東電・中電連合に「あの地方電力」が飛び付いた理由、脱炭素方針が引き金
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日本最大の発電会社であるジェラは、2050年までに石炭火力発電を徐々にアンモニア火力発電に切り替える方針を明らかにした。特集『電力大大大再編』(全7回)の#4では、30年までに老朽石炭火力発電所を休廃止すると打ち出した政府の方針に危機感を募らせた「ある地方電力」の動きを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
ジェラがぶち上げた目標が
業界再編の呼び水に
2030年までに老朽化して非効率な石炭火力発電所を休廃止する方針を政府が打ち出した中、10月13日に次のエネルギー政策を決める「第6次エネルギー基本計画」の策定議論がいよいよ始まった。同じ日、東京電力と中部電力の火力発電部門と燃料調達部門が統合して誕生したジェラは壮大な目標をぶち上げた。
それは、50年時点で国内外の事業から排出される二酸化炭素(CO2)を実質ゼロにするというもの。日本最大の発電会社が脱炭素へと大きくかじを切るのだ。
大きな柱の一つとなるのは、ジェラが保有する石炭火力発電所からのCO2排出量を実質ゼロにする取り組みである。経済産業省資源エネルギー庁によると、ジェラは国内の石炭火力発電所のうち約2割(設備容量ベース)を保有している。
石炭火力発電所は、CO2を多く排出する。高効率の石炭火力発電所であっても、環境に優しいとされるLNG(液化天然ガス)火力発電所に比べると、CO2の排出量は2倍にもなる。
いったいどうやって、石炭火力発電所からのCO2排出量を実質ゼロにするのか。
ロードマップはこうだ。
まず政府の方針に従って、ジェラが保有する非効率な石炭火力発電所を30年までに全て休廃止する。さらに高効率な石炭火力発電所でも、CO2を排出しないアンモニアを燃料として石炭に混ぜて活用する実証実験を重ね、50年までに石炭火力発電所をリプレース(建て替え)する際に、燃料をアンモニアに切り替える。
つまり、石炭火力発電所を徐々にアンモニア火力発電所に置き換えるのだ。
この取り組みについて、奥田久栄・ジェラ取締役常務執行役員は、あるラジオ番組で「われわれと一緒に取り組んでくれる仲間を業界の中にも外にも増やしていって、持続可能な社会を実現する。今後は仲間づくりにも力を入れて取り組んでいきたい」と語っていた。
脱炭素社会の実現にジェラと協力してくれないか――。
聞こえはいいが、裏を返せば、ジェラは脱炭素社会への移行を業界再編の呼び水にしたいのだ。そのターゲットとなるのが、地方電力会社である。
エネルギー業界関係者によれば、すでにジェラは、各地方電力会社にアプローチを始めているもようだ。
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