【今回のまとめ】
1.ウクライナはパイプラインとロシアの軍港があるので重要
2.欧州で最も腐敗がはびこっている国
3.ウクライナ経済は停滞しており、デフォルト寸前
4.先週の欧州CPIが意外に強かったのでECBは利下げしにくい
5.欧州各国経済も回復途上にあり、追加利下げは必要なし
6.ユーロ、ポンド、円は確り、「有事のドル買い」は肩透かしを喰う
ウクライナって、どんな国?
ウクライナは黒海に面する東ヨーロッパの国で、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ハンガリー、モルドバなどと国境を接しています。同国のGDPは約1650億ドルで、世界のGDPシェアの0.23%程度に過ぎません。しかしウクライナは:
1)ロシアから西欧へ天然ガスを運ぶパイプラインの80%が同国を通っている
2)黒海に面したクリミア半島にロシアの海軍基地がある
という理由から、ロシアにとって極めて重要です。
民心は、ひとつではない
ウクライナは歴史的経緯から、複雑な民族構成になっています。
地方都市リヴィウを中心とする西ウクライナではウクライナ語が話され、住民は欧州に親近感を持っています。
これに対してクリミア半島を含む南東部ではロシア語が話され、住民はロシアに親近感を持っています。
ひとつの国でありながら民心はまとまりを欠いており、親欧州、親ロシアの両勢力が同国のほぼ中心に位置する首都キエフで混在しています。
今回、キエフでデモ行進が始まった直接の原因は、ヤヌコビッチ前大統領が欧州連合(EU)との連合協定締結を見送り、ロシアに接近したことに親欧州派が反発したためです。
ウクライナの政治的腐敗
ウクライナは1991年のソ連崩壊後、独立しました。社会主義体制が崩壊した後、社会が混乱しました。それに乗じて政治家と財界の腐敗がどんどん広がりました。ウクライナは現在、ヨーロッパで最も腐敗した国のひとつとなっています。
下はトランスパランシー・インターナショナルがまとめた腐敗認識指数と呼ばれるもので、数値が低いほど腐敗が多いです。
ウクライナの指数は25で、世界177カ国中、144位です。アルバータ大学付属ウクライナ研究所の調査では独立後、これまでに7兆円ものおカネが政治家などにより掠め取られ、キプロスやリヒテンシュタインなどのタックスヘイヴンに持ち出されたそうです。このような状況に国民の不満が高まっていたのです。
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