週刊ダイヤモンドの見どころ

山口圭介(週刊ダイヤモンド編集部)

やまぐち・けいすけ/早稲田大学卒業後、04年に産経新聞社に入社。08年に週刊ダイヤモンド記者となり、商社、銀行を担当。12年より金融担当の副編集長、17年からIT・電機・政治を担当。18年からダイヤモンド・オンラインとの兼任副編集長。主な担当特集に「経済ニュースを疑え」「金融エリートの没落」「三菱最強伝説」「孫正義が知らないソフトバンク」など。趣味はダイエット。

2015年10月24日掲載

日本人の8割が「ビジネスで韓国は必要ない」
日韓ビジネスマン6000人アンケートの衝撃

『週刊ダイヤモンド』10月31日号の第1特集は「ビジネスマン6000人に聞いた日韓 本当の大問題」です。11月1日には3年半ぶりとなる日韓首脳会談が予定されています。会談では日韓融和が強調されるでしょうが、実現するのはたやすいことではありません。というのも、この間、日韓関係は悲劇的なまでに冷え込んだからです。そこで本誌は日韓ビジネスマン6000人アンケートを軸にして、嫌韓報道からは絶対に見えない本当の日韓関係を探りました。

9月26日の昼時、東京・日比谷公園を見下ろすザ・ペニンシュラ東京の宴会場には、日韓両国のメディア関係者が集まっていた。

会場では、韓国紙の東京特派員や日本の全国紙の韓国特派員経験者らが、冷え切った日韓関係の改善策について議論を交わしていた。

会の主催者は駐日韓国企業連合会。両国メディアによって量産されている反日・嫌韓報道に歯止めをかけ、日韓関係の改善を促す狙いで催された。

連合会の会長は、韓国焼酎メーカー、眞露(ジンロ)の楊仁集社長。売り上げが日韓関係に大きく左右されるとあって、冷え切った現状を看過できなかったのだろう。「皆さま、これからは双方のポジティブな記事を書いていきましょう」。楊社長はあいさつの場でこう述べたという。

確かに近年、日韓関係は悪化の一途をたどり、反日・嫌韓報道は増殖し続けている。本誌が日韓ビジネスマン6000人を対象に行ったアンケートでは、「ビジネス上、韓国は必要な国ですか」の質問に対して、日本人の実に8割が「必要ない」と答えるなど衝撃的な結果が出た。政治・外交上の冷え込みと異なり、冷静な日韓関係を構築していると見られていたビジネス上でも、嫌韓意識が急台頭していることをうかがわせた。

また、アンケートでは両国のビジネスマンの7割以上が、メディアが日韓関係に悪影響を与えていると回答した。なぜこのような報道が急増したのか。その背景には、両国メディアが抱えている二つの問題が横たわっていた。

一つ目は、自国の世論に追従する大衆迎合主義だ。例えば、韓国メディアは対日報道において「反日」が〝定番化〟しているのが現状である。

慰安婦や竹島などの歴史・領土問題のみならず、日韓関係以外においても「親日的な報道は難しい」(韓国大手紙幹部)という。国民感情に反して日本に好意的な報道をすれば「国民から『親日派』のレッテルを貼られ不買運動が起こりかねない。誰も損をしたくない」(同)ため、世論に迎合した反日記事を掲載するのである。

特に、2011年の在韓日本大使館前への慰安婦像設置以降、両国政府によって、それまで棚上げされていた歴史・領土問題が蒸し返されるケースが増えた。

その結果、「韓国国内で、安倍政権への批判が強まり、日本たたきの報道が増えた」(韓国大手紙日本特派員経験者)という。

反日報道の増加は負の連鎖となって増幅されていく。

複数の韓国大手紙日本特派員経験者によると、韓国メディアの間では、「慰安婦像の設置以降、反日モノで他社に遅れると、自社だけニュースを落とした『特オチ』と見なされる空気が醸成された」という。

つまり、反日報道が〝スクープ化〟したのだ。こうして、反日ネタを探す傾向が強まり、紙面で日本批判の見出しが目立つようになったのである。

一方、日系メディアも嫌韓という一部の国民の世論に迎合する形で、嫌韓報道を繰り広げている。

これまで、嫌韓報道は日本のマスコミ界でタブー視されてきた。ところが、「李明博前大統領の竹島上陸や天皇謝罪要求を境にして、韓国政府の強硬な外交姿勢に国民がしびれを切らし、嫌韓モノが受けるようになった」(日系大手紙記者)ことで、日本側の嫌韓報道もエスカレートしていった。

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記者の目

  • 編集部 永吉泰貴

    バッティングは上達

    最近、バッティングセンターにはまっています。息をするように26回利用券を消費してきた日々のおかげか、気が付けば打球飛距離が伸び、スイングスピードも速くなっているのを実感します。
    片や、なぜか伸びないのが原稿の執筆スピード。記者1年目の頃からあまり向上していない気がします。さすがにバッティングセンターよりも時間を費やしてきたはずですが、この違いは何なのか。
    ChatGPTに聞いたところ、「面白い対比ですね」とちゃかされた後、「原稿は単に速く書けばいいのではありません。読者を意識した書き方など、スピードと質のバランスが重要です」と正論で𠮟られました。読者を第一に考えて書き上げた銀行特集、ぜひご笑覧ください。

  • 副編集長 臼井真粧美

    郵便局の窓口の面倒な人

    郵便局窓口に銀行関係の手続きで訪れた先日、マネーローンダリング防止などを目的に、職業や取引目的の申告を求められました。
    その内容が年収などにも及んでボリューミー。ここに至るまでの手続きで窓口側のスムーズさが欠けていたのもあって、「時間がかかって面倒だなあ」という態度を表に出してしまいました。
    窓口の女性はそんな態度、慣れたものなのか、ニコニコ。
    なんだよと思いながら手続きの最終段階に入ったとき、持参すべき書類がそろっていないことが判明。「うわ、時間を無駄にさせている面倒な人は私の方か」と申し訳なくなりながら窓口の女性を見ると、変わらずニコニコ。
    笑顔に救われながら、そそくさと帰りました。

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特集銀行&信金・信組 最新序列2025

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毎年12月、銀行員は落ち着きをなくす。それは首脳人事が発表されるからだ。誰がトップに就くかによって、末端の銀行員であっても出世とキャリアは大きく影響を受ける。そこで3メガバンクと地方銀行の最新の首脳人事を探った。

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