ベンチャー「IPO難民問題」に商機!監査法人の準大手・中小が逆襲
詳細はこちら
かつて四大監査法人では、IPO(新規株式公開)支援が花形部署とされた。だが監査報酬額が安く、上場直後の業績修正など監査事故が起こりやすいことから、大手のIPO回避が顕著になっている。特集『激動!会計士』(全12回)の#7では、ベンチャーかいわいで課題になっている「IPO難民」と、そこで"救世主"として名乗りを上げた準大手や中小の監査法人をテーマとして取り上げる。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
監査法人が新規上場企業の支援を回避
ベンチャー企業が直面する「IPO難民」
「監査法人が、上場する会社を"選定"する状況になってしまっている」(ベンチャー企業の経理担当幹部)
IPO監査難民――。近年、ベンチャー企業かいわいで取り沙汰されているのがこの問題だ。
IPO、つまり新規株式公開をする際、企業は上場審査に備えて、公認会計士に2期分の監査証明をしてもらうことが必要になる。だが、四大監査法人が「IPO準備の仕事を受けなくなった」(大手ベンチャー企業の役員)ことで、上場企業が増加しにくい環境ができているというのだ。
そもそも公認会計士には、企業の財務情報の信頼性を担保することを通じて、資本市場の活性化を担う役割が期待されている。IPOによって、新規に市場に参入する企業を支援することは、期待役割に沿う監査法人の重要な使命だ。
今でも、「IPO監査をやりたいと言って入ってくる人はいっぱいいる」(大手監査法人幹部)。例えば、監査法人トーマツのトータルサービス部というIPO支援部署のように、「トーマツに就職するならこの部署に入りたい」と言われるような典型的な花形部署も、業界内には存在した。
多くの会計士が憧れるIPO監査だが、監査法人側にも、そうやすやすと受け入れられない事情がある。最大の問題は、IPO監査はリスクと報酬が見合っていないことにある。
記事一覧
会計士の知られざる「実像」、50人超の取材で業界激動をあぶり出す
2021年1月25日
#1「会計士vs企業経理部」コロナ禍が招く不正とカネの超攻防戦が勃発!
2021年1月25日
#2監査費用が高い企業ランキングで判明、財閥系企業と監査法人の深過ぎる関係
2021年1月25日
#3会計士「出世とカネ事情」の今、パートナーと企業CFOはどっちがお得?
2021年1月26日
#4全国104監査法人&会計事務所の「台所事情」、監査報酬ランキングで分析
2021年1月26日
#54大会計事務所の肥大化に金融庁や政界が危機感を募らせる理由
2021年1月27日
#6デロイトトーマツCEOが語る、トップ会計事務所のさらなる「チャレンジ」
2021年1月27日
#7ベンチャー「IPO難民問題」に商機!監査法人の準大手・中小が逆襲
2021年1月28日
#8KPMGジャパントップが明かす、非監査領域の規模追求は「禁じ手」の理由
2021年1月28日
#9「不正会計の現場」を仮想現実で目撃!PwC最新研修を記者が体験してみた
2021年1月29日
#10東芝の不正会計を見抜けなかった新日本監査法人の今、EYジャパンCEOが初告白
2021年1月29日
#11PwCジャパン代表に聞く「監査比率の低さ」を強みに変えた"異形"の戦術
2021年1月30日
#12「フェイク」が多い時代こそ会計士の使命がある、日本公認会計士協会会長が激白
2021年1月31日
あなたにおすすめ