ダイナミックフレームワーキングの
目的、範囲、切り口とは?
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今回はまず、イノベーションを創造しようとする際の頭のモードについて考えてみます。人がなにか発想をしようとしているとき、マーケットなどの数字を扱ってロジカルに考えている瞬間もありますし、また反対に思いつきベースで直感的に考えている瞬間もあるかと思います。論理と直感、または左脳と右脳、この中で創造性はどのような瞬間に高いのでしょうか。
イノベーションを生み出す
「ストラクチャード・ケイオス」モード
一般的にはとてもロジカルに考えているときに創造性は低い、と言われています。では一方、とても直感的に考えているときに創造性は高いのでしょうか。実際にはそうではありません。
創造性のプロファイルは面白くて、釣鐘状になっています(図1)。あまりロジカルでもよくないし、直感ばかりでもよくありません。スイートスポットは真ん中の天辺あたりにあります。そのような状態に頭のモードを持っていくと、イノベーションを生む確率が高まるのです。
私はこのことに気づいた1998年にこの天辺のことを「ストラクチャード・ケイオス」と名付け、意図的にプロジェクトメンバーの頭をこのモードに持っていく手法をZibaにおいて導入しました。
考えるモードを意識しながら頂点を目指す
では、具体的にどのように頭のモードをストラクチャー&ケイオスに持っていけばよいのでしょうか。それには2つの方法があります。
●くろまる方法1
たとえば新しいペンについて発想することを考えます。今、急に30秒だけ与えられて、そのまま800人の聴衆を前に新型ペンの説明をしないといけないと想像してみましょう。脳は右側のケイオスモードになります。次に、1日のイベントを時系列に分析し、朝起きたときのペン、トイレに行ったときのペンなど発想すれば、左側のストラクチャードモードになります。このように右側と左側を行ったり来たりすることで、創造性の高いストラクチャード・ケイオスを通過する確率が高くなります。
これを応用することで、Zibaでのイノベーションプロジェクトのモード管理をしています。Zibaではプロジェクトルームの壁にその時点での資料を貼るようにしているのですが、この資料がもし数字などのデータばかりになったときはモード切り替えのために図や写真などを貼るようにします。
反対に図や写真が増えてしまったときには、マーケット状況などの数値データに切り替えます。そのようにしてプロジェクトチーム全体の考えるモードを、メディアを使ってストラクチャード・ケイオスに持って行くようにします(図2)。
●くろまる方法2
数字やマーケットデータなどを扱うと左のストラクチャー側へ、アイデアを美しい絵で描くと右のケイオス側へ行きますが、ちょうど真ん中のストラクチャード・ケイオスに適したメディアというものも存在します。
シンプル・ロジカル・ビジュアルであるメディア、たとえば、ダイアグラムや概念図のように、構造的でありながら、ある程度あいまいなものを扱えるようなものを意識的に使うと、頭のモードが自然とストラクチャード・ケイオスの左側に落ち着くことが経験上わかっています。
同様に、美しいレンダリングではなく簡単なポンチ絵や説明図というメディアを使うことで思考モードはストラクチャード・ケイオスの右側になります。すなわち、ダイヤグラムとポンチ絵を主要な思考メディアとして使うようにすれば、ストラクチャード・ケイオス近辺に思考モードを保つことが可能になります。
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