前代未聞!なぜコロナ禍なのに日本で"医師余り"が続出したのか
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未曽有のパンデミックが起こったとき、現場では一体何が起こったのか。特集『コロナで激変!医師・最新序列』(全12回)の#1では、「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」等の医療ドラマの監修でも知られたフリーランス麻酔科医、筒井冨美氏がお涙ちょうだいメディアが決して報道しない、「コロナ禍に晒された医療界の真実」を赤裸々に暴く。前編、後編の2回に分けてお届けする。
「ヒーロー不在」だった、日本の"コロナとの闘い"
私の職業はフリーランス麻酔科医。特定の職場を持たず、複数の病院で麻酔を担当して報酬を得つつ、多様な医療現場の内側を見る者ならではの立場で著作も行っている。コロナ禍による経済危機は、医師にとっても決してひとごとではなく、格差の拡大が一気に進んだ感がある。失って困る肩書もないので、この数カ月に医療現場で起こった騒動を率直に伝えてみたい。
2019年冬、中国で発見された新型コロナウイルス(以下、コロナ)は、20年には世界に拡散し、日本社会も大きく翻弄された。とはいえ、死者977人(7月6日時点、厚生労働省発表)は、米国13.3万人、英国4.4万人、イタリア3.5万人(7月6日時点、Worldometer)など、欧米に比べて奇跡的に少ない水準であり、結果的には「コロナ対策に成功した国」といえるが、なぜか政府や専門家会議への評価は低い。
一方で、最前線の医療従事者の奮闘が毎日のように報道され、称賛を浴びた。PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査に不可欠な臨床検査技師、重症患者に使用するECMO(体外式膜型人工肺)を担う臨床工学技士といった、これまであまりスポットを浴びてこなかった医療職も一般に知られるようになった。コロナとの闘いは、まさに「ヒーロー不在の戦争」であり、「無名で多数の専門職がジグソーパズルのように連結することで日本を守った」闘いだったように思う。
日本では、20年1月に初めて感染者が確認されたのを皮切りに、2月にはクルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号の集団感染騒動があったが、この頃はまだ医療機関にも余裕があった。
2月1日に始まった「新型コロナウイルス感染症発生届(写真)」が、いまだに指定用紙に手書きし、印鑑を押してファクス送信というシステムだったことに医師たちはボヤきながらも「03年のSARSコロナウイルス、15年のMERSコロナウイルスのように、そのうち終わるだろう」と考える者が多かった。
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