かける言葉でバレる! 今すぐ離れるべき「ヤバい上司」の口ぐせ

『マンガ 転職の思考法』著者・北野唯我インタビュー

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かける言葉でバレる! 今すぐ離れるべき「ヤバい上司」の口ぐせ

「転職します」と会社に伝えたあとに、上司から「辞めないでくれ」と懇願された経験がある人もいるでしょう。『マンガ このまま今の会社にいていいのか? と一度でも思ったら読む 転職の思考法』の著者である北野唯我さんは、転職を切り出したときの上司の態度によって、その人の本質が見えてくると言います。(取材・構成/川代紗生、マンガ/松枝尚嗣)

「ここでダメならどこに行っても同じ」はブラック上司のサイン

──北野さんの書籍のタイトル「このまま今の会社にいていいのか?」は秀逸だと思うのですが、この思いを抱いている人は、同時に「本当に今の会社を辞めていいのか?」という不安な気持ちも抱いていると思うんです。

北野唯我(以下、北野) はい、その心の揺れは、僕自身も初めての転職で強く感じたので、よくわかります。そうした不安な気持ちを抱くのは、むしろ自然なことです。

初めての転職を「怖い」と思う理由は、「年収が減るのではないか」「人間関係が不安」など、人によりいろいろあると思います。ですが一番の理由は「初めての意思決定」だからなんです。

──初めての意思決定、ですか。

北野 はい。「いやいやいろんなことを自分で決めてきたよ!」と思うかもしれませんが、実は、社会のレールに乗ってきただけであることも多い。大学は偏差値順で選んだ、会社も「世間や親が考えるいい会社」に入ったという人も、たくさんいるはずです。

意味のある意思決定は、必ず何かを捨てることを伴います。転職に成功した人は、どこかのタイミングで今までの自分が築いてきたものを「手放す決断」をしています。

──一方で、「この会社で働いてダメなら、どこに転職しても同じだよ」など、強い言葉で説得されて転職を思いとどまる人も多いと思うんですよね。「たしかに、私が弱いだけかも......」「もっとこの会社で頑張って実績出さなきゃ!」と自分を責めてしまったり。奈美のように、「上司は自分のことを思って言ってくれてる!」と思いこんでしまったり......。

北野 「ここでダメならどこに行っても同じ」って、転職したことがないからこそ出てくる言葉だと思うんですよ。その会社に居続けている人が、自分を正当化するために言っていることがほとんどじゃないかなと。人って、自分の選択を正解だと思いたいじゃないですか。

かける言葉でバレる! 今すぐ離れるべき「ヤバい上司」の口ぐせ『マンガ 転職の思考法』74ページより

──たしかに。正当化のための言葉で、部下のための言葉ではない?

北野 ほんとうに部下の未来を考えるのならば、可能性をつぶすような言い方はしないはずです。たとえ部下の未熟さを心配したとしても、少なくとも「ここで頑張れないなら〜」なんてネガティブな言葉は出てこないんじゃないかなと。

──つまり、この言葉が出る時点で、ブラック企業・ブラック上司である可能性が高いということでしょうか。

北野 そうですね。もしほんとうに部下を思う上司なら、もっと部下の視点に立って話すと思います。

「転職は悪」は、努力を放棄した者の言い訳にすぎない

──「転職=会社や仲間への裏切り行為だ」と強い罪悪感に苛まれ、次への一歩を踏み出せない人にアドバイスをお願いします。

北野 断言できるのは、転職すること自体を「悪だ」と考えるのは間違っている、ということ。「社員に辞められたら困る」「せっかく時間をかけて育ててきたのに」といって転職をタブー視する企業も少なくありませんが、むしろ、そういった姿勢が社内に不毛な対立を生んでしまう可能性も十分にあります。

かける言葉でバレる! 今すぐ離れるべき「ヤバい上司」の口ぐせ『マンガ 転職の思考法』57ページより

──たしかに、対等に意見を言い合うこともできないし、自分の立場を守る行動ばかりとってしまいそうです。「ここを辞めたらもうあとがない」と会社にしがみつく社員ばかりでは、組織も成長しませんよね......。

北野 消去法で会社に残っている人に、いい仕事はできないんじゃないでしょうか。転職を考えてみた結果、「いつでも転職できるけど、あえていまの会社にとどまる」と決断する人もいます。転職のカードを持っているからこそやりがいも感じられ、仕事に自発的に取り組めるようになる。「この会社で働くことを自分で選んだのだから、在籍している期間はせいいっぱい働こう」と考える社員こそ、企業がほんとうに大事にするべき人材なのではないかなと思います。

【大好評連載】
第1回 会社が嫌だと愚痴りながら「ブラック企業からなかなか抜け出せない人」の残念な特徴

かける言葉でバレる! 今すぐ離れるべき「ヤバい上司」の口ぐせ北野唯我(きたの・ゆいが)
兵庫県出身。神戸大学経営学部卒。就職氷河期に博報堂へ入社し、経営企画局・経理財務局で勤務。その後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年、ワンキャリアに参画。子会社の代表取締役などを経て、現在、ワンキャリア取締役。テレビ番組や新聞、ビジネス誌などで「職業人生の設計」「組織戦略」の専門家としてコメントを寄せる。著書に『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む転職の思考法』『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』(以上、ダイヤモンド社)、『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)などがある。最新刊は『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』

本書の主な内容

『転職の思考法』の主人公だった青野がメンターとして登場。
オリジナルストーリーでパワーアップしました!
「キャリアの武器がない」と思う人にこそおすすめしたいマンガ版

<あらすじ>
広告会社の総務部で働く奈美は、ある日会社が外資系企業に買収されるという憂き目に遭う。その買収先から人事担当としてやってきたのが、幼い頃に「近所のお兄ちゃん」として親しくしていた青野トオルだった! 自分には転職は無理...と思っていた奈美だったが、青野から「転職の思考法」を伝授され、考えが変わっていく。

<マンガ部分目次>
プロローグ 私には武器がない
第1章 私の市場価値(マーケット・バリュー)
第2章 転職は「裏切り」?
第3章 いいエージェント、ダメなエージェント
第4章 もう、後悔したくない
エピローグ 私たちは居場所を選べる

<解説部分目次>
いつの時代も変わらない、転職の原理原則
原則1: 転職は悪ではない
原則2: 市場価値と社内評価は一致しない
原則3: 9割の人は、S級人材ではない
あなたのマーケット・バリュー(市場価値)はいくら?
マーケットバリューの高める3つの方法
「やりたいこと」はなくてもいい
大事なのは転職よりも「転職できる」というカード
自分自身の棚卸しのやり方1 過去やってきたことを書き出す
自分自身の棚卸しのやり方2 再現性を見つける
転職するときどこに相談すべきか?(5つのチャネル)
転職エージェントのビジネスモデルを知る
いいエージェント、ダメなエージェント5ヵ条
企業は面接で何を見ているか
給料が高い会社と低い会社の違い
内定をもらってから1週間の過ごし方
もし元の会社から引き留めにあったら
退職で気をつける3つのこと
活躍する転職者、活躍できない転職者の違い

マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
北野唯我 著/星井博文 著/松枝尚嗣 イラスト
<内容紹介>

20万部のベストセラー、ついにマンガ化! 転職へのモヤモヤと罪悪感はこの1冊だけで全て解消できる! 「自分には武器がない」と思っている人にこそ読んでほしい、完全書き下ろしの「もう一つのストーリー」が誕生しました。青野がメンターとなり総務部勤務の奈美の悩みを解決に導きます。

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