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もっと奈良を楽しむ

日本に育まれた美しきものに出逢う。

秋色の奈良に心ときめく。

知れば知るほど奈良はおもしろい 2016年秋号「日本に育まれた美しきものに出逢う。」

正倉院「正倉」

天平文化の粋を伝え、時を超えて光り輝く正倉院宝物。

奈良時代、大仏造立を発願した聖武天皇は、大仏開眼供養の4年後に崩御されます。妻の光明皇后は天皇の死を深く悲しみ、七七忌の忌日にご冥福を祈念して、哀切極まりない哀悼文とともに遺愛品などを東大寺の盧舎那仏(大仏)に奉献されました。皇后の奉献は前後五回におよび、その品々は校倉造で知られる同寺の正倉に収蔵されました。それが正倉院宝物の始まりで、現存品は約9千点に及んでいます。宝物は、天皇や貴族の暮らし、奈良の都の日常がわかる品々から楽器、遊具、儀式の道具、そしてシルクロードを通りペルシャ、インド、中国などから渡ってきた品など実に様々。毎年、宝物の一部は秋の正倉院展で公開されます。そこでは、未だ輝きを失わない美しい宝物に目を奪われ、往時の技術の高さや、異国の香りなどにしばし時を忘れることでしょう。国際色豊かな天平文化の素晴らしさを伝える貴重な宝物は、光明皇后の想いに始まり、後世の人々の知恵と努力によって、守られ続けています。

正倉院「正倉」

(問) 0742-26-2811 (所)奈良市雑司町 (時) 外構見学10:00〜15:00(正倉院展開催中は10:00〜16:00(注記)予定) (休) 土・日曜・祝日(正倉院展開催中は無休(注記)予定)(\) 外構見学は無料 (P) なし(近隣駐車場を利用) (交) JR・近鉄奈良駅からバス今小路下車、徒歩約8分
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紅葉やイチョウに彩られる正倉院、東大寺周辺。

東大寺大仏殿の裏手は、鹿たちものんびり草をはむ静かな散策エリアです。正倉院「正倉」、大仏池周辺にはイチョウの大樹が多く、秋には辺りが黄金色に染まります。正倉院「正倉」の南側の道を東の方へ行くと突き当りが東大寺塔頭持宝院。秋の日差しに照らし出された風情ある土塀を左手に見ながら南へ進むと二月堂の裏参道へ入ります。そこは紅葉に彩られ、一幅の絵のような美しさです。二月堂から大仏殿を見下ろす景色を楽しんだ後は、手向山(たむけやま)八幡宮へ。「このたびは 幣(ぬさ)もとりあへず手向山 紅葉の錦 神のまにまに」と菅原道真が詠んだことでも知られる紅葉の名所で、奈良時代に聖武天皇が大仏を造営したときに宇佐八幡神を東大寺大仏守譲の神として勧請しました。今でも伝統行事、東大寺修二会(お水取り)のときには、手向山八幡宮の神職が二月堂に出仕しています。

東大寺(二月堂)

二月堂裏参道

東大寺(二月堂)

(問) 0742-22-5511 (所) 奈良市雑司町406-1 (時) 拝観自由 (\) 無料 (P) なし(近隣駐車場を利用) (交) JR・近鉄奈良駅からバス東大寺大仏殿・春日大社前下車、徒歩約13分、または近鉄奈良駅から徒歩約24分
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大仏池ほとりの大イチョウ

大仏池ほとりの大イチョウ

秋本番、イチョウの葉が散り敷くと黄金の絨毯のよう。

手向山八幡宮

手向山八幡宮

(問) 0742-26-2811 (所) 奈良市雑司町 (時) 外構見学 10:00〜15:00(正倉院展開催中は10:00〜16:00(注記)予定)(休)土・日曜・祝日(正倉院展開催中は無休(注記)予定)(\) 無料(P) なし (交) JR・近鉄奈良駅からバス東大寺大仏殿・春日大社前下車、徒歩約15分
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西山先生に聴く
奈良にみる日本のアイデンティティ

正倉院宝物とは。

奈良の都に大仏を造った聖武天皇が亡くなり、遺愛の品々が残されました。光明皇后がそれらを大仏に献納したことで正倉院宝物は誕生しました。やがて他の献納品や東大寺の宝物なども加わり、約9千件という大量の宝物が、校倉造りの倉に伝えられました。
 天皇の遺品を手元に留めなかった理由を、皇后自身は「目に触れると昔を思い出して、悲しみで心が崩れ摧けてしまう」と記しています。光明皇后が悲しみに耐えられなかったことで、それらの品々は21世紀に伝わりました。
 正倉院宝物の大半は日本で作られたものです。奈良時代のレベルの高さがわかります。正倉院宝物は発掘されたものではなく、地上で大切に伝えられてきた伝世品です。8世紀に制作された伝世品がこれほど多く伝わっているのは、世界で奈良だけです。
 昭和18年、正倉院から宝物は取り出され、比較的安全な場所に移されました。奈良国立博物館にも多くの宝物がやって来ました。やがて戦争が終わり、宝物を正倉院に戻そうとした時、奈良の地元の人々から、博物館で展示してから戻せないかという声が上がったことで、「最初で最後の」正倉院展が開かれることになりました。
 連日、長蛇の列。宝物を見た人は「生きる力が湧いた」そうです。戦争に敗れ、すべてをなくした人々に生きる力を与えたことで、正倉院展は翌年からも続けられ、今日に至ります。
 千二百年も前に、ひとりの女性が悲しみに耐えきれず手放した品々が、時を超え、戦争ですべてをなくした人々に生きる力を与えました。歴史は不思議です。

西山 厚 氏

西山 厚 氏
にしやま あつし

帝塚山大学 文学部
文化創造学科教授

おみやげ

  • 「生わらび餅」

    「生わらび餅」

    吟味された素材と熟練職人による手作りならではの食感、口どけの良さ、滋味豊かな甘さが自慢。

    (問) 0120-300-327 (千壽庵吉宗)

  • 「正倉院ふきん」

    「正倉院ふきん」

    吸水性抜群の奈良特産蚊帳生地使用。正倉院文様がデザインされたパステル色のふきん。

    (問) 0742-22-3181 (鹿屋)

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