油性ペンの落とし方|役立つアイテムや素材別の汚れ落としの方法を解説
- ハウスクリーニング
さまざまな素材に書けて便利な油性ペンですが、衣類や壁紙など、大切な物にインクをつけてしまい困ったことがある人も多いのではないでしょうか。油性ペンの汚れはなかなか落ちないですが、きれいに落とせたら嬉しいものです。
そこでこの記事では、落としにくい油性ペンの汚れに役立つアイテムを紹介します。また、素材別に分類したお役立ちアイテムや、効果的な落とし方についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
油性ペンはなぜ落としにくいのか
油性ペンの汚れが落としにくい理由は、油性ペンに含まれている溶剤や着色剤の種類などにあります。油性ペンに含まれる成分の種類とその性質について、油性ペンよりも落としやすいとされる水性ペンと比較しながら、簡単に説明していきます。
有機溶剤が主成分だから
ペンには色をつけるための着色剤と、着色剤を素材にのせるための溶剤が含まれていて、油性ペンと水性ペンは、含まれる溶剤が油性か水性かによって区別されます。
油性ペンに使われている有機溶剤は、水をはじいて早く乾く性質がある一方、素材への定着度が高いため、油性ペンは水性ペンより落としにくいのです。
染料を使用しているから
着色剤の種類には「染料」と「顔料」があります。染料は溶剤に溶ける物質で、布の染色などにも使われています。顔料は素材の表面に色がつくように着色しますが、染料は素材の内部に色を染み込ませるイメージで着色します。
油性ペンにも水性ペンにも着色剤は使われていますが、多くの油性ペンには染料を着色剤として使用しています。染料は発色のバリエーションが豊かですが、素材の内部に色が染み込みやすく水で落ちにくいため、油性ペンの落ちにくい要因となります。
樹脂と定着剤が含まれているから
油性ペンには着色剤や有機溶剤のほか、着色料や溶剤のつなぎとなり耐久性を高める作用がある「樹脂」が含まれています。また、プラスチックなどの油が定着しにくい素材に対応するための「定着剤」が含まれていることがあります。これらの成分が作用することも、油性ペンが落としづらい原因の1つです。
油性ペンを落としやすい素材・落としにくい素材
油性ペンの汚れは落としにくい印象がありますが、素材によっては比較的簡単に落とせる場合もあります。落としやすい素材と落としにくい素材の特徴や、具体例を説明します。
油性ペンを落としやすい素材
表面がなめらかでつるつるとした素材は、内側に染料が染み込みにくいため、油性ペンの汚れを落としやすい傾向があります。
油性ペンの汚れを落としやすい素材は以下の通りです。
- ホワイトボード
- 金属(アルミ以外)
- ガラス
- 人の皮膚
- 釉薬がかかった陶器
- ガラス
油性ペンを落としにくい素材
表面がざらついている素材は、染料が染み込みやすいため、油性ペンの汚れを落としにくい傾向があります。また表面の状態に関わらず、染料が染み込みやすく落としにくい素材もあります。落としにくい素材についた汚れを無理に落とそうとすると、跡が残ったり素材を傷めたりすることがあるので十分注意しましょう。
油性ペンの汚れを落としにくい素材は以下の通りです。
- ビニール(軟質塩化ビニール以外)
- ゴム
- 布
- プラスチック
- 合成皮革
- アルミ
- 木材
- 壁紙
- コンクリート
油性ペンを落とせない素材
油性ペンの汚れを落とせないとされる素材は、以下の通りです。なお本革は汚れを落としているうちに革自体の色落ちや劣化が起きる可能性があるため、落とせない素材として紹介しています。
- 紙
- 無垢材
- 軟質塩化ビニール
- 本革
- 石
- レンガ
- ブロック
油性ペンの汚れを落とすのに役立つアイテム
油性ペンの汚れを落とすには、油性ペンと同じ油性のアイテムや、汚れに直接はたらきかける作用があるアイテムが便利です。
家庭で準備しやすいもので、汚れをできるだけきれいに落とすのに役に立つアイテムを4つ紹介します。
- 除光液
油性の性質をもつ除光液は、油や樹脂を溶かす成分の「アセトン」や、油性ペンの溶剤を分解するアルコールが含まれており、油性ペンの汚れ落としに効果的です。なお除光液を使用する際には、部屋の換気を行うようにしましょう。
- クレンジングオイル
主成分が油のクレンジングオイルは、油性ペンの汚れを浮かせる性質があります。
- 無水エタノール
アルコールに分類される無水エタノールは、水に溶けにくい油を溶けやすくする作用があり、油性ペンの汚れを落とすのに役立ちます。
- 液体洗剤
濃度が高い液体洗剤は、油性ペンの汚れを落とす効果が見込めます。
【素材別】油性ペンの汚れを落とす方法
油性ペンの汚れ落としは、素材によって使うべきアイテムや落とす方法に違いがあります。また汚れはついてから時間が経つとさらに落としにくくなるので、早めの対応がおすすめです。
ここからは、素材ごとに分類した油性ペン汚れの落とし方を説明します。
衣類・布
衣類・布についた油性ペンの汚れには、除光液やクレンジングオイル、無水エタノールを使って手作業で叩き洗いをすると効果的です。以下に具体的な手順を紹介します。
- 汚れを落としたい衣類・布の下に、汚れてもよい布を敷く
- 汚れ部分に除光液・クレンジングオイル・無水エタノールのいずれかを塗る
- 下に敷いた布へ汚れを移すように、歯ブラシで汚れ部分を小刻みに叩く
- ぬるま湯で洗い流し、手順1を繰り返す
- 洗濯機で洗う
このほか酸素系漂白剤や液体洗剤でつけ置きしたあと、洗濯機で洗う方法もあります。ただし繊細な衣類・布の汚れ落としは素材を傷めるおそれがあるため、専門業者に依頼しましょう。
皮膚
皮膚についた油性ペンの汚れは、石けんでこする方法でも落とせますが、無理に落とそうとすると肌荒れの原因になることがあります。皮膚には肌に塗る想定で作られたハンドクリームやクレンジングオイルなど、油を含む化粧品を使ってやさしく落とす方法が有効です。1度では落ちない汚れも、何度か繰り返すことでだんだんと落ちていきます。手順は簡単なので、ぜひ試してみてください。
- ハンドクリーム・クレンジングオイル・日焼け止めクリーム・口紅などを汚れ部分に塗る
- 丸く円を描くようにもみ込み、洗い流す
- 手順1〜2を繰り返す
プラスチック
プラスチックについた汚れは落ちにくい傾向がありますが、プラスチック製の消しゴムを使った以下の方法を試してみてください。プラスチックの材質によっては表面が溶けたり、表面の塗装がはがれたりするおそれがあるため、素材の様子を確認しながら丁寧に行いましょう。
- プラスチック製の消しゴムでこすり落とす
- 除光液や無水エタノールをつけた布でやさしく拭き取る
- 手順1〜2を繰り返す
壁紙・床
壁紙・床についた油性ペンの汚れは、表面加工の有無によって落とせるかどうかが決まります。壁紙と床の汚れを落とす方法について、それぞれ見ていきましょう。
- 壁紙
表面加工がされている壁紙は、無水エタノールを染み込ませたメラミンスポンジで汚れ部分を丁寧にこすります。表面加工がされていない壁紙は、色が染み込みやすく落とすのは難しいため、壁紙自体の張り替えなどを検討したほうがよいでしょう。
- 床
表面加工がされている床は、プラスチック製の消しゴムでこするか、ハンドクリームなどの油性化粧品を塗って布で拭き取ります。除光液や無水エタノールをつけた布で拭き取る方法も有効ですが、表面の塗装がはがれてしまうリスクがあるので慎重に使いましょう。表面加工がされていない床や無垢材の床の汚れ落としは、専門業者に依頼することをおすすめします。
ガラス・陶器
表面がつるつるしていて汚れが染み込みにくいガラス・陶器は、以下の方法でを比較的きれいに落とせます。
- プラスチック製の消しゴムでこすり落とす
- 表面にざらつきがある箇所には除光液か無水エタノールをつけた布で拭き取る
- 手順1〜2を繰り返す
木製家具
表面加工がされている木製家具についた汚れには、柑橘系の果物の皮を使った以下の方法があります。これは柑橘系の果物の皮に含まれる「リモネン」という成分を活用した方法です。
- 汚れ部分に柑橘系の果物の皮の外側をこすりつける
- 皮の内側で拭き取る
その他、プラスチック製の消しゴムでこすったり、クレンジングオイルなどの油性化粧品をつけた布で拭く方法も有効です。除光液や無水エタノールは、家具を変色させる原因となるので、使用しないようにしましょう。
表面加工がされていない木製家具についた汚れについては、専門業者へ相談するのがおすすめです。
革製品
革製品には本革と合成皮革がありますが、油性ペンの汚れを落とせるのは合成皮革です。本革についた汚れ落としは革自体を色落ちさせてしまうことがあるため、専門業者に任せましょう。
以下、合成皮革についた油性ペンの汚れ落とし方法を説明します。
- 無水エタノールをつけた布で汚れ部分を拭く
- 落としきれない汚れはクリーム状のクレンザーをつけた布でやさしく拭く
- 乾燥させた後に残った汚れは塩素系漂白剤をつけた綿棒などでなぞり、水拭きをする
ビニール
ビニールについた油性ペンの汚れは落としにくいですが、除光液や無水エタノールをつけた布で拭き上げると比較的薄くすることができます。ただし、ビニール自体が溶けたり、表面の印刷が消えたりする可能性があるため、小さな範囲で試してから行うとよいでしょう。
また、汚れ部分をプラスチック製の消しゴムでこすって落とす方法も有効ですが、ビニール自体を傷つけてしまわないよう丁寧に行いましょう。
まとめ
油性ペンの汚れは、気をつけていてもふいについてしまうものです。大切なものにつけてしまい、慌てたことのある人も多いのではないでしょうか。今回解説したように、素材によっては自宅で比較的簡単に落とせる場合もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
一方で、無理に落とそうとすると素材を傷めてしまうおそれがあります。どうしても取れない場合には、専門業者に任せると安心です。
執筆年月日:2024年9月