改正相続法の配偶者居住権が「新節税スキーム」になる想定外の理由

ダイヤモンド編集部
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改正相続#2Illustration by Yuuki Nara

改正相続法の目玉として位置付けられていた「配偶者居住権」だが、想定されるケースが特殊なため、使い勝手の前評判は良くなかった。しかし一転して、いま新たな節税手法として注目が集まっている。特集『改正相続、もめごと全解決!』の第2回では、想定外の期待が高まる配偶者居住権の概要と、その節税効果について解説する。

「週刊ダイヤモンド」2020年5月2日・9日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

改正相続法の目玉「配偶者居住権」
出番は少ないとの前評判が一転

今年4月に施行されたばかりの「配偶者居住権」は、改正相続法の「目玉」と位置付けられながら、その前評判は決して良いものではなかった。

なぜなら、配偶者居住権とは、夫に先立たれた妻が遺産分割後も住み慣れた自宅に住み続けられることを保障する権利のこと。裏返せば、妻が自宅を追い出されるような「争族」を解決しようという目的で創設されたわけだ。

そこで想定される争族は、夫が再婚者で先妻との間に子がいるようなケース。改正前は、夫名義の自宅に住む妻(後妻)が遺産分割協議によって自宅を所有できず住処を追われたり、またたとえ所有できても、預貯金が少なければ自宅を売却して先妻の子との遺産分割に充てたりする事例が少なからずあった。ただし、このような複雑な家族はやはりレアケースだ。

そのため、相続に詳しい税理士の間では「実母を自宅から追い出す子供をまず見たことがない。一般的な相続で配偶者居住権を使う場面はほとんどないはず」と、その活躍を期待する声は小さかった。

ところが、ふたを開けてみればそんな前評判を覆して、配偶者居住権への期待が目下、にわかに高まっている。それも、想定された仲が悪い家族ではなく、仲良し親子の間で、だ。

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