サマリー:改革が行き詰まると、経営者やその担当者は、「非協力的な連中がいたから頓挫した」と、失敗の原因を抵抗勢力のせいにしがちである。たしかに自分勝手な理由で反対する人たちもいるが、実際は、抵抗という行為は、失... もっと見る敗を教える現場からの「シグナル」であり、また有益なフィードバックであることを理解していないことが多い。本稿では、改革の意図や理由を明らかにすること、抵抗勢力の意見も取り入れること、参画意識を高めることなど、抵抗を「改革の推進力」に変える方法を紹介する。 閉じる
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
改革の失敗は抵抗勢力のせいとは言い切れない
改革が暗礁に乗り上げてしまうことはよくあることだ。その際、チェンジ・エージェントたる改革担当者はすぐさま、これに反対した人たちを名指しで批判しがちである。「完璧な論理だったにもかかわらず、彼らが抵抗したことで、空中分解してしまった」と思い込んでいる。
しかし、抵抗勢力を責めるのはお門違いであるばかりか、それが経営活動に悪影響を及ぼす可能性がある。経営陣は、抵抗を脅威と見ると、対抗意識を燃やし、身構え、あるいはコミュニケーションを断つことすらある。時には、おのれの正当性やメンツにこだわる余り、そもそもの目標を見失ってしまう。
抵抗が意味するところを理解することなく、横車を押せば、人々の善意を傷つけ、大切な人間関係を危険にさらし、懐疑派を改革に巻き込む機会を失うことだろう。
何かを見落としていたり、間違った思い込みをしたりしていると指摘されても、耳を貸そうとしない。単純な「敵か味方か」の構図で考えているため、行動を改めるべきは、抵抗している人たちであり、彼ら彼女らに不合理で利己的な行動さえなければ、改革は成功すると思い込んでいる。
たしかに、抵抗が不合理で利己的なこともある。とはいえ、その是非はさておき、抵抗が重要なフィードバックの一形式であることも事実である。そのことを理解していないと、改革を実行するための強力なツールを失うことになる。
改革が抵抗に遭遇した時、これに没頭できるパワー・リーダーが必要になる。脅威となりつつあることに注意を払い、それを理解し、これに学ぶことで見通しが拓ければ、最終的には、当初の期待以上の成果を収められるだろう(囲み「抵抗は有益なフィードバック」を参照)。
抵抗は有益なフィードバック
・改革が失敗すると、リーダーは、抵抗をその理由にすることが多い。彼ら彼女らは、「文句を言うのをやめて、改革に参加しさえすれば、すべてうまくいく」という前提で考えている。
・抵抗とは、実はフィードバックの一形態であり、リーダー以上に日常業務に詳しい現場の人々によるものが多い。しかしそれが、活発な議論へと発展すれば、改革への関心を高めることができる。
・抵抗というフィードバックを軽視すると、潜在的に貴重な情報が得られず、リーダーは思いやりをなくし、大切な人間関係が危険にさらされる。
・抵抗に対処する術を学べば、それをテコにして、よりよい解決策を生み出せる。
抵抗というフィードバックを改革に生かすための5カ条
調査とコンサルティングを通じて、我々は大小さまざまな企業の改革について調べるチャンスを得た。そこで発見したのは、改革への抵抗について理解するには、まず自分自身のマインド・セットを見直す必要があるということだった。
オハイオ州コロンバスにあるクリティカル・パス・コンサルタンツ社長。最新著にThe Four Conversations: Daily Communication That Gets Results, Berrett-Koehler, 2009.がある。
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード