東急が私鉄3社で最大の業績ダメージを受ける理由、黒字予想が独自試算すると赤字転落?

ダイヤモンド編集部
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100本ノック夏#9Photo:PIXTA

非鉄道事業の多角化で成長してきた私鉄。それがコロナ禍では裏目に出ている。大手私鉄3社は、2022年3月期に業績回復を予想するが、この先どうなるか。特集『決算書100本ノック! 2021夏』(全10回)の#9では、編集部で行った独自試算の結果を公開する。(ダイヤモンド編集部 松野友美)

「週刊ダイヤモンド」2021年6月26日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

東急、近鉄グループHD、阪急阪神HD
最終赤字の要因は「鉄道」だけではない

2021年3月期決算で最終赤字を出した大手私鉄の東急、近鉄グループホールディングス(HD)、阪急阪神HDの3社。原因はコロナ禍での鉄道利用の減少に限らない。

そもそも、売上高全体に占める交通事業の割合は15〜26%(21年3月期実績、調整額を除く)。鉄道に関わる事業は主力ではあるものの、それらの売上高でみると、「第二」「第三」の事業にとどまっている。

むしろ屋台骨となっているのは、鉄道沿線の生活に密着した事業群だ。東急の場合、リテールなどを含む生活サービス事業が売上高全体の61%を占めている。同様に、近鉄グループHDの流通事業は全体の42%、阪急阪神HDの不動産事業は全体の31%を占めている。

私鉄三社は、生活関連事業に加えて旅行・ホテル事業などを強化し、鉄道営業エリア内外の「人の往来」をテコに事業を拡大させてきた歴史がある。まさしく、私鉄は成長ドライバーを事業の「多角化」に求めてきたのだ。

しかし、である。新型コロナウイルスの終息が遅れ、人々の移動が自粛を強いられるさなかでは、お家芸ともいえる多角化が、かえって業績回復の遅れを招いてしまっている。

どういうことか。以下では独自試算を用いて説明しよう。

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