週刊ダイヤモンドの見どころ

山口圭介(週刊ダイヤモンド編集部)

やまぐち・けいすけ/早稲田大学卒業後、04年に産経新聞社に入社。08年に週刊ダイヤモンド記者となり、商社、銀行を担当。12年より金融担当の副編集長、17年からIT・電機・政治を担当。18年からダイヤモンド・オンラインとの兼任副編集長。主な担当特集に「経済ニュースを疑え」「金融エリートの没落」「三菱最強伝説」「孫正義が知らないソフトバンク」など。趣味はダイエット。

2016年08月27日掲載

金融業界でなくなる職業ランキング完全版!
フィンテック首脳90人が徹底予測

『週刊ダイヤモンド』9月3日号の第1特集は、「金融エリートの没落」です。メガバンク、外資系投資銀行、大手証券──。金融業界のエリートたちが、マイナス金利の導入や相場の低迷による本業の崩壊で右往左往してます。金融とテクノロジーが融合した「フィンテック」の台頭で、既存の金融機関の仕事が消滅してしまうリスクも現実味を帯びてきました。加速する金融エリート没落の実態に迫り、苦悩を徹底描写しました。

学生の就職人気ランキングでは、今なお上位勢に顔を出すことが多い大手金融機関。だが、金融界を席巻する「フィンテック」の台頭で、金融エリートの職種の将来は危ぶまれている。「金融業界にとって、本質的な脅威はフィンテックだと思う」──。

ある銀行系証券のエコノミストはこんな不安を口にした。日本銀行のマイナス金利政策による極度の金利低下をはじめ、金融機関の収益環境は非常に厳しい状況だ。逆風にさらされる金融業界だが、目先の環境変化に気を取られていると、時代のうねりに潜む問題の本質を見誤りかねない。

金融(ファイナンス)とデジタル技術(テクノロジー)が融合した「フィンテック」。ここに今、ビジネス界から熱視線が注がれている。すでに世界では決済や融資などの分野でテクノロジーを駆使し、既存の大手金融機関を脅かす企業が台頭しており、金融エリートの職業が奪われる──。そんな見方が浮上しているのだ。

そこで本誌は、国内の有力フィンテック企業100社の最高経営責任者(CEO)と最高技術責任者(CTO)に対し、アンケートを試みた。金融業界の代表的な20の職種を挙げ、「フィンテックの台頭で今後、金融業界においてどの職種がなくなっていくと思うか」を質問。可能性が高い順に5つの職種を選んでもらい、1位なら5ポイント、2位は4ポイント、3位3ポイント、4位2ポイント、5位1ポイントとして合計ポイントをランキング化した。90人から回答を得た。結果は下図の通りだ。

「危険水域」である上位集団には、リテール(個人向け)の営業関係の職種が居並ぶ。

1位は個人向けの銀行営業職だ。顧客の資産や収入に見合う最適な商品プランを提案する、といった銀行営業の仕事は、過去の膨大な情報を基に最適解を探るAI(人工知能)が強みを発揮する分野でもある。株や投資信託などの金融商品を売り込む3位の証券営業も同様だ。

2位は生命保険を販売する保険外交員、いわゆる「生保レディー」だった。マンパワーの営業攻勢に頼る旧来型の手法は人件費がかさみ、保険料も高くつきやすい。ネット専業生保が手ごろな保険料を武器に存在感を放つ中、競争環境は厳しさを増している。年齢や職業などの情報から契約希望者に最適なプランを提示するなどIT(情報技術)活用がさらに進めば、生保レディーへの消費者のニーズは一段と遠のくことになる

4位は銀行窓口業務(テラー)となった。預金の受け入れや払い出しといった窓口業務を担当しているが、今後ずらりと店頭に並ぶ銀行員がロボットに置き換わる日が来てもおかしくはない。みずほ銀行がソフトバンクグループの人型ロボット「ペッパー」を一部店舗に導入した事例も出ている

契約書作成やコールセンターといった業務を担うバックオフィスが5位だった。マニュアルにのっとった機械的な業務が中心のため、ロボットなどに取って代わられやすい、というわけだ。

今週の週刊ダイヤモンド2025年1月18日号[990円]

最新号表紙

特集日本のゲーム

半導体や鉄鋼並みの外貨獲得力を持つ日本のコンテンツ産業。その中で最大規模を持ち、成長を続けるのがゲームだ。世界市場は2028年には50兆円にも届くといわれており、外貨獲得産業として国も支援に乗り出した。一方、業界の「ゲームシステム」は急速に変わり、その勝ち筋も激変している。次の勝者となるのはどの企業か? そして、ゲーマー、投資家、業界関係者、就職・転職希望者、全てのプレイヤーに向けてお届けする。

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記者の目

  • 編集部 鈴木洋子

    〆切で積んでるエルデンリングDLC、早くクリアしなくちゃ

    大人になりゲームから離れていた私の元に結婚祝いとしてWiiが来たのは2008年のこと。「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」のとりこになり、エンディングでは床に崩れて大泣きし、それからずっとゲームが大好きです。今回「ゲーマーの平均年齢は37歳」と知って安堵したのは内緒です。
    生まれた子どもは知育ゲームとマインクラフト、Robloxに夢中。わが家の娯楽の真ん中にゲームはいます。
    今号の特集では、依存症の問題は取り上げませんでしたが、産業・文化・社会の中で重要性を増すゲームと、どう付き合うかを、多くの方が考えるきっかけになれば幸いです。さて、〆切終わったしそろそろエルデンリングDLCクリアしなくちゃ。

  • 編集部 片田江康男

    寒さに負けないゲームのコンテンツ力

    自宅近くの公園を通りかかった際に、小中学生5〜6人が公園のベンチに下を向いて座っていました。手にしていたのはNintendo Switch。お菓子や飲み物まで用意して、寒空の下で没頭していました。
    私が子どもの頃は、ゲームを持っていて、家に上がっていい友人宅に集合したものでしたが、新型コロナウイルスのまん延を経て、そんな遊び方はなかなか実現しなくなったようです。
    それにしても、寒風吹きすさぶ中でも、子どもたちを夢中にさせるゲームのコンテンツ力には脱帽です。私も読者の皆さまが夢中になる特集をお届けできるよう、精進してまいります。2025年もよろしくお願いいたします。

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半導体や鉄鋼並みの外貨獲得力を持つ日本のコンテンツ産業。その中で最大規模を持ち、成長を続けるのがゲームだ。世界市場は2028年には50兆円にも届くといわれており、外貨獲得産業として国も支援に乗り出した。一方、業界の「ゲームシステム」は急速に…

特集2役所&日銀出身の社外取締役報酬ランキング

社外の客観的な目が企業経営にとって重みを増す中、社外取締役が役人の有望な再就職先となっている。「行政経験を積み、企業経営にも一定の理解がある官僚OB・OGは貴重」との見方がある一方、「形を変えた天下り」といった否定論も。彼らが高額報酬に見合…

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