Jリーグ「赤字転落・債務超過」も、ゴールドマン出身の剛腕専務が語る【前編】
木村正明・Jリーグ専務理事インタビュー
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「多くのクラブが赤字転落」「債務超過のクラブも結構出てくる」――。昨年、25年ぶりに平均入場者数を更新したJリーグだが、今期は観客数の制限が続き、収益的に苦しい状況に置かれている。特集『激震!コロナvsプロスポーツ』(全12回)の#1では、コロナ禍での経営を含めて、ゴールドマン・サックス出身のJリーグの剛腕専務、木村正明氏がダイヤモンド編集部だけに語った1万字のロングインタビューの前編をお届けする。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
今期は多くのクラブが赤字に転落
債務超過になるクラブも結構出てくる
――無観客試合(リモートマッチ)でしたが、Jリーグが再開しました。
再開できるかどうかも分からない状況でしたので、ホッとするかなと思ったのですが、情緒的な喜びというか、本当にうれしかったですね。月並み過ぎますかね。今年はもう1試合も開催できないかもという恐怖が経営側にはあったので......。やっぱりスポーツっていいなと思いました。
――再開前に選手やチームスタッフを対象に3000人超のPCR検査を実施。1人当たり1万7000円と高額だそうですね。手間だけでなく費用もかかります。やれる準備は最大限してということでしょうか。
おそらく日本で最大の検査だったと思います。選手を中心に監督、コーチ、スタッフ、審判員で最大約3600人。これを2週間に1回実施するため、費用はかかります。ですが、検査をして陰性の選手同士が対決する形にしないと、選手も本気でぶつかれません。僕の地元は岡山ですけど、ファジアーノ岡山と東京ヴェルディが試合をする場合、東京から来た選手を受け入れるには、選手が検査を受け、陰性の状態であることを最低限求めると思います。
――有観客試合もスタートしましたが、入場料収入は当面厳しくなります。
これは率直に言います。今後のことは誰にも分からないと思います。分かったようなことを言うのが一番良くない。ただし、もうコロナ前には戻れないという姿勢を持たないと、新しい時代に対応し切れません。ワクチンができなければ、満員にすること自体できないかもしれないので、その前提でものを考えないといけないと思います。新しい企画がいろいろ出てきているので、取りあえず今はやってみることです。他のスポーツ団体もマネタイズの源泉になるものはまだ見つけられていないと思います。
――今期は債務超過や赤字になるクラブが、かなり出てくるという認識ですか。
多くのクラブが赤字になると思います。債務超過になるかどうかはまだ......。元々各クラブは資本金が多いわけではないので、今後の観客の入場者数次第ではありますが、ほとんどのクラブが借金をする可能性があります。そうなると債務超過になるクラブが結構出てくることになりそうです。積み上げた剰余金があり、自己資本が厚いクラブはならないはずです。
――従来は債務超過のクラブはライセンスを剥奪されますが、今期は特例措置で債務超過でもライセンスは剥奪しないことを決定しました。ただ、債務超過になるとクラブ経営としての問題が出てきませんか。
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