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6月30日のアウェーC大阪戦でJ1リーグ戦通算100勝を達成したアビスパ福岡で、その白星を全てクラブ所属で味わった元選手がいる。トップチームの塚本秀樹GKコーチ(49)だ。

「やっと一つ壁を越えられた。28年目で100勝ですか、ちょっと確かに遅いですけど、それぞれの(クラブに)歴史がありますから」

長崎・国見高から明大に進んだ塚本コーチは福岡がJリーグに参戦した1996年に加入。同年は開幕から4連敗。約1カ月半がかかった4月3日のアウェー市原(現千葉)戦での初勝利はベンチ外で現地にいなかった。

「ウーゴ(・マラドーナ)のPKで(1―0)。開幕前はオーストラリアにキャンプに行って、練習試合でもそこそこ通用していたんです。都並(敏史)さんがいて、上野(優作)、石丸(清隆)、私とか大卒の選手がいて、藤本主税(ちから)とか高卒がいて。若手とベテランのバランスが取れていた感じだった。でも、実際は甘くなかった」。

塚本コーチは即戦力と期待された大卒ルーキーだったが、開幕直前に体に異変を感じた。

「サブ(ベンチ入りする控えGK)には入れそうな感じでやっていたんですけど、張り切りすぎた。胃潰瘍っぽくなって」

初出場はアウェー柏戦(5月11日)。復帰直後でベンチ入りも初めて。ここからけがに苦しみながらも守護神の座を守り続けた。98年、チームは崖っぷちに立たされた。

福岡・塚本秀樹コーチ(撮影・栗木一考)

年間総合順位で最下位となった福岡は、翌年から新設されるJ2とJ1残留を懸けたJ1参入決定戦に回った。

「その前に(横浜)フリューゲルスがつぶれるというので大騒ぎになって。まさか本当につぶれるチームが出てくるとは、と。うちも経営状態は決していい状態じゃなかったから、J2に落ちたら、うちもつぶれるんじゃないかという危機感がすごいありました」

参入決定戦は負ければJ2降格が決まる川崎F戦を3―2の延長Vゴールで制した。その後の市原戦は連敗したが、札幌に連勝してJ1残留を決めた。

「あの時、リーグ戦では雰囲気も言い合いとかなっていてバラバラだった。でも、入れ替え戦(参入戦)になった時は、やっぱ川崎戦とか誰も文句は言わなかったです。とにかく勝つことに必死でした。点を入れられても、やろうよ、やろうよと」

2002年からJ2で戦うことになったが、クラブを出ることなく、05年にJ1復帰を決めたのを見届けて現役を引退。クラブ一筋10年。だが、「ワンクラブマン」とアビスパとの歩みはこれで終わりではなかった。

クラブ主催の小学生を対象としたサッカースクール、下部組織のコーチとしてクラブに所属し続けた。そんな時、本当にクラブ崩壊の危機が訪れた。13年の経営危機だ。

「アカデミー(下部組織)も本当に大変でコーチが5人しかいなかった。私も中学2年の監督をやりながら(全世代の)キーパーコーチをかけもち。みんな、かけもち、かけもちだった」

ただ、クラブを去ることは全く頭になかったという。

「(他のサッカーの仕事の)誘いは正直あったけど、自分はアビスパに救われてきた人間。トップチームのコーチはやりたい。そこで恩返しができればというのがあったので。トップチームは成績だから、そこで切られたら(クビになったら)他にいきます。それ以外だったら、ここにいますとずっと言っていたので。そう言った以上は」

19年に〝夢〟をかなえ、長谷部監督の下で21年からJ1リーグ戦29勝を積み重ねた。「塚本は一番大変ですよ。毎日(練習でGKに向かって)ボールを蹴って」と塚本コーチをねぎらう。

「今こうしてやれているということに幸せを感じます。エレベータークラブと言われていたのが、少しずつ定着して。少しでも力になれているなら良かった」

(注記)後編は近日中にアップ予定です。

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向吉 三郎

向吉 三郎

Director

鹿児島県指宿市。 主にオリンピック、アビスパ福岡を担当。 酒に強い井之頭五郎(目標)

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