任天堂がどん底でも「スイッチ」開発を続けられた鍵はBSにあり
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特集「漫画でわかる!おカネの歴史 決算書・給料」(全8回)の7回目は、前回に引き続き、指さし確認により「一発で見抜く!」をコンセプトにして、決算書の中の貸借対照表(BS)を超楽チンに理解できる内容になっています。これまで何度かダイヤモンド編集部では決算書の特集をやってきましたが、「史上最高の楽チンさ」。面倒なことは一切する必要がなく、指さし確認していけばいいのです。今回は、業績がどん底の中でも任天堂が「ニンテンドースイッチ」の開発を継続できた理由などを題材にして学んでいきます。
【BS】流動比率
すぐ返せるの?
ここで紹介する流動比率で分かることを簡単に言えば「借金をすぐ返せるのかどうか」です。
ややこしいことはありません。こんなふうに考えてください。
あなたは、AさんとBさんにそれぞれ100万円を貸しました。2人とも「自分には財産があります。返せますので心配しないでください」と言っています。
ところが、その中身を聞いてみると、違いは歴然でした。Aさんは株式や商品券など売ってすぐに換金できるもので100万円相当を所有していましたが、Bさんはすぐには売れない土地や自宅に100万円以上の価値があると主張しているのです。同じ100万円の価値でも全然違いますね。
ところがどっこい、あなたはそれを知らずに、Aさんには「1年後に返してもらう」という約束で貸しましたが、Bさんには「1カ月後に返してもらう」という約束をしていたのです。
返しやすい人には随分先の、返しにくい人にはすぐに返してもらう約束をしたという、あべこべの状況なのです。困りましたね。
これに近いことが分かるのが流動比率です。
前回の特集#6【ゴーンの「日産V字再建」は本物だったのか?BSの読み方カンタン理解】でも紹介しましたが、BSの負債や資産は「流動」と「固定」に分けることができます。繰り返しになりますが、流動資産は1年以内に現金化できる資産、流動負債は1年以内に返済・支払期限が来る借金のことです。
であるならば、流動資産を流動負債で割った率が100%を上回っているのなら「1年以内に返すべき借金よりも、1年以内に現金化できる資産の方が多い」ということになります。実際に指さし確認して見抜く方法は下図のようになります。
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さて、流動比率は200%を超えれば安全水域といわれていますが、任天堂は459.1 %と、かなりの高水準です。任天堂は自己資本比率のランキングの19位にも食い込んでいます(特集#6参照)。
実は、その盤石な財務の背景には、中興の祖の強い思いがあったのです。
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