「ウチの会社は人材育成ができてない」という考えが間違いであるワケ
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加えて、もう1つ面白いデータがあります。下の図を見てください。
図の見方がわかりづらいので補足すると、まず、横軸に先に述べた5つの項目を置いており、縦軸の平均点は 点満点でスコア化したものを5つに分類しています。
満足度のスコアが3.0〜3.5だと、一般的には従業員はその項目に「可もなく不可もない」状態であり、3.5を超えると「満足している」、4.0を超えると「強く満足している」。反対に、3.0を下回ると「やや不満」な状態であり、2.5を下回ると「強く不満に思っている」と解釈してもらうとわかりやすいでしょう(これは、一般的に5点満点の点数をとると、その中心が3点台前半に集中することからきています)。
たとえば、図の左上の「1.2%」は、全体のうち約1%しか該当していないことを表しています。
「人材の長期育成」ができている会社はほぼ存在しない
では、この図からどんなことが読み取れるでしょうか?(正直、この図はとても読み応えがあります!)たとえば、こんな感じです。
・「法令遵守意識」は、高い満足度を担保できている唯一の項目
・反対に、「人材の長期育成」と「待遇面の満足度」は、不満に思っている人がきわめて
多い
私はこの結果にめちゃくちゃびっくりしました。とくに驚いたのが「人材の長期育成」のスコアです。図をじっくり見てもらうと、次のような衝撃の事実が目にとまります(グレーで色を付けた部分)。
・人材の長期育成で、満足度が高い会社はこの国にほぼ存在していない
のです。しばしば「うちの会社はさぁ、人を長期的に育てる力がないんだよね」「人材の長期育成ができていない」「会社はもっと人の長期育成に力を入れるべき!」という意見を聞くことがあると思います。このデータが示しているのは、そもそも、そんな会社はほぼ存在していない! という衝撃の事実です。
ただし、正確には、トヨタ自動車や三菱商事など約2400社中の9社は満足度が3.5を超えていますが、その割合は0.4%と極端に低い数字になっています。
このデータをどう解釈すればいいでしょう?
あえて断言するなら、まず「従業員の期待値が高すぎる」のです。結婚でたとえるなら、「理想が高すぎる相手を求めた結果、どこにもいない人を求めてがっかりしている」ということだろう(気持ちはわかる)。したがって、もしあなたが「私を長期的に育成してくれる会社はないかなぁ? しかも、たっぷりと。そういう会社に勤めたいな」と思っていたら、考えを改める必要があるでしょう。なぜなら、そんな会社はこの世に存在せず、青い鳥を求めてしまっているからです!
反対に、あなたが経営者だとして、人材開発をしたいと思っていたとしても、彼らの期待値を大幅に上回り、長い期間で満足してもらうことはきわめて難しいという前提で施策を練ったほうがいいでしょう。
つまり、「人材育成」に関しては、
高すぎる期待値を調整する → 実態を改善していく
という順番で施策を講じるべきなのです。
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