相続の新切り札「家族信託」活用術、共有不動産・認知症リスクの悩み解決

ダイヤモンド編集部
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夫婦の相続#6Photo:PIXTA

多様なニーズに合わせた使い方が可能な「家族信託」。遺言書よりも使い勝手が良いとも言われるこの新しい制度は実際にどのような場面で活用されているのだろうか。特集『夫婦の相続』(全13回)の#6では、#5に引き続き、よく使われている事例で詳しく解説する。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)

「週刊ダイヤモンド」2021年1月16日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

(注記)「家族信託」の詳しい解説、他の事例については#5『遺言書より頼れる!?「家族信託」で夫婦共倒れの"おしどり認知症"に備えよ!』 参照

【相続の新切り札「家族信託」活用術】
高齢3兄妹の共有不動産で相続が複雑化、
子どもにも迷惑掛けず解決するには?

Bさんは、20年前に親から引き継いだ、築40年のアパート2棟をきょうだい3人で均等に共同保有している。本来なら均等に分けることができない不動産をうっかり共有分割(持ち家など分けられない遺産を相続人同士で持ち分を決めて共有する方法)すると、自分の相続の段になって、大きな足かせとなることが少なくない。

Bさんも、共有財産によって自分の相続が複雑化し、子どもに迷惑をかけることを危惧していた。しかも、きょうだい3人とも高齢になり、管理も心身共に重荷になっている。

そのためBさんは、誰かが認知症になったり、アパートの資産価値が損なわれたりする前に売却して、現金を3人で分割したいと他のきょうだいに相談したところ、弟は賛成したが、妹は「家賃収入を老後の足しにしたい」と懇願。

子どもに相続で迷惑をかけたくないという気持ち、妹の切実な願い、そして高齢化で管理の難しくなった不動産の処遇。この三つの問題を解決するため、Bさんは当初、賃貸不動産全体の法人化による管理を検討した。

しかし、資産を法人に移転した際に譲渡所得税が課される上、法人に移行する際の登記料も高額だったため断念。

そこでBさんが、活用を決めたのが「家族信託」だ。

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