◆だいやまーくソフトバンク春季キャンプ(7日、宮崎)

ぞろぞろと人が集まりだしたのは、B組(2軍)のフリー打撃が始まった直後だった。王球団会長に小久保監督、城島会長付特別アドバイザー兼シニアコーディネーターにスカウト陣と球団の要職陣が集結し、見つめた視線の先には、今キャンプ初めて打撃投手を務めた岩井、村田、大山の新人トリオの姿があった。

「それぞれの特徴が出ていたね」。即戦力ルーキーたちの投球を目に焼き付けた指揮官は、この他にも各投手の特徴をしっかり評価するなど及第点を与えていた。いきなりA組(1軍)へ昇格なんてことはなかろうが、チームの底上げには欠かせない貴重な新戦力だけに、確かな手応えを感じ取った様子だった。

そんなにぎやかしい中での打撃投手が終わると、小久保監督や城島シニアコーディネーターはB組のグラウンドを後にしたわけだが、おっ!と思わせたのは同じ新人ではあるが、こちらは育成ドラフト1位入団の大泉周也外野手(24)だ。身長173センチと野球選手としては小柄ながら、体重89キロとがっちりとした体型を存分に生かした力強いスイングで、左打席から強烈な打球を連発。もちろん、柵越えも何本もあった。

しかも、反発力を生かせない打撃コーチの緩い球を打ち返しての打球とあって、すごみはさらに増した。これにはそのまま居残り、B組の打撃練習をすべて見守った王球団会長も「彼(大泉)はよかったね。体の割にはいい打撃をしていたよ。スイングも力強くてね。これからいろいろと上がって出てくる数字とかを見ていきたいね。やっぱりこの世界はね、いいものを持っている人はどんどん出てくるんだよ。いやあ、本当にいいスイングをしていて、楽しみな選手だなと思ったよ」と大絶賛するほどの打撃だった。

大泉は山形中央高から社会人野球の日本製鉄鹿島に進み、独立リーグ、ルートインBCリーグの福島レッドホープスを経てのプロ入りと異色の経歴を持つ。担当の作山スカウトは「(福島)レッドホープスを見に行った時に、岩村監督(ヤクルトや米大リーグなどで活躍した岩村明憲)におもしろい選手がいるから見て行ってくださいと言われて見たら、高校時代に自分がリストアップしていた大泉だった。当時はまだ細かったけど、いい打撃をしていたのをよく覚えていた」と回想。その上で「去年は独立リーグでホームラン王にもなったし、飛ばす能力は誰よりも持っている。きょうの打撃を見た感じは多分、緊張とかもあって本来のスイングはできてなかったけど、これからもっと状態が上がって来るから楽しみにしといて」と猛プッシュされた。それも十分納得のフリー打撃だった。(石田泰隆)

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石田 泰隆

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