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福岡移転から34年。ホークスに入団し、いろんな意味でファンをハラハラさせた外国人選手は枚挙にいとまがない。ホークスに在籍した助っ人の中から、今回はプレー以外でも西スポをにぎやかせた名(迷?)選手たちを厳選した。

◇ ◇ ◇

▼退場3度!

まず、福岡のファンに強烈な印象を残したのはダイエーの初代外国人選手トニー・バナザード内野手だ。1試合左右両打席アーチを3度記録するなど「恐怖のスイッチ打者」として活躍したが、死球を巡る乱闘や、判定に猛抗議して退場を食らう「暴れん坊」ぶりでも有名だった。

南海時代の1988年には当時プロ野球最多のシーズン3度の退場を宣告された。だが、球場の外では温厚な一面も。南海時代にバナザードをスカウトし、当時は球団の海外渉外課長だった古賀英彦さん(83)は「荒くれ者ではあったが、普段は味のある紳士的な男だった。たびたびうちに遊びに来て一緒に食事したよ」と言う。

▼上には上が

「チョップ、チョップ、パナマウンガー!」のパフォーマンスで人気を集めた「パナマの怪人」フリオ・ズレータ内野手も2004年に退場3度を記録してバナザードの不名誉な数字に並んだ。

ワイルドぶりではアレックス・カブレラ内野手も負けていない。日本では12シーズンで通算357本塁打、西武時代には当時の日本タイ記録となるシーズン55本を放ったスラッガーだが、西武・オリックス時代も含む退場は通算7度を数えた。

▼極め付きは

お騒がせ助っ人のトップ?級は、王貞治監督(当時)就任1年目の95年に入団したケビン・ミッチェル外野手だろう。メジャー本塁打王、打点王、最優秀選手賞(MVP)という輝かしい実績を引っ提げて来日。開幕戦初打席で満塁本塁打を放つ派手なデビューを飾ったが、度重なる欠場の果てに5月には米国に無断帰国。同月27日付の西スポ1面には「ミッチ無断帰国」「自宅はも抜けの殻」「契約アウト!」の大見出しが躍った。復帰後の8月にも再び無断帰国して解雇された。

古賀さんはミッチェルとも縁があった。古賀さんがダイエーの1軍ヘッドコーチや2軍監督を経て、米独立リーグのソノマカウンティー・クラッシャーズでコーチを務めた2001年、ミッチェルも同じチームの打撃コーチとしてベンチにいたのである。古賀さんは「いろいろな悪評はあったが、意外と普通の温厚な人間だったよ」と振り返る。ただ、その翌年には試合中に味方コーチを殴打したり、10年にゴルフ場で暴力沙汰を起こしたりするなど、彼のトラブルメーカーぶりは母国でも健在だったようだ。

▼"最悪"?

記憶に新しいのはブラッド・ペニー投手。メジャー通算119勝の大物として2012年に入団したが、4月の来日初登板で右肩痛を訴えて途中降板。結局この1試合、64球だけで退団した。5月9日付の西スポ1面は「防御率10・80は、メジャー通算100勝以上で来日した外国人投手では最悪の成績」と報じ、「1球125万円」「球団史上最悪」「最後まで無礼者」などの怒りをぶつけるかのような見出しが並んだ。

「二重契約」で波紋を呼んだのは、08年加入のジェレミー・パウエル投手。オリックスが先に入団合意を発表したが、正式契約に至ってないことを確認したソフトバンクが獲得。コミッショナー代行の判断もあり、ホークス入りで決着した。パウエルはこの年2勝限りで退団。チームは12年ぶりの最下位に終わった。

▼こんな人も

身長201センチの右腕、09年に入団したキャメロン・ロー投手は「ヘビ男」の異名で知られた。米国では体長2メートルを超えるニシキヘビを飼育。球場に"同伴出勤"してチームメートをビックリさせたこともあったらしい。日本では5試合に登板して勝ち星なしの4敗。

▼期待の裏で

メジャーでの活躍ぶりや巨額な契約金など、助っ人外国人への期待が高まれば高まるほど、成績が予想を下回った場合は厳しい目が注がれる。だが、多くの選手たちは異国の地でもがきながら、活路を見いだすべく努力を続けている。「言葉や習慣も違う日本で、選手一人一人は能力を発揮しようと必死。コーチや通訳、ほかの選手たちもコミュニケーションを欠かさず、理解し合うことが大事ではないか」。自身も米国やベネズエラなどで選手としても外国野球を経験した古賀さんの言葉が胸に響く。(山崎清文)

だいやまーく忘れじの助っ人たち

くろまるウィリー・アップショー内野手 ダイエー元年の89年に33本塁打を放ち、34本のバナザードと「30発コンビ」と呼ばれた。乱闘騒ぎを起こしたときは「アップショーがショーアップ」との記事も。

くろまるマイク・ラガ内野手 三振するとヘルメットをバットでたたいたり、グラウンドに投げつけたり、エキサイトぶりでファンを沸かせた。あまりにヘルメットを破壊するため、球団は「これ以上は自腹で」と通告。

くろまるブライアン・トラックスラー内野手 丸々とした体形から「コロコロちゃん」の愛称で呼ばれ、姿を模した博多人形もヒットした。95年2月、ミッチェル獲得の余波でチームを去った。04年、37歳の若さで死去。

くろまるタイラー・チャトウッド投手 22年、年俸3億5000万円(推定)で契約したが、一度も1軍登録されず退団。「令和の3・5億円事件」との声が飛んだとか。

1995年5月27日 1面の記事は、ミッチェルの無断帰国に「まさか」と驚く球団幹部や、事実確認に奔走する職員らの動きを詳報。26日、電話に出ないミッチェルの自宅を職員が訪ねたところ、窓は開けっ放しで、レンタカーのキーが門扉につり下げられていたという。当日夜の成田発ロサンゼルス行き日航機の搭乗者リストに名前があり、部屋に私物を残していないことから西スポ記者は「事前から"計画"していた行動のようだ」と推測。「ワガママ助っ人が、最後まで"本領"を発揮した」と指弾した。当時の王監督も「何も言わないで帰ったの。ややこしくなるね」とあきれた様子でコメントしていた。

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山﨑 清文

山﨑 清文

記者

1966年生まれの56歳。長崎市の離島、高島出身。 出版社バイトと通信社勤務を経て2007年に西日本新聞社入社。 以来、社会部→編集センター校正班→デジタル編集チーム(現クロスメディア報道部)→ マルチ情報部→運動部と、ヒラ社員一筋。 運動神経ゼロのためスポーツはからきしダメだが、試合観戦なら大好き(原稿は苦手)。 夢は大型バイクでのユーラシア大陸横断(マシンは思案中)。 好きな食べ物は担々麺(小辛)。

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