改正相続法の配偶者居住権が「新節税スキーム」になる想定外の理由
詳細はこちら
改正相続法の目玉として位置付けられていた「配偶者居住権」だが、想定されるケースが特殊なため、使い勝手の前評判は良くなかった。しかし一転して、いま新たな節税手法として注目が集まっている。特集『改正相続、もめごと全解決!』の第2回では、想定外の期待が高まる配偶者居住権の概要と、その節税効果について解説する。
改正相続法の目玉「配偶者居住権」
出番は少ないとの前評判が一転
今年4月に施行されたばかりの「配偶者居住権」は、改正相続法の「目玉」と位置付けられながら、その前評判は決して良いものではなかった。
なぜなら、配偶者居住権とは、夫に先立たれた妻が遺産分割後も住み慣れた自宅に住み続けられることを保障する権利のこと。裏返せば、妻が自宅を追い出されるような「争族」を解決しようという目的で創設されたわけだ。
そこで想定される争族は、夫が再婚者で先妻との間に子がいるようなケース。改正前は、夫名義の自宅に住む妻(後妻)が遺産分割協議によって自宅を所有できず住処を追われたり、またたとえ所有できても、預貯金が少なければ自宅を売却して先妻の子との遺産分割に充てたりする事例が少なからずあった。ただし、このような複雑な家族はやはりレアケースだ。
そのため、相続に詳しい税理士の間では「実母を自宅から追い出す子供をまず見たことがない。一般的な相続で配偶者居住権を使う場面はほとんどないはず」と、その活躍を期待する声は小さかった。
ところが、ふたを開けてみればそんな前評判を覆して、配偶者居住権への期待が目下、にわかに高まっている。それも、想定された仲が悪い家族ではなく、仲良し親子の間で、だ。
記事一覧
改正相続法で大激変!「争族の落とし穴」を回避するポイント
2020年5月18日
#1相続法40年ぶり大改正に想定外の「わな」!余計な税負担、争族リスク...
2020年5月18日
#2改正相続法の配偶者居住権が「新節税スキーム」になる想定外の理由
2020年5月18日
#3相続の基本ガイド2020最新版!手続きと「誰が・どれだけ」を完全解説
2020年5月19日
#4改正相続法の大トリ「自筆の遺言書」、新制度でズバリここが変わる!
2020年5月19日
#5相続で一番もめる「遺産分割協議」、4つの分割法と遺産の種類を解説
2020年5月20日
#6改正相続法で「現金の少ない地主」が多くの土地を失いかねない理由
2020年5月20日
#7相続法が改正されても「自宅の生前贈与」を絶対に使ってはいけない理由
2020年5月21日
#8家と土地の相続がもめやすい理由、「親族で共有」するのは最悪!
2020年5月21日
#9土地相続は「路線価と時価の差」に注意!地方は"負動産"押し付け合いも
2020年5月22日
#10「節税アパート」の悲惨な末路、相続税対策のはずが負の遺産化リスクも
2020年5月23日
#11空き家を税金で損せずに売る方法、築古限定の「超節税術」も
2020年5月24日
あなたにおすすめ