一本勝ちで、4大会連続の決勝進出。決勝で、長身のフレデリク・ジョシネ(フランス)に苦しんだが、背負い投げで有効を奪い、終盤には大内刈りで技あり。優勢勝ちで連覇を飾った。
本番1カ月前に左足首を痛めた谷は「シドニーの時より何倍もうれしい。痛くても絶対に畳に立って(試合を)やると決めていた」と感激の涙に浸った。
◇ ◇ ◇ ◇
敵はいなかった。攻めに攻めまくった。気合が顔にあふれた。世界に君臨する女王のすごみが相手を威圧し続けた。シドニー五輪後、それまでの「勝つ柔道」から「一本を取る柔道」に志を高めた谷の真骨頂。日本女子選手として史上初の五輪連覇は「原点への回帰」から生まれた。

小学校時代、体重わずか20キロの少女が90キロの男子をあらゆる立ち技で投げ飛ばした。それが谷の柔道の原点。大会約1カ月前に左足首を痛め、本番では「まだ70%の回復だった」というが、そのけがが負けず嫌いの柔道家の闘争心に火を付け、体を前へ前へと動かした。

「3週間練習できなかったことが『勝ちたい』との気持ちを強くした。足が使えなくなっても戦い抜く気持ちで臨んだ」。谷はアテネの青畳での心中をそう表した。初戦から繰り出した多彩な技。3回戦では奥えりをつかみ、ハッダ(アルジェリア)を大外刈りでしとめた。昨年の世界選手権と同じ顔合わせとなった決勝のジョシネ(フランス)からは大外刈りと背負い投げ、大内刈りで次々とポイントを挙げた。

146センチの女王は小さな体ゆえ、「一つの技を封じられると、それで終わってしまう」。だからこそ、得意技をつくらないままで来た。力負けしないよう、ウエートトレーニングを増やし、筋力をつけながら技のレパートリーを増やしていった。吉村和郎監督は谷の強さを「微妙なさじ加減がうまい。だれかが追っても頭を押さえつける。小さな山だけど、なかなか越せない」と例える。

6連覇を果たした昨年の世界選手権では4度の一本勝ち。今大会は4戦中3戦で相手を青畳にたたきつけ、姓を「田村」から「谷」へと変えてもさらに進化した姿を見せた。来年はカイロで世界選手権7連覇がかかり、北京五輪も狙えない領域ではなくなった。谷が描くストーリーにまだ「終わり」は見つからない。 (アテネ14日・田中耕)

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