なぜレンズ付フィルム「写ルンです」は再び売れ始めたのか
『デザインの次に来るもの』(安西 洋之/八重樫 文著)を読む
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仕様やパッケージを変えずに起こさせる「意味のイノベーション」
最近、レンズ付フィルムの「写ルンです」が売れていると聞いて驚いた。
「写ルンです」は、今から30年以上も前に売り出された、写真のフィルムとレンズ、シャッター、巻き取り機構が一体化した簡便な使い捨てカメラ。スマホはおろか、携帯電話もデジカメも普及していなかった当時、いつでもどこでも気軽に写真が撮れるという理由で大ヒットした商品だ。
2017年の現在は、誰もが持ち歩いているスマホや携帯で、気軽にアナログの「写ルンです」とは比べものにならない美麗な写真が撮れる。さらに、撮った写真はその場で見ることができるし、SNSにアップすればどこにいる友だちともシェアできる。
一方「写ルンです」は、写真屋に預けて現像してもらわないと撮った写真は見られない。それまでに数日は待たなければならないし、お金もかかる。現像した後に撮影に失敗したことがわかっても撮り直しは不可だ。
そんなスマホやデジカメに比べれば格段に低機能で、不便きわまりない「写ルンです」が、2年ほど前から10代後半〜20代の女性たちの間で再び流行り始めたのだそうだ。フィルム独特の味わいある写真が新鮮に感じられたり、現像しないとどんな写真かわからないワクワク感がウケているとのことだ。
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