ガソリン補助金は「正しい」のか?市場メカニズムを壊す公的介入の意義とは
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拡充策の追加予算措置は3500億円
原油上昇が続けば際限なく補助金投入
3月10日、「燃料油価格激変緩和補助金」の制度が変更・拡大された。政府はレギュラーガソリンの全国平均が1リットル170円になるように、リッター当たり上限5円の補助金を出す措置を実施してきたが、世界的な原油高騰を受け、上限を25円に引き上げた。
この補助金の仕組みを端的に言うと、給付先はENEOSや出光興産、コスモ石油などの石油元売りであって、給付を前提に卸価格を抑え、結果として小売価格が抑制されるというスキームだ。
こうした民間企業の卸価格に公的な介入が行われることに、産業界の一部や筆者のような専門家は驚いている。その理由は、市場のメカニズムを壊すことへの危惧があるからだ。
コロナ禍にウクライナ問題も加わって、さまざまなモノが値上がりする中で、ガソリンが値上がりしないのは有り難いし、何か問題でもあるの?と思う読者も多いかもしれない。
市場メカニズムとは、価格が上がれば、消費者は節約するので需要が減り、結果的に価格が下がる、という仕組みだ。補助金で価格を抑えれば、目先の負担は軽くなるが、需要によって価格が調整されなくなることから価格は高止まりする。それは結果的に消費者のメリットにならないし、別の形(税金)で消費者の負担増につながる。
この拡充策の追加予算措置は3500億円であるが、仮に原油価格の上昇が続けば、際限なく補助金(税金)の投入が続くことになる。
ガソリンをはじめとする石油製品は、全国で幅広く使われているのだから、税金で補助金を出すことに不公平はないという意見もある。しかし調査データを見ると、そうともいえないのではないか。
次ページからは、ガソリンや灯油の「地域格差」の実態や、複雑怪奇で「消費者ファースト」からは程遠い石油流通の現状、ガソリンスタンド事業者のホンネを解説する。
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