楽天・三木谷帝国が赤字に怯まない理由、内弁慶巨大グループ解剖で見えた「一筋の光」
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2012年に英語を公用語化して間もなく10年。しかし、海外売上高比率は伸び悩み、今では国内事業を主力とする内弁慶企業だ。eコマース(EC)と金融の国内2事業に加えて乗り出したのが、「楽天経済圏」での一段のシナジーを狙う携帯電話事業。楽天グループ総帥の三木谷浩史会長兼社長は、創業以来の赤字をどう乗り越え、グループの立て直しを図ろうとしているのか。特集『楽天 底なしの赤字』(全7回)の#4では、巨大コングロマリットを解剖することで、三木谷浩史会長兼社長の「成算」をつまびらかにする。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
巨額赤字の計上を厭わない
三木谷社長の原点
「将来の成長を取るか短期的な利益を取るか」――。
楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は5月13日の決算説明会で熱弁した。「ここで20〜30%の(税引き前)利益をひねり出そうとしたら出せるが、将来は1兆円を実現したいので、今は売り上げ成長を目指している」。
1997年に創業し、積極的なM&A(企業の合併・買収)で事業領域を拡大させてきた楽天は、国内ECサイト「楽天市場」が中核のインターネットサービス事業と、「楽天カード」などの金融事業を2本柱とする巨大コングロマリットに成長した。だが、「第三の柱」を標榜する携帯電話事業で巨額赤字を垂れ流し、連結ベースで過去最大規模の赤字に転落している。
実は、楽天が巨額赤字を計上したのは初めてではない。2000年に店頭公開を果たしてから5年連続で最終赤字を計上したが、特に03年12月期には、売上高が181億円だったのに対して当期純損益が526億円の赤字となり、売上高の3倍近くの最終損失を計上した歴史がある。
同年に買収した証券会社と旅行予約サイト会社ののれん代を一括償却して特別損失を計上したためだ。2社は、現在の楽天証券と楽天トラベルで、その後のグループのけん引役となった。
三木谷社長が筆頭株主のオーナー企業である楽天は、一時的な利益にとらわれず、必要に応じて巨額の赤字をちゅうちょなく計上する特徴がある。こうした三木谷社長の思考回路や行動特性を踏まえた上でグループを解剖すると、楽天が携帯事業の巨額赤字に怯まない理由が見えてくる。
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