週刊ダイヤモンドの見どころ

山本 輝(週刊ダイヤモンド編集部)

やまもと・あきら/慶應義塾大学経済学部卒業後、15年入社。書店営業を経て、16年より週刊ダイヤモンド記者。自動車業界担当を経て、現在は食品、外食業界を担当。主な担当特集は「外食チェーン全格付け」「アジアより欧州で稼ぐ アサヒ 巨額買収の勝算」。元落研。落語とは違って原稿は”落とした”ことはない。

2019年07月19日掲載

部長とヒラで1000万円以上の差!驚愕の退職金格差が本誌調査で判明

『週刊ダイヤモンド』7月27日号の第1特集は「退職金と守りの老後運用術」です。貴重な老後資産である退職金がいま衰退のさなかにあります。金額は年々減少し、出世の違いなどによる個人間格差が顕著に。もはや夢のリタイア生活という保証はどこにもありません。本誌が行ったアンケートでは驚きの格差が浮き彫りになるなど、いまこそ退職金を守り、活用するための心構えが必要です。

退職金格差が拡大中

今、退職金に恐るべき三つの激変が押し寄せている。

一つ目は「金額の激減」だ。なんと、20年前に比べて平均で1000万円以上も減った(厚生労働省統計)。企業年金の給付利率も下がるなど、退職金の減少はとどまるところを知らない。

二つ目の激変は「自己責任」化。その象徴の一つが「確定拠出年金」の拡大だ。

あらかじめ支給される額が決まっている「確定給付企業年金」などとは異なり、確定拠出年金とは、定められた拠出額を基に、労働者自身が運用を行うというもの。自身の運用次第で受け取れる額が変わる、いわば 〝自己責任〟の仕組みだ。

「確定給付から確定拠出への流れは、会社が運用リスクを取らなくて済むので、今後も進んでいくだろう」と断言するのは、りそな年金研究所の統括主席研究員である谷内陽一氏。確定給付企業年金が企業にリスクを負わせる制度だとしたら、確定拠出年金は個人がリスクを負うものであり、企業から個人への責任の転嫁が進む。

出世による違いが顕著になる

三つ目が「出世圧力」だ。というのも、いまや退職一時金の制度の過半を占める「ポイント制」は、どれだけ出世したかが大きく退職金額に影響するからだ。

ポイント制とは、在職時の役職や勤続年数などを基に計算されるポイントの累計を基に退職金額を決める制度。早くから上位の役職に就くことでポイントが増し、そうでない人との差が大きく開く。

人事コンサルティング企業、ベクトルの秋山輝之副社長は、「かつてであれば、企業内で標準額から±15%ぐらいの範囲に退職金額が収まっていたものが、いまは±50%ほどの差が生まれるようになり、格差が大きくなっている」と説明する。

今回、週刊ダイヤモンドでは、本誌定期購読者およびダイヤモンド・オンライン会員に向けて1000人を超える大規模なアンケートを実施した。そこで明らかになったのは、驚くべき格差の実態であった。

最終役職別の退職金額の平均を算出したところ、一般職級が1664万円に対して、部門長・部長級が2701万円、社長・役員級に至っては3095万円と、実に1000万円以上の開きが出たのである。

退職金が0という人も存在

図を見ると、主任・係長級と課長級の間で開きが大きくなっている。やはり、退職金額には、管理職になるかならないかという昇進の壁が厳存するようだ。

今週の週刊ダイヤモンド2024年12月21日号[990円]

最新号表紙

特集銀行&信金・信組 最新序列2025

本格的な金利上昇が始まって、間もなく1年。銀行の事業環境は一変した。企業や個人への貸し出しで利益を追求する一方、預金獲得も進めなければならない。投資家や金融当局からは、 政策保有株式について厳しい目が向けられている。さらに足元では、国内金利上昇による、有価証券の含み損増大リスクも浮上している。金利上昇による良しあしがはっきりと出始めた今、銀行の本業力はこれまで以上に問われている。そこで銀行103行と254の信用金庫、132の信用組合の財務データを徹底検証。金利上昇時代を生きる銀行&信金・信組の内情に迫った。

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記者の目

  • 編集部 永吉泰貴

    バッティングは上達

    最近、バッティングセンターにはまっています。息をするように26回利用券を消費してきた日々のおかげか、気が付けば打球飛距離が伸び、スイングスピードも速くなっているのを実感します。
    片や、なぜか伸びないのが原稿の執筆スピード。記者1年目の頃からあまり向上していない気がします。さすがにバッティングセンターよりも時間を費やしてきたはずですが、この違いは何なのか。
    ChatGPTに聞いたところ、「面白い対比ですね」とちゃかされた後、「原稿は単に速く書けばいいのではありません。読者を意識した書き方など、スピードと質のバランスが重要です」と正論で𠮟られました。読者を第一に考えて書き上げた銀行特集、ぜひご笑覧ください。

  • 副編集長 臼井真粧美

    郵便局の窓口の面倒な人

    郵便局窓口に銀行関係の手続きで訪れた先日、マネーローンダリング防止などを目的に、職業や取引目的の申告を求められました。
    その内容が年収などにも及んでボリューミー。ここに至るまでの手続きで窓口側のスムーズさが欠けていたのもあって、「時間がかかって面倒だなあ」という態度を表に出してしまいました。
    窓口の女性はそんな態度、慣れたものなのか、ニコニコ。
    なんだよと思いながら手続きの最終段階に入ったとき、持参すべき書類がそろっていないことが判明。「うわ、時間を無駄にさせている面倒な人は私の方か」と申し訳なくなりながら窓口の女性を見ると、変わらずニコニコ。
    笑顔に救われながら、そそくさと帰りました。

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表紙

特集銀行&信金・信組 最新序列2025

本格的な金利上昇が始まって、間もなく1年。銀行の事業環境は一変した。企業や個人への貸し出しで利益を追求する一方、預金獲得も進めなければならない。投資家や金融当局からは、 政策保有株式について厳しい目が向けられている。さらに足元では、国内金…

特集2金融人事コンフィデンシャル

毎年12月、銀行員は落ち着きをなくす。それは首脳人事が発表されるからだ。誰がトップに就くかによって、末端の銀行員であっても出世とキャリアは大きく影響を受ける。そこで3メガバンクと地方銀行の最新の首脳人事を探った。

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