イギリスがオランダから覇権を奪えた決め手は「物流」にあった
『物流は世界史をどう変えたのか』
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要約者レビュー
今年はじめ、米アマゾンの宅配事業への参入が発表された。今後は各企業から集荷した商品を、直接顧客へ届けるサービスを開始するとのことだ。EC最大手が物流を手中にすることで、宅配業界はもとより、さまざまな方面に影響を及ぼすことは明らかである。
物流を制する者は世界を制す。これはいまに始まった話ではなく、はるか紀元前より世界中のあらゆる文明でそうだったと著者は語る。歴史の授業では普通、覇者は武力や新技術によって勢力を広げていったと教えられる。しかしその裏には「物流」というシステムがあり、それが世界の勢力図を塗り替える大きな要因であった。そのことをあなたは本書を通じて知ることになるだろう。
本書『物流は世界史をどう変えたのか』は全17章構成だ。紀元前に地中海の覇者となったフェニキア人から、中国の漢、近世イタリア、大英帝国、独立後のアメリカにいたるまで、時系列でテンポよく紹介されている。各章は比較的短く、さらっと読めるので、興味のある章からかいつまんで読んでもおもしろいだろう。しかし一時は強大であった国家がなぜ衰退し、その覇権が他へ移ったのか。その流れを理解するには、はじめから読み進めることを強くおすすめする。
本要約では本書のハイライトの一部を紹介したにすぎない。ぜひ本書を手に取って、壮大な歴史のうねりを体感してほしい。(矢羽野晶子)
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