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情報発信にあたっての人権の視点からのガイドライン制定のお知らせ

司法書士法教育ネットワークは、2022年6月25日開催の第14回定時総会において、以下のとおりの「情報発信にあたっての人権の視点からのガイドライン」を制定し、運用を開始しました。

2025年9月5日、「情報発信にあたっての人権の視点からのチェックリスト」(2022年9月20日作成)を一部修正しました。


情報発信にあたっての人権の視点からのガイドライン

PDF版(174KB)は、こちらからご覧ください。

第1 ガイドライン制定の趣旨
司法書士法教育ネットワーク(以下「当会」といいます)は、法教育に関心を持つ司法書士と教育関係者その他のさまざまな個人・団体が協力して法教育の授業についての情報交換・意見交換をし、法教育情報のネットワーク化を推進することを通じて、法教育の研究と実践の発展と向上に寄与することを目的とする団体です。
法教育とは、一般の市民にとって必要な基礎的な法的リテラシーを養成する教育であり、法務省・法教育研究会の報告書によれば、それは、「法や司法制度、これらの基礎になっている価値を理解し、法的なものの考え方を身に付ける」ことだと指摘されています。その価値の中核には、「人権」の理解があり、人権を理解し、人権についての考え方を身に付けることは、法教育の重要な目的の一つです。
人権とは、人間の尊厳に基づいて各人が持っている固有の権利であり、社会を構成するすべての人々が個人としての生存と自由を確保し、社会において幸福な生活を営むために欠かすことのできない権利です。子どもたちがこの人権を理解し、その考え方を身に付けるにあたっては、子どもたち自身の生来的権利を人権として保障する子どもの権利条約についての理解を深め、自ら人権の主体として考え、行動することを体験的に学んでいくことも、法教育の重要なテーマの一つであると言えます。
法教育が「人権」を重要な課題として扱う教育である以上、「国民の権利を擁護し,もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする(司法書士法第1条)」司法書士が構成員である団体として、また、法教育の研究と実践に関与する団体として、様々な人権課題を理解し人権に敏感な感覚を磨くこと、この姿勢を法教育の実践の場だけでなく様々な情報発信の機会を通じても実践していくことは、当会にとって不可欠な課題です。
そこで、当会の人権についての考え方を明確にし、子どもたちが人権についての理解を深めることを妨げるような情報発信を行うことが無いようにすることを目的として、「情報発信にあたっての人権の視点からのガイドライン」を定めることとしました。

第2 ガイドラインの目的
このガイドラインは、当会が主催または共催する公式行事の企画等の内容、当会がその名(当会公式キャラクター名を含む)の下に発行する公式印刷物、ウェブ経由で発信する広報その他の発信、または法教育の各種教材開発等の情報発信(以上を総合して、以下「情報発信」といいます。)において、1人権を理解し、その考え方を身に付けるという視点から違和感を生じさせるもの、2法教育の研究と実践の発展と向上に寄与する当会の目的に反するもの、3当会の品位を損なうもの等、人権に無自覚な内容または表現(以上を総合して、以下「人権侵害となる内容・表現」といいます。)が含まれることがないよう、情報発信の企画・実施の役割を実際に担う役員会構成員、個々の情報発信に関する実行委員会等の役員会構成員以外の担当者(以上を総合して、以下「担当者等」といいます。)が留意すべき事項についての指針を示すことを目的とします。

第3 ガイドライン運用にあたっての姿勢、適用範囲、会長及び役員会の努力義務
1 ガイドライン運用にあたっての姿勢

ガイドラインは、担当者等が自主的に、企画中の情報発信案につき人権侵害となる内容・表現が含まれていないかについての自己点検を求めるためのものです。
ガイドラインは、人権侵害となる内容・表現が含まれる情報発信とそうでないものの限界を設定しようとするものではなく、当会及び構成員が、人権感覚に敏感な情報発信を率先して実行し、人権を理解し、その考え方を身に付ける実践の先頭に立つべきであるとの観点に基づくものです。
したがって、ガイドラインの運用にあたっては、「どこまでが許される範囲か」という消極的な姿勢で限界点を追求するのではなく、上記観点から、「どのような情報発信が相応しいか」等の積極的な姿勢での自主的な点検が担当者等において行われることを目指します。
2 ガイドラインの適用範囲、役員の努力義務
ガイドラインは、「当会が主催または共催する」情報発信に関する指針であって、当会の構成員以外の企画関係者の職業選択の自由や表現の自由、文化の価値評価等に立ち入るものではありません。
ただし、当会役員は、当会構成員に対し、ガイドラインの内容及び作成趣旨を周知することを通じ、当会構成員がガイドラインの趣旨を活かした法教育活動の実践が推進できるよう努めるものとします。
3 情報発信にあたって留意すべき事項
情報発信にあたって留意すべき事項は、日本国憲法が定める基本的人権の尊重、子どもの権利条約が定める子どもの権利の尊重、男女共同参画の視点、公教育における政治的・宗教的中立性に対する配慮、表現の自由、思想信条の自由に対する配慮、少数者に対する配慮、高齢者及び病気や障がいのある人に対する配慮、経済的困窮状態にある者に対する配慮、同和問題に対する配慮、外国にルーツをもつ方に対する配慮、人の身体的特徴に関する配慮、犯罪被害者等への配慮に留意します。

第4 ガイドライン運用における実効性の確保方法
1 チェックリストの作成及び公開

役員会において「情報発信にあたっての人権の視点からのチェックリスト」(以下「チェックリスト」といいます。)を作成し、公式サイトを通じて公開して示すものとします。
役員会がチェックリストを作成するにあたっては、当会構成員の意見を聞き、その知見を十分反映されるように努め、必要があれば随時改訂してその内容の充実を図ることとします。
2 各情報発信の企画責任者の役割
各情報発信の企画の立案、広報、運営等の取りまとめにあたる者(以下「企画責任者」といいます。)は、企画の遂行にあたり、全ての企画を担当者任せにせず、事前に当該情報発信がガイドラインに沿ったものであるかを集団的に検討し、問題となりうる事項が把握されたときは、速やかに改善し対処するよう努めるものとします。
また、共催団体、現地実行委員会等の関連企画主体のほか、デザイナー・印刷業者等の関連業者等に対しても、事前にガイドライン及びチェックリストを示して当会の人権諸課題に対する姿勢を周知・徹底するものとします。
特に、当会外部の個人・団体に情報発信の企画の一部を委託した場合、ガイドライン及びチェックリストの趣旨とかけ離れた企画が実行されてしまうことが無いよう、事前に、具体的な内容にわたるまで十分に把握し、必要な連絡・指示等をしておくよう留意するものとします。
3 会長及び役員会の役割
会長は、役員会が情報発信を承認するにあたり、当該企画責任者に、ガイドライン及びチェックリストを参照するよう告知するなど、ガイドラインが、情報発信において尊重されることを実質的に保障するために有効な措置を講ずるものとします。
役員会は、情報発信を承認するにあたっては、当該情報発信がガイドライン及びチェックリストに沿ったものであることを十分に確認したうえで承認するものとします。
このような措置を講じたうえで承認、実施した情報発信の内容・表現に、万一、ガイドラインを逸脱する内容・表現が含まれていた場合は、会長及び役員会は、直ちに当該情報発信を中止する等の措置を実行し、当該事態に対する公式見解を公表するとともに、チェックリストの改訂を含む実効性のある再発防止策を講じるものとします。

第5 ガイドラインの運用開始の時期
このガイドラインは、2022年6月25日から運用を開始します。


情報発信にあたっての人権の視点からのチェックリスト

PDF版(417KB)は、こちらからご覧ください。

本チェックリストは、『司法書士法教育ネットワーク 情報発信にあたっての人権の視点からのガイドライン』第4.1に基づき、同ガイドライン第2に定める「情報発信」にあたって配慮すべき項目として作成したものです。

しろいしかく 子どもを権利主体として尊重しているか。
しろいしかく 子どもへの体罰の容認につながる内容となっていないか。
しろいしかく 子どもの家庭環境に対し配慮しているか。
しろいしかく 性別・年齢ほか多様性に配慮しているか。
しろいしかく 性役割、性別に対するイメージを固定化していないか。
しろいしかく 政治的中立性に配慮しているか。
しろいしかく 宗教的中立性に配慮しているか。
しろいしかく 他者の表現や思想信条に対し配慮しているか。
しろいしかく 肖像権・プライバシーの権利を侵害していないか。
しろいしかく 性的少数者に対し配慮しているか。
しろいしかく 高齢者のイメージを固定化していないか。
しろいしかく 特定の疾病等に対する誤解や偏見につながる内容となっていないか。
しろいしかく 障がいや障がいのある方のイメージを固定化していないか。
しろいしかく 経済的困窮状態にある方を否定的なイメージでとらえていないか。
しろいしかく ホームレスに関する誤解、偏見につながる内容となっていないか。
しろいしかく 同和問題に対し配慮しているか。
しろいしかく 民族、国、地域、外国人を差別したり、イメージを固定化したりする内容となっていないか。
しろいしかく 身体的な比喩表現・慣用句を使っていないか。
しろいしかく 容姿や身体的特徴を過度に強調していないか。
しろいしかく 自死遺族、犯罪被害者等に対し配慮しているか。
しろいしかく 暴力を助長容認する表現を使っていないか。
しろいしかく その他、人を不快にさせるおそれのある表現など、ガイドラインの趣旨に反する表現はないか。

2022年9月20日役員会決議、2022年9月24日公開
2025年9月5日役員会一部修正決議


事務局連絡先

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司法書士法教育ネットワーク事務局 宛
事務局電話番号 06-6202-8181
事務局専用E-mail law-ed@laweducation.sakura.ne.jp

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