屋根工事の費用相場は?工事費用を抑える方法も解説
- 屋根/外壁
屋根工事を検討している場合、「どのような工事方法があるのか」「費用はいくらかかるのだろう」など、工事方法や予算の目処などが気になるのではないでしょうか。
本記事では、屋根工事の種類と費用相場、屋根材の種類などを解説します。工事費用を抑える方法についても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
屋根工事方法の種類と費用相場
屋根工事の費用は、工事方法の種類によって異なります。どの屋根工事を施工すべきかは、工事の目的や予算、下地の劣化度合いなどによって判断します。
ここでは、屋根工事の種類とそれぞれの費用相場を見てみましょう。
葺き替え工事とは
葺き替え(ふきかえ)工事とは、屋根を完全に新しく交換する大規模な工事のことです。全体の経年劣化や広範囲に及ぶ破損、下地まで傷んでいる場合に適しています。
葺き替え工事では、下地である木材(野地板)やルーフィングシート(防水紙)の補修・取り替えも行うため、屋根全体の寿命を延ばす効果があります。
近年は、耐震性を向上させるために、重く古い瓦から軽い素材の屋根に葺き替える家も増えているようです。
費用相場
葺き替え工事の費用相場は、60万円〜300万円です。
葺き替え工事は、既存の屋根の解体や撤去作業が伴い、工事期間が長くなります。下地から根本的な問題解決ができる一方、工事にかかる費用は高額になる点はデメリットといえるでしょう。
2005年以前に建築された建物の場合、屋根材にアスベストが含まれている可能性があります。アスベストを含む屋根の葺き替え工事には、別途除去費用が必要となり、工事費用はさらに高額となります。
カバー工法(重ね葺き)とは
カバー工法とは、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねる工事のことです。既存の屋根は撤去しないため、下地の傷みはなく、屋根のみ劣化している場合におすすめです。
カバー工法を施工すると、屋根は二重構造となります。そのため、断熱性や遮音性の向上が期待できます。一方、新しい屋根の重さが加わり、耐震性が低下する可能性があるため、軽量の屋根材を使用するなど対策が必要です。もともと重量のある瓦屋根には、カバー工法は適していません。
費用相場
カバー工法の費用相場は、60万円〜250万円です。
下地や既存屋根の撤去費用が発生しないため、葺き替え工事よりも安く収まります。工事工程が少ない分、工事期間も短くてすみます。
カバー工法では下地の張り替えが行われないことから、将来葺き替え工事が必要となるケースもめずらしくありません。カバー工法で施工した屋根を葺き替え工事する場合、二重となった屋根の解体が必要です。通常の葺き替え工事よりも、費用が高額となる可能性があることを覚えておきましょう。
屋根塗装工事とは
屋根塗装工事とは、屋根の塗膜を塗り替える工事のことです。「経年劣化で色あせてしまった屋根の美観を取り戻したい」「雰囲気を一新したい」といった場合におすすめです。屋根を塗膜で覆うことで、屋根材の寿命を長くする効果も期待できます。
塗料の種類によって、耐用年数は異なります。安い塗料は、耐用年数も短くなる傾向があるため、今後の屋根工事計画に見合った塗料を選んでください。
費用相場
屋根塗装工事の費用相場は、15万円〜80万円です。
屋根塗装工事の費用は、塗料の種類と塗装する屋根の面積によって変わります。塗料の種類と単価相場は以下のとおりです。
塗料の種類 |
単価相場 |
耐用年数 |
---|---|---|
アクリル塗料 |
1,500〜1,800円/m2 |
5〜7年 |
ウレタン塗料 |
1,800〜2,200円/m2 |
6〜10年 |
シリコン塗料 |
2,300〜3,000円/m2 |
8〜15年 |
ラジカル制御型塗料 |
2,500〜3,500円/m2 |
12〜15年 |
フッ素塗料 |
4,000〜4,800円/m2 |
12〜20年 |
無機塗料 |
4,500〜5,500円/m2 |
20〜25年 |
部分補修工事とは
屋根の部分補修工事とは、屋根材の一部分の補修をする工事です。屋根瓦が一部分だけ割れてしまったときや、屋根の一部のみ塗装が剥げているときなど、気になる箇所のみを補修できます。「屋根材が激しく劣化している」「雨漏りが発生している」といった場合は、屋根そのものや下地ごとの交換が必要です。状況によっては、部分補修工事を希望しても、葺き替え工事を勧められるケースもあるでしょう。
費用相場
屋根の部分補修工事の費用相場は、数万円〜30万円です。
高所作業の場合、足場の設置が必要となります。足場代の費用相場は600円〜900円/m2です。作業場所によっては20万円以上発生するケースもあります。
業者に見積もりをとる際は、足場の設置が必要かどうかを確認してください。工事を急がない場合は、足場を使い回せる外壁舗装などと一緒に施工を依頼すると、足場の費用を節約できます。
屋根材の種類と値段・特徴
屋根材にはいくつかの種類があり、それぞれ値段と特徴が異なります。主な屋根材として下記5種類を紹介します。屋根工事の予算や目的に合わせて選択してください。
スレート
スレートとは、1平方メートルあたり4,000円〜8,000円と比較的安価な屋根材です。色やデザインが豊富で、選択肢が多いという特徴があります。
耐用年数は25年〜30年です。古いスレートはアスベストを含んでいることもありますが、近年のスレートにはアスベストは含まれていません。
スレートは定期的に塗装が必要です。比較的安価ではあるものの、メンテナンス回数が多い点には注意してください。メンテナンスを怠ってしまうと、見た目が色あせてしまうだけでなく、塗膜が劣化して雨漏りなどの不具合が生じます。10年単位を目安に、定期点検をするようにしましょう。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、1平方メートルあたり6,000円〜12,000円の屋根材です。特徴は、防水性が高く、軽くて丈夫という点です。その軽さは、瓦の10分の1、スレートの3分の1とされています。
ほかの屋根材に比べて、薄くて軽量なガルバリウム鋼板は、屋根を重ねるカバー工法で用いられることが多いです。
ガルバリウム鋼板は、傷や凹みに強くない屋根材ですが、特殊な環境ではない限り、耐用年数は30年〜40年と比較的長めです。台風が直撃する地域や、大雪が屋根に重く積もる地域は、ガルバリウム鋼板が環境に適しているかどうかを業者に確認してください。
※(注記)ガルバリウム鋼板は、「日本製鉄株式会社」の登録商標です。
アスファルトシングル
アスファルトシングルは、1平方メートルあたり3,500円〜12,000円の屋根材です。特徴は、高い防水性と防音性です。
屋根の防音性は、実際に住んでみて必要だと気づくことがあります。特に、金属屋根は雨音が響きやすいため、気になる人もいるようです。アスファルトシングルは、表面に施されている天然石が緩衝材となり、防音性が高まります。静かな住環境を求める方におすすめです。
耐用年数は20年〜30年と、他の屋根材に比べると長くはありません。強風によって剥がれたり、反り返ったりすることがあるため、台風が多い地域や沿岸部などでの使用は注意が必要です。
陶器瓦
陶器瓦とは、1平方メートルあたり8,000円〜16,000円と高価な屋根材です。古くから屋根材として使用されています。日本の伝統家屋でも使われている日本瓦も、陶器瓦の一種です。陶器瓦の耐用年数は、50年以上です。再塗装などの定期的なメンテナンスは、ほぼ必要ありません。初期費用はかかるものの、トータルコストで考えると経済的な屋根材といえます。
一方で、カバー工法ができないことや重量の重さといったデメリットもあります。既存の屋根材よりも重い屋根材への葺き替えはできないため、他の屋根材から陶器瓦への工事はできません。
ジンカリウム鋼板
ジンカリウム鋼板は、1平方メートルあたり8,500円〜14,000円の比較的高価な屋根材です。施工できる業者が限られているため、工事費用は高額になる傾向があります。
軽量のため、家屋にかかる負担が少なく、耐震性に優れています。
金属板の表面は砂粒でコーティングされているため、サビや紫外線にも強く、耐用年数は30年〜40年と長めです。塗装によるメンテナンスは不要です。ただし、砂粒が剥がれ落ちてきたり、全体が浮いてきたりした場合には、メンテナンスが必要となります。
※(注記)ジンカリウム鋼板は、オーストラリア「BlueScope社」の登録商標です。
屋根の工事費用を抑えるコツ
屋根の工事費用を抑えるコツを4つ紹介します。
補助金・助成金を申請する
お住まいの地域の自治体によっては、屋根工事の補助金・助成金の制度を設けている場合があります。特に、断熱対策や省エネ、耐震性能向上といった工事は、補助金・助成金の対象となりやすいです。
屋根工事の内容によっては、国が設けている「住宅リフォームの支援制度」の対象となる場合もあります。
補助金・助成金を受ける場合、原則として工事の施工前に申請が必要です。制度によって申請手続きは異なるため、各所のWEBページをチェックしたり、業者に相談したりしましょう。
火災保険を利用する
火災保険のプラン内容によっては、屋根工事が対象になる場合があります。火事が発生していなくても、台風や落雷といった自然災害による被害の修理は、火災保険の補償対象となることが多いです。
補償範囲は、保険会社による審査で決まります。まずは火災保険の申請をし、審査の結果を受けてから、業者に屋根工事を依頼しましょう。
他の工事とまとめて依頼する
できるだけ複数の工事をまとめて依頼すると、工事費用を抑えられます。例えば、屋根工事と外壁塗装、屋根工事とベランダ工事など、他の屋外工事と同時に行うことで、足場代を節約できます。外壁塗装は約15年ごととされているため、耐用年数の周期が合うように屋根材を選択するのもポイントです。
複数の業者に相見積もりを依頼
屋根工事を業者に依頼する場合は、複数業者に相見積もりを依頼しましょう。業者ごとの見積もりを比較することで、割安の業者を選べます。
屋根は自分で登って確認がしにくい場所のため、悪質な業者が修繕不要の箇所まで工事を勧めてくることもあります。費用だけでなく、信頼できる業者かどうかの見極めも必要です。
まとめ
屋根は紫外線や雨風の影響で、気づかぬうちに劣化しています。雨漏り屋根材の落下など、激しい損傷が起こらないよう、点検やメンテナンスが大切です。
屋根工事にかかる費用には、定価が存在しません。依頼する業者や使用する屋根材、屋根の劣化状況によって価格は変動します。まずは屋根工事の相場を押さえたうえで、複数の業者に相見積もりをとり、信頼できる業者に依頼しましょう。
執筆年月日:2024年9月
※(注記)内容は2024年9月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。