残業時間の上限規制4月施行、優しかった労基署が中小企業経営者に牙をむく!

ダイヤモンド編集部
有料会員限定
記事をクリップ
URLをコピー
記事を印刷
Xでシェア
Facebookでシェア
はてなブックマークでシェア
LINEでシェア
noteでシェア
本当は怖い働き方改革#7Illustration by Saekichi Kojima, Photo:Colors Hunter-Chasseur de Couleurs/gettyimages

労働問題の"番人"である労働基準監督署が近年、妙に優しくなった。働き方改革関連法について、懇切丁寧に教えてくれる。しかし、それは優しい仮面をかぶっていただけ。4月から中小企業でも「残業時間の上限規制」が始まり、労基署は怖い素顔を見せてくる。特集『本当は怖い働き方改革』(全9回)の#7は、労基署の実態とともに、取り締まりの最新ターゲットを読み解く。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

「税務署より怖い」と言わしめた
労基署が最近やたらと優しい

この2年、労働基準監督署がやたらと優しい。正義のヒーローさながらに労働基準監督官がブラック企業に立ち入り調査を行い、法令違反があれば処分を下す勧善懲悪劇をとんと目にしなくなった。

違法な長時間労働の撲滅を使命とした"特捜部隊"として、厚生労働省は2015年に過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」を東京と大阪に設置。司法警察員として法令違反のあった企業を送検する権限を持つ監督官、その中でもエース級を配置した。

この年、大手広告代理店である電通で社員が過労自殺した。かとくは同社をガサ入れし、書類送検。結果、電通は有罪判決を受けた。

かとくが電通本社に家宅捜索に入る様子は派手に報道された。「労働法の警察」として大企業にちゅうちょなく踏み込むこわもての監督官に、世間は正義のヒーロー像を重ねた。かとくはテレビドラマや小説などフィクションの世界でも活躍するようになった。

一方、大企業は震え上がった。かとくは、大手企業による"組織的な犯行"に目を光らせ、次々と送検した。大企業のホワイトカラーにおける過重労働にメスを入れたのだ。

目を付けられれば、ブラック企業に転落する――。「かとくはマルサ(国税局査察部)より怖い。労基署は税務署より怖い」とまで企業に言わしめた。

ところがここ最近、かとくの手柄を聞かなくなった。

東京労働局にある「東京かとく」には、「過重労働撲滅特別対策班」と書かれた大きな看板が掲げられているが、今見に行くと、看板の下部分の微妙な位置にコピー機が置かれており、なんだかもの悲しい。

過重労働撲滅特別対策班の看板Photo by Masami Usui

17年に旅行大手のエイチ・アイ・エスを送検して以降、東京かとくは大物を仕留めていない。

かとくが鳴りを潜める中、全国の労基署には「労働時間相談・支援班」が設置された。こちらは企業にとても優しい。

記事一覧

予告

残業代が消え、新型リストラが始まる!本当は怖い働き方改革【予告編】

2020年3月30日

#1

隠れ「働かないおじさん」がテレワーク強制で次々あぶり出された理由

2020年3月30日

#2

リストラ予備軍がテレワークでバレる!最恐労務管理ツールで仕事ぶり丸見え

2020年3月30日

#3

「残業代ゼロ時代」到来!電通、三菱電機、JTですでに半減の社員ナマ情報

2020年3月31日

#4

厚労官僚は残業200時間!働き方改革を逆走する「強制労働省」残酷物語

2020年3月31日

#5

未払い残業代請求ビジネスの裏側、労働者・弁護士はもちろん企業も得する理由

2020年4月1日

#6

「定額働かせ放題」を指南するワルも...働き方改革で社労士のビジネス拡大

2020年4月2日

#7

残業時間の上限規制4月施行、優しかった労基署が中小企業経営者に牙をむく!

2020年4月3日

#8

同一労働同一賃金4月施行、労務担当が当面乗り切るための「言い訳マニュアル」

2020年4月4日

#9

非正規「待遇格差」の是非に結論、今夏判決下る日本郵便事件の全シナリオ

2020年4月5日

この記事に関連する企業

あなたにおすすめ

特集

アクセスランキング

  • 最新
  • 昨日
  • 週間
  • 会員

最新記事

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /