◆だいやまーく記者コラム・タカ番24時

育成選手として入団してから10年目、通算164試合目の登板で成し遂げた「有言実行」だった。「どの試合でも、完全試合、ノーヒットノーランを目標にして入っていく」。8月18日の西武戦で史上88人目(通算99度目)、球団では4人目のノーヒットノーランを達成。右腕石川柊太の「究極の理想」がついに現実となった。

先発投手は登板前日に報道陣の取材を受ける。その中で石川の受け答えは、いつも難解だ。記者の〝誘い〟の質問に乗せられることはなく「哲学者」のように言葉を重ねながら、自らの考えを説明する。深い思考を口にする一方で、右腕の根底にあるものは至ってシンプルだ。

試合時間の短縮に貢献した投手に贈られる「スピードアップ賞」を2020、21年に獲得し、殿堂入りした。投球間隔が極めて短く「ちぎっては投げる」の表現がぴたりと当てはまる右腕に聞いたことがある。「一球一球、配球は考えているのか」。石川はあっけらかんとした表情で「ランナーがいない状況で首を振ったことはないですね」と言い切った。

その理由に「石川らしさ」が詰まっていた。「キャッチャーが出したサインに100%応えられたら、打たれるはずがないんです。極論を言えば、サインがどうこうじゃなく、分かっていても打たれないボールを投げ込み続ければいい」。これからも目指すのは圧倒的な投球。127球で成し遂げたノーヒットノーランの快挙も、その序章に過ぎない。(長浜幸治)

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長濱 幸治

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