「努力しているのに評価されない人」と「いつも楽しく働ける人」の差

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現在の職場で「無能」「できないヤツ」扱いされており、環境を変えたくても転職する勇気がなかなか出ないという人もいるでしょう。『マンガ このまま今の会社にいていいのか? と一度でも思ったら読む 転職の思考法』の著者である北野唯我さんは、努力しているのに「無能」という評価から抜け出せない人には、二つの要因があると語ります。今回は、『戦国ベンチャーズ― 人事の天才・徳川家康と曹操に学ぶ、「強みの経営」とは?ー』仕事の教科書 きびしい世界を生き抜く自分のつくりかたの著者であり、組織戦略の専門家である北野さんに、理不尽な人事評価の理由とその脱却法について聞きました。(取材・構成/川代紗生、マンガ/松枝尚嗣)

「努力しているのに評価されない人」と「いつも楽しく働ける人」の差Photo: Adobe Stock

がんばっても報われないのは「努力」の定義を間違えているから

──いまの職場で無能扱いされており、転職するのが怖いという人も多いと思いと思います。がんばっているのに「できないヤツ」「無能」という評価をされてしまう人には、どんな共通点があげられるでしょうか。不器用な人ほどアピールが苦手で、損しがちな印象もあるのですが。

北野唯我(以下、北野):頑張っているのに「無能」というレッテルを貼られてしまい、抜け出せずにいるのには、二つの要因が考えられると思います。

一つは、「努力の定義を間違えている」というパターン。現場で仕事をする人は、どうしても「努力」や「熱意」を評価してもらいたがるんですよ。でも、お金を払う側・雇用側が求めているのは見せかけの「努力」ではなく「工夫」なんです。自分の頭を使って工夫し、きちんとバリューを生み出してくれるかどうかを評価する。

──なるほど......。自分のイメージする「努力」と、雇い主側がイメージする「努力」に乖離があるから、「努力しているはずなのに評価してもらえない」と感じてしまうんですね。

北野:たとえば、窓ガラスに何度も何度もぶつかって外に出ようとしている蚊がいたとしたら、見ている側としてはちょっと残念な気持ちになるじゃないですか。「別のルートを探せばいいのに」とか思っちゃいますよね。

それと一緒で、同じことを同じように続けているだけでは「工夫」がないから、評価する側としてはやきもきしてしまうんです。

──その場合、どう対処したら良いでしょうか。

北野:「WHAT」と「HOW」を少しずつ変えていくことを意識するといいと思います。つまり、「何」の仕事を、「どう」こなすか。このどちらかに、新しいやり方を取り入れてみるんです。いきなり二つとも大きく変えると混乱するので、たとえば普段のやり方とは別の「HOW」はないかと探してみるとか、ふだんとは別の業務に挑戦するとか、ちょっとずつ変化を入れていく。そうすると、「ここを変えればこんなふうに結果が変わった!」と、工夫のコツも見えてくると思います。

理不尽な評価の要因を見極める

──二つ目はどんなパターンでしょうか。

北野:「誰から評価を受けるべきなのか」を間違えているパターンです。「有能か無能か」というのは、他人からの評価ですよね。評価とは本来、相対的なものですから、「絶対的な無能」というのは存在しないはずなんです。世界中の誰が評価しても「無能」というのは基本的にはあり得ないですよね。だから、相手によって自分の評価は異なって当然なわけです。「評価を受けるべき相手や環境」を間違えると、実力よりもはるかに低い評価を受け続けることもあるんですよ。

──『マンガ 転職の思考法』でも、自分が生き生きと楽しく働ける職場は、バランスが重要というお話がありましたね。

「努力しているのに評価されない人」と「いつも楽しく働ける人」の差(『マンガ 転職の思考法』47ページ)

──なんだか、会社や上司から過剰な要求をされたために、たった一人の評価や発言が受け手のなかでどんどん大きくなって、「自分は完全に無能だ」と自信喪失してしまうというケースもありそうですよね......。

北野:そうなんです。一度「できない」という評価を受けたインパクトがずっと忘れられなくて、自分自身で「無能」のレッテルを貼り続けてしまっている可能性もある。

でも、『戦国ベンチャーズ』でも書きましたが、織田信長や曹操など、若い頃に無能扱いされていたのを実力で覆して、名のある武将になった人たちもたくさんいますからね。逆に考えれば、評価してもらう相手を変えるだけで、評価や働きやすさがガラッと変わることも充分あり得ます。一度貼られた「無能」のレッテルがすべてだと思いこまずに、自分のやりたいことや転職先、環境を見極めるのが大事だと思います。

──具体的に見極めるには、本にも書かれていたような理論を活用するのが良いでしょうか?

北野:そうですね、なるべくいろいろな人の役に立てるようにと、再現性の高い理論に落とし込んだので、ぜひ活用してもらえたら嬉しいです。私自身、多くの経営書やビジネス書を読んできて感じるのは、読書とは、自分の寿命を超えて知に触れられる唯一の方法だ、ということ。理論は寿命を超え、地に立つための第一歩です。だからこそ、私の本が50年、100年、200年後と、ずっと先の未来でも人々の役に立ちますようにと強く願っています。読者のみなさんがこの本を使って、「自分にも強みはあるんだ!」と思えるようになってもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。

北野唯我(きたの・ゆいが)

兵庫県出身。神戸大学経営学部卒。就職氷河期に博報堂へ入社し、経営企画局・経理財務局で勤務。その後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年、ワンキャリアに参画。子会社の代表取締役などを経て、現在、ワンキャリア取締役。テレビ番組や新聞、ビジネス誌などで「職業人生の設計」「組織戦略」の専門家としてコメントを寄せる。著書に『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む転職の思考法』『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』(以上、ダイヤモンド社)、『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社) などがある。最新刊は『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』

本書の主な内容

『転職の思考法』の主人公だった青野がメンターとして登場。
オリジナルストーリーでパワーアップしました!
「キャリアの武器がない」と思う人にこそおすすめしたいマンガ版

<あらすじ>
広告会社の総務部で働く奈美は、ある日会社が外資系企業に買収されるという憂き目に遭う。その買収先から人事担当としてやってきたのが、幼い頃に「近所のお兄ちゃん」として親しくしていた青野トオルだった! 自分には転職は無理...と思っていた奈美だったが、青野から「転職の思考法」を伝授され、考えが変わっていく。

<マンガ部分目次>
プロローグ 私には武器がない
第1章 私の市場価値(マーケット・バリュー)
第2章 転職は「裏切り」?
第3章 いいエージェント、ダメなエージェント
第4章 もう、後悔したくない
エピローグ 私たちは居場所を選べる

<解説部分目次>
いつの時代も変わらない、転職の原理原則
原則1: 転職は悪ではない
原則2: 市場価値と社内評価は一致しない
原則3: 9割の人は、S級人材ではない
あなたのマーケット・バリュー(市場価値)はいくら?
マーケットバリューの高める3つの方法
「やりたいこと」はなくてもいい
大事なのは転職よりも「転職できる」というカード
自分自身の棚卸しのやり方1 過去やってきたことを書き出す
自分自身の棚卸しのやり方2 再現性を見つける
転職するときどこに相談すべきか?(5つのチャネル)
転職エージェントのビジネスモデルを知る
いいエージェント、ダメなエージェント5ヵ条
企業は面接で何を見ているか
給料が高い会社と低い会社の違い
内定をもらってから1週間の過ごし方
もし元の会社から引き留めにあったら
退職で気をつける3つのこと
活躍する転職者、活躍できない転職者の違い

マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
北野唯我 著/星井博文 著/松枝尚嗣 イラスト
<内容紹介>

20万部のベストセラー、ついにマンガ化! 転職へのモヤモヤと罪悪感はこの1冊だけで全て解消できる! 「自分には武器がない」と思っている人にこそ読んでほしい、完全書き下ろしの「もう一つのストーリー」が誕生しました。青野がメンターとなり総務部勤務の奈美の悩みを解決に導きます。

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