トランプ時代より対立が激化した米中関係、民主党内から疑問の声も
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米バイデン政権下での中国との関係の対立は、テーマを地政学や通商問題から、人権や民主主義といった価値観にまで拡大し、深刻化している。バイデン政権の姿勢は今後もそう簡単に変わらないとみられるが、足元の民主党内部から慎重な見方が出ているのは見逃せない。(日本総研上席理事 呉軍華)
コロナから日常を取り戻しつつあるワシントン
若手の現役対中政策スタッフの著書が話題に
バイデン政権が発足してから半年がたとうとする中、筆者は6月、久しぶりに米国の首都ワシントンを訪れた。街では新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念があるものの、ワクチン接種の進展により、日常生活を取り戻しつつあると実感した。
そんな中、米中関係の今後の在り方をめぐって、ある書籍の出版がにわかに話題になっていると聞いた。『ロングゲーム:アメリカ主導の秩序に取って代わる中国の大戦略(The Long Game: China's Grand Strategy to Displace American Order)』と題して、オックスフォード大学出版局から出されたものである。
2015年に出版された『The Hundred-Year Marathon: China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower』(邦訳『China 2049 秘密裏に遂行される世界覇権100年戦略』)を彷彿とさせる書名だ。
同書が注目されているのは、書名だけでなく、著者だと思われる。
『China 2049』を著したハドソン研究所シニアフェローのマイケル・ピルズベリー氏は、トランプ前大統領が最も信頼した中国問題のアドバイザーであった。一方で『ロングゲーム』を書いたのは、バイデン政権の国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官のカート・キャンベル氏の下で中国担当の上級部長を務めるラッシュ・ドーシ氏である。
『China 2049』は出版当初、賛否両論があったが、その主張が後のトランプ政権の対中政策に大きな影響を与えたといわれる。これに比して『ロングゲーム』は、ホワイトハウスの現役の対中政策担当者が著した。内外から高い関心を集めたのは、当然のことである。
ちなみに、『ロングゲーム』が大きく注目されているのはその書名と内容に加え、著者の若さもあろう。2011年にプリンストン大学を卒業し、2018年にハーバード大学で博士号を取った経歴に示される通り、ドーシ氏は米国の新しい世代のチャイナウオッチャーを代表する新鋭の研究者である。
筆者も早速読んでみた。最も印象に残ったのは次の二点である。
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