丸紅・柿木社長に聞く、コロナV字回復を支えた電力ビジネス「脱炭素」の行方
柿木真澄・丸紅社長インタビュー
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コロナ禍にあって赤字からのV字回復を果たした丸紅(2021年3月期純利益2253億円)。電力ビジネスで商社ナンバーワンの丸紅は、石炭火力発電も多く、脱炭素の風を読み誤れば窮地に陥りかねない。特集『商社 非常事態宣言』(全15回)の#6では、柿木真澄社長に丸紅の電力戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部 重石岳史、田上貴大)
2018年にいち早く新規発電から撤退宣言
「電力の丸紅」柿木社長が語る脱炭素戦略
――脱炭素という大きなうねりが生じています。丸紅は電力の持ち分容量が商社でナンバーワンですが、石炭火力発電をどうするかを含めて、脱炭素の方針と進捗状況を教えてください。
世界の潮流や日本政府の方針に沿う形で、「気候変動長期ビジョン」を今年3月に発表した。これを粛々と進めていく。
脱炭素は新聞の紙面や市場を毎日にぎわせていて、動きはもう、うねりを超えて走りだしている。一度立てた方針に沿って進めていくのは重要だが、世の中の動きがそれ以上に速ければ、当然ながらその都度見直しをする。
特に石炭火力は、私どもが2018年に先駆けて(新規の開発撤退などの方針を)打ち出したときも、社内でいろいろな議論をした。一方的に「もう石炭をやらないから」と顧客に伝えるのではなく、今後どうしていくべきかを一緒に考えている。
エネルギーを転換しないといけないものの、アジアの顧客はリニューアブル(再生可能)エネルギーに一挙に進む環境が整っていない。雨季は、太陽光といったリニューアブルそのもののリソースの確保が難しい。洋上風力も、アジアには開発が難しい深い海が多い。無理やりに推進する財政的な余力もない。
トランジショナル(段階的)に変える仕組みが必要だ。例えば、石炭からLNG(液化天然ガス)に代えたり、石炭火力にアンモニアを投入して低炭素を実現したりという方向性を、アジア全体で訴えていく必要がある。
こうしたことを提言し、理解してもらい、脱炭素や低炭素を実現させるための支援をする。それがわれわれの使命であり、新たなビジネスチャンスにもなる。
――方針の見直しについては、18年の時点で「石炭火力を30年までに半減する」と言っていました。
そこから5年前倒しした。われわれが努力したら、30年までに半減するゴールは必ず達成できると思いスタートしたが、世の中の流れが速いという外的要因が発生した。
一方で、われわれ自身も石炭火力に対するアプローチを始めてみると、このままのスピードならば顧客に無理させず迷惑を掛けないやり方でできる道筋が見えた。
――もっと踏み込んで前倒しするのは難しいのでしょうか。
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